特集 機能性食品研究2004

今、注目の機能性食品は何か。最新の研究成果を追う。 
 食品分野の機能と安全性に関する先端情報を紹介する「食品開発展2004」が、先ごろ開催された。この展示会でも紹介された機能性食品を中心に、医療機関等でも注目を集める食品素材や最新の研究・開発の動向を追ってみた。

 酵素処理タモギタケに高い免疫賦活能。 

 アピ(株)長良川リサーチセンターは、 同社独自の酵素処理によってタモギタケの免疫活性作用を増強した 「タモギタケISM (Immuno Stimulative Mushroom:免疫活性化キノコ・特許出願中)に関する最新学術データを「食品開発展2004」の中で報告した。

 β-グルカン含有量はアガリクスの約2倍。

 タモギタケ (学名:Pleurotus cornucopiae) は、 山岳地帯の広葉樹の枯れ木や切り株に生える食用キノコ。 鮮黄色から淡黄色の美しい色をしており味も良いが、 デリケートなため、 一般に流通されていなかった。 近年、 その風味と機能性の高さから各地で研究されており、 岐阜県においても栽培方式の確立によって研究が可能になったため、 同社がその開発に着手した。

 タモギタケのβ-グルカン含有量は、 高い免疫賦活作用で注目されているアガリクスの約2倍あり、 なかでも活性構造として注目されるβ-1,3-グルカンは約5.5倍、 ビタミンDの前駆体で癌細胞の血管新生阻害作用が期待されているエルゴステロールも高含有している。 しかし、 同社が実施したマウスへの経口投与による比較試験では、 その差が反映されなかったことから、 β-グルカンの大半が不水溶性高分子のために効果が発揮されなかった可能性があると推察、 活性をもつ構造として注目のβ-1,3-グルカンを酵素で選択的に低分子化して溶解性を高めたところ、 免疫活性化作用の増強が確認され、 このほど 「タモギタケISM」 を開発するに至った。

 アガリクスよりも高い免疫活性。

 同社は、 「タモギタケISM」 の免疫賦活作用を免疫抑制モデルによって検討している。 評価方法は、 6週齢のddy系雄性マウスに各検体を200mg/kgずつ連日経口投与して行われた。 試験開始2、 3日目に2回、 シクロフォスファミド (免疫抑制物質) 30mg/kgを腹腔内投与し、 4日目に脾臓を摘出して重量を比較した(図)。

 その結果、 酵素処理粉砕物であるタモギタケISM-I、 酵素処理熱水抽出エキスであるタモギタケISM-IIは共にアガリクスよりも高い免疫活性能を示し、 酵素処理によるタモギタケの水溶性β-グルカンは約4倍、 β-1,3-グルカンも約23倍に増加した。 水溶性β-グルカン分子量の分布についても、 5,000〜20,000の存在率が25%以下であったものが50%を超え、 低分子化が確認された。

 さらに、 悪性腫瘍モデルであるザルコーマ180細胞を用いた腫瘍増殖抑制試験でも、 タモギタケISMはアガリクスよりも顕著な腫瘍増殖抑制作用が明らかにされた。

 機能性と安全性が確立したスピルリナ。

 大日本インキ化学工業(株)は「食品開発展2004」 のなかで、 同社の主力素材スピルリナに関する体調調節機能を紹介した。

 栄養補助や疾病予防など幅広く利用。

 スピルリナは、 藍藻類アルスロスピラ属に属する単細胞生物。 増殖形態が光合成ということから植物に分類される一方、 たんぱく質やアミノ酸、 ビタミンB12を含有することから動物としても分類され、 植物や動物に分化する以前の生物として考えられている。 植物タンパク質や、 クロロフィルa、 カロテノイド色素、 フィコシアニンといった植物性色素、 食物繊維やビタミン・ミネラル類が豊富に含まれているため、 栄養補助や疾病予防など幅広く利用されている。

 まず、 栄養補助食品や食事療法の一助としてスピルリナは利用されている。厚生労働省は、ビタミン・ミネラル類の豊富な緑黄色野菜を120g/日摂取するよう推奨しているが、 実際には70〜80g/日と慢性的な摂取不足に陥っていることが指摘されている。 スピルリナ5g中に含まれるビタミン・ミネラル量は緑黄色野菜100gに匹敵することが分かっており、 緑黄色野菜の代替物として注目を集めている。

 さらに、 疾病の治療補助剤としてもスピルリナは活用されている。 抗がん剤シスプラチンや鎮痛剤パラアミノフェノールの腎解毒軽減といった薬物の副作用軽減、 血中脂質 (コレステロール、 中性脂肪) の低下や腸内乳酸菌の増加といった腸内細菌叢改善作用もスピルリナは有している。 もちろん動物試験 (急性・亜急性試験、 慢性毒性試験、 催奇形性試験、 光過敏症試験) やヒト試験 (12g/日の経口投与で副作用の発現無し) においても、 安全性は確認されている。

 老化防止でトクホ取得も。

 これまで同社が確認した主なスピルリナの機能は、 (1)血清脂質改善作用 (コレステロール低下、 中性脂肪低下) (2)血糖値調節作用(3)血圧調節作用(4)がん予防・転移抑制作用(5)腫瘍免疫能 (NK活性) 向上作用(6)抗がん剤 (5−FU、 イリノテカン) 副作用軽減作用(7)抗ウイルス作用(8)アルコール代謝改善作用――などで、 ヒト試験および動物試験によってそれぞれ確認している。

 しかし近年、 同社はアルコール代謝改善作用と老化防止作用の相関関係に着目、 トクホ製品の上市を視野にいれたスピルリナの老化防止作用への研究を加速している。

 日本医科大学・太田成男教授は最近の研究で、 老化の典型例であるアルツハイマー病が酒に弱いヒトほど起こりやすいことを報告されているが、 一般に、 酒の強さはアルコールの分解に関わる 「アルデヒド脱水分解酵素2」 の働きの強さに関連することが知られている。 同社ではすでに、 スピルリナがこの分解酵素の働きを強めて、 アルコールの代謝を改善させる働きがあることを動物試験でつきとめており、 スピルリナの摂取によるアルツハイマー病予防効果が期待できるとしている。

 オキシカインのSOD活性誘導によるがん悪性化の抑制効果。 

 コンビ(株) (埼玉県さいたま市、では、 抗酸化食品素材 「オキシカイン」 の研究を行なっている。"SOD誘導食品"として今後の活躍が期待されている同素材。「食品開発展2004」 において、 学術動向を踏まえ、 その生理活性について報告された。

 抗酸化酵素活性誘導という全く新しい作用機序。

 オキシカインは単に外部から抗酸化物質を補給するのではなく、 腸管免疫機構を刺激することにより、 生体内の抗酸化酵素活性を誘導するという全く新しい作用機序をもつ。 同素材には記憶障害改善、 抗腫瘍効果、 糖尿病性腎症抑制効果などへの可能性が期待され、 ヒトや動物による試験が行なわれている。

 コンビ(株)、 山形大学大学院医学系研究科の岡田太らのグループでは 「経口SOD剤投与による退縮型マウス線維肉腫細胞の炎症を介した転移能獲得の抑制」 と題した研究報告を今年6月、 第13回日本がん転移学会総会で行なった。

 【実験方法】C57BL/6マウス線維肉腫 (QR-32がん細胞) は、 造腫瘍性が極めて低く、 転移を起こしにくい。 しかし、 異物であるゼラチンスポンジとともに皮下移植すると、 異物誘発の炎症細胞によって同細胞は増殖する。 また、 これを培養し、 別のマウスに移植すると、 転移能を獲得し、 異物の存在に関わらず単独で転移する。

 研究グループでは生理食塩水、 10mg/kgのグリアジンまたはオキシカインを5週齢のC57BL/6雌マウスに経口投与し、 2日後にQR-32腫瘍細胞とともにゼラチンスポンジを皮下移植してその増殖性と転移性を観察した。

 【結果】QR-32細胞のゼラチンスポンジ同時皮下移植による腫瘍増殖は、 グリアジン投与群では18例中15例、 生理食塩水投与群では19例中15例に見られたが、 オキシカイン投与群では17例中7例と有意に抑制された。 さらに増殖腫瘍の有する転移形成能は、 グリアジン投与群では39例中35例、 生理食塩水投与群では35例中33例であったが、 オキシカイン投与群では28例中7例と著しく抑制された。

 【結論】オキシカイン投与群はQR-32細胞の腫瘍発生率が有意に低く、 また、 増殖した腫瘍細胞を別個体に移植した際の転移形成率も有意に低いことが確認された。 QR-32細胞はゼラチンスポンジ (異物) の移植による炎症に伴って発生する活性酸素が原因となり、 遺伝子変化を伴って悪性化 (増殖性と転移性の獲得) する。 これに際し、 オキシカインは宿主の抗酸化酵素活性を誘導することにより、 炎症による活性酸素のダメージを軽減し、 腫瘍細胞の悪性化を抑制しているものと思われる。

 抗がん治療は炎症や活性酸素によって腫瘍組織にダメージを与えるものが多く、 根絶に失敗したら悪性化を進める可能性が危惧される。 オキシカイン摂取により誘導される抗酸化酵素活性の誘導は腫瘍細胞自体を攻撃するものではないが、 「悪性化の抑制」 という点で治療のサポートもしくは予防の可能性が期待できる。

 ヒメマツタケ含有食品にヒスタミン遊離抑制効果。 

 動物移植固形腫瘍や腹水型腫瘍など多くの効果が基礎試験により確認されてきたヒメマツタケ (学名:アガリクス・ブラゼイ・ムリル)。 そのヒメマツタケにアントシアニジンを組み合わせた製品 「ABPS」 (日本食菌工業(株)社製) に抗アレルギー効果があることが基礎試験で明らかになった。 抗アレルギー薬には眠気の発現が知られているが、 今回の試験結果から、 副作用の少ない抗アレルギー素材として両素材の配合に注目が集まりそうだ。

 ヒスタミン遊離抑制効果を検討。

 試験は、 I型アレルギーの実験モデルである肥満細胞からのヒスタミン遊離抑制効果を検討したもの。 検体には 「ABPS」 を それぞれ250、 500、 1000μg/mLに調製したものを使用した。

 ウイスター系雄ラットを断頭瀉血した後、 10U/mLのヘパリン含有ハンクス液を腹腔内に注入。 腹腔内液を採取・回収した後、 遠心分離により肥満細胞を検出した。 検出した肥満細胞は1×106cells/mLとなるよう調製し、 1.8mLに対してそれぞれの検体に抗原またはコンパウンド48/80 (シグマ)をそれぞれ0.1mL加えたうえでインキュベート・遠心分離して上清と沈査のヒスタミン含量を蛍光法により測定した。

 一方、 ラット抗EWA (卵白アルブミン) 血清の調製については、 EWA10mgと不溶性化百日咳菌1×1010個を含む生理食塩水0.25mLをウイスター系雄性ラットの前後足蹠皮下に2分割して投与し、 5日後に10%EWA含有の生理食塩水を背部およびでん部それぞれ2カ所の筋肉へ0.1mLずつ投与した。 9日後には前述の方法によって、 腹腔肥満細胞浮遊液と抗血清を採取した。

 さらに、 抗ヒスタミン作用の検定のため、 ハートレー系モルモットの小腸を38℃のタイロード液50mLで満たしたマグヌス装置につるし、 腸運動一定後に各検体を投与した。

 用量依存的な抑制効果を確認。

 各種濃度のABPSと非感作ラット腹腔内から採取した肥満細胞を10分間、 孵卵器でインキュベーションした時のヒスタミン遊離率を測定した結果、 対照で7.0±1.3%だったのに対し、 ABPS250、 500、 1000μ/mgでは、 それぞれ6.8±1.1%、 7.0±1.2%、 7.2±1.4%を示し、 対照群に対しての統計学的有意差は認められなかった。
 しかし、 コンパウンド48/80により誘発された非感作ラット腹腔肥満細胞からのヒスタミン遊離抑制作用については、 対照10μg/mL添加時で88.2±7.4%のヒスタミン遊離率を示したのに対し、 ABPS 250、 500、 1000μg/mLでは、 それぞれ87.3±6.5%、 65.7±5.2%、 49.6±5.5%を示し、 抑制率も1.0%、 25.5%、 43.8%と用量依存的に抑制効果を示した。

 さらに、 抗EWA血清感作ラット腹腔肥満細胞からのヒスタミン遊離抑制作用については、 対照2mg/mL 添加時のヒスタミン遊離率32.4±3.8%だったのに対し、 ABPS250、 1000、 1500μg/mLでは、 それぞれ5.3%、 16.1%、 35.8%の抑制率を示したことが分かり、 ABPS1000および1500μg/mLの濃度時でヒスタミン遊離を有意に抑制した。

 また、 モルモット摘出腸管へのヒスタミン収縮抑制作用については、 ABPS100倍液 (最終濃度5000倍) 1mLをヒスタミン収縮時に注入した場合に軽度の抑制作用も観察された。

 紫イペの抗腫瘍効果を基礎試験で確認。 

 南米薬用植物研究会らのグループは、 鈴鹿医療科学大学の鈴木郁功、 野路雅英両教授と共同で、 紫イペ熱水抽出液の白血病細胞・がん細胞への効果を検討、 それぞれの細胞で抗がん効果を確認した。

 がんの治療薬用植物として注目を集める南米の伝統生薬。
別名パウダルコやタヒボともいわれる紫イペ (学名:タベブイア・アベラネダエ) は、 健康に役立つ伝統生薬として南米において伝承されている。

 紫イペの89.1%は炭水化物によって構成されている。 植物由来の抗がん作用成分は、 炭水化物に含まれている多糖類が動物の免疫系を賦活化して、 NK細胞やマクロファージ、 キラーT細胞等を増加させることで、 がん細胞を攻撃・消滅させると考えられるため、 がんの治療に用いる薬用植物として紫イペが注目を集めている。

 まずグループは、 白血病細胞L1210への紫イペ熱水抽出物の効果を検討した。 5週齢のCDFIマウスを1群6匹・3群の試験食群 (400mg/kg、 200mg/kg、 100mg/kg) と1群10匹のコントロール群 (生理食塩水のみ投与) に分類。 それぞれのマウスに105個のL1210細胞を腹腔内移植した。 移植後1日目から7日目まで、 各群のマウスに試料を所定量投与し、 コントロール群と試験群の平均生存日数を比較した。 なお、 試験群には紫イペ150gから採取した23gの熱水抽出物を400mg/kg、 200mg/kg、 100mg/kgになるよう生理食塩水で溶解したものを試料として用い、 コントロールには食塩水のみ投与した。

 6匹中2匹でがん細胞が死滅。

 その結果、 紫イペ400mg/kg、 200mg/kg、 100mg/kg各投与群で、 平均生存日数が13.3日、 14,2日、 12.2日と、 コントロール群の11.7日に比べて延命していたことが確認された。

 次に、 同グループはSarcoma-180を用いて、 紫イペの抗がん効果を検討した。 試験は、 従来から提唱されている抗がん効果が、 アガリクスにみられるような多糖類による免疫賦活作用に起因する可能性が高いとの観点から実施されたもので、 固形がんであるSarcoma-180をマウスに移植する1週間前から試料を腹腔内投与して、 Sarcoma-180を移植して固形がんの縮小を計測した。

 なお、 マウスの群分けおよび試料の調整は、 前出L1210細胞への時と同様にした。 解剖5週後における各群の腫瘍重量を比較したところ、 紫イペ200mg/kg投与群で6匹中3匹が、 同400mg/kg、 100mg/kg投与群においても6匹中2匹でがん細胞の死滅がみられ、 紫イペの抗がん効果が明らかとなった。

 カバノアナタケのEBM確立に向け、研究会発足へ。 

 生命力の強さで注目度が高まっているカバノアナタケ。(有)パシフィックサプリメンツ (神奈川県鎌倉市、ではカバノアナタケの日本におけるEBM構築に向け、 研究会を立ち上げた。

 生産拠点ロシアの学術報告・臨床実験データを翻訳・発表。

 カバノアナタケ (学名:Fuscoporia obliqua) は、 白樺などのカバノキ類の生木に寄生するサルノコシカケ科のキノコであり、 ロシア北部や北海道などの寒冷地で生息する。 子実体は固い黒色の塊で、 傘をつくらず樹皮の下に薄く広がっていくのが特徴である。 白樺の樹液を養分に成長し、 最後には木を吸い上げて枯らすと言われている。 また、 零下30℃の寒さでも生き残る耐性があり、 生命力の強さが目立つ。 ここ1、 2年で急速に注目度が高まっている素材であり、 抗酸化作用、 抗腫瘍効果、 血糖値低下作用などの学術研究が現在、 進展中である。

 (有)パシフィックサプリメンツではカバノアナタケの日本におけるEBM構築に向け、 研究会を立ち上げ、 同素材の健康産業市場における地位向上へ向け働きかけていく。

 日本ではまだエビデンスが揃っていないカバノアナタケであるが、 生産拠点のロシアにおいては最古で1951年のものから現在にいたるまで、 学術報告・臨床実験などのデータがかなり蓄積されているという。 そこで同社では、 今、 ロシアに埋もれていて日本・欧米の学会でもまだ発表されていない学術文献を発掘し、 日本語に翻訳して学会発表していくための作業を開始している。 今月27日、 都内にて第一回目が開催される、 同社主催の 「チャガ研究会」 で随時、 最新の知見等、 研究報告を行なっていく (以後、 毎月第3日曜に開催)。

 同社では昨年9月、 ロシアのハーブメーカーであるアルニカ社 (サンクトペテルブルグ市) と日本における総代理店契約を結び、 カバノアナタケ製品の販売を開始した (製品名:サンクト・チャーガ)。

 同品はカバノアナタケの乾燥粉末を無菌ティーパック包装したもので、 ロシア国内において放射能・重金属汚染などの影響を受けていない地域に限定して採取した原料を品質管理のもと使用している。

 口当たりのよさで日常生活での長期飲用にも最適。

 ロシアではカバノアナタケの国内販売は自由であるが、 海外への輸出となると国からのライセンスを得る必要があり、 現在ライセンスを有するメーカーは極めて少ない。 日本国内ではさまざまなルートでカバノアナタケ製品が流通しているが、 同品では出所を明示しており、 「由緒正しさを第一の訴求ポイントとしている (飯田喜哉社長)」 と語る。

 口当たりはまろやかでキノコ独特の風味はかすかに香る程度に仕上げてあるので、 日常生活での長期飲用にも適している。

 また、 同社では乾燥原体、 キザミ等の原料供給も行なっており、 ドクターズブランド開発など、 医療機関からの相談があれば小ロットでも対応していく体勢をとる。

 また、 今月5日より行なわれた「食品開発展2004」 にも出展し、 カバノアナタケ普及・浸透へ向け、 食品メーカーや研究者に向けてもいっそうの訴求を図っていく。

 乳酸球菌の生体防御機能とその可能性。 

 ニチニチ製薬(株)では、 乳酸菌の研究開発を進めている。 昨年流行した新型肺炎SARSでは、 同社と中国の天津生物医薬研究所が共同して現地の専門病院でSARS患者に対し、 乳酸菌投与を行うなど、 感染症に対する同素材の防御効果は世界各国から期待されている。 同社が取り扱っているのは、 乳酸菌の中でもとくに免疫作用が強いものとして注目されている、 エンテロコッカス・フェカリスFK-23株 (以下FK-23株) と呼ばれる乳酸球菌である。

 FK-23株の精製法は、 集菌、 洗浄した菌株を、 水に懸濁し、 105〜115℃の熱水で10分間加熱殺菌し、 スプレー乾燥させるというもの。

 同素材は加熱処理された、 乳酸菌の死菌であるが、 マクロファージからのTNF誘導活性は生菌に比べ3倍高いことや、 抗腫瘍効果は殺菌菌体の方が高いことなどが動物実験でも確認されている。 加熱殺菌処理により乳酸菌の活性が向上する要因をテーマに据え、 同社では創業以来、 研究を続けている。

 FK-23株の機能性であるが、 腸管から分泌されるIgAの産生量を高めることにより、 腸管の免疫力を高め、 生体の防御能力が高めていくことがその特長である。

 したがって、 さまざまな疾病――がん、 C型肝炎・O-157・サルモネラ菌・カンジタ菌・MRSA・ヘルペスウイルスなどの感染症――に対する防御効果が各種実験を経て確認されている。

 プロポリスに血液流動性改善効果。 

 抗菌作用や悪性物資の殺傷機能が知られているプロポリスが、 血液の流動性を高める作用があることが9月にまとまった臨床試験の結果からわかった。 プロポリス含有食品の有効性試験を行ったのは、 試験受託機関の千代田パラメディカルケアーセンター。 日本プロポリス(株)が製造したソフトカプセル (グミタイプ) とエスタプロント (水溶液タイプ) を試験製品に、 20歳以上の成人男女10名を対象に摂取試験を実施した。

 試験は、 水溶液タイプ5名とグミタイプ5名の2群に分けて、 オープン試験を実施した。 試験期間は2週間で、 初日に摂取前の各種測定及び単回摂取後の変化を測定した。 続けて2週間毎日連続して規定量の試験食を摂取した後、 再来院して連続摂取後の変化を測定した。 摂取期間中は、 水溶液タイプ1日5mlバイアル1本、 グミタイプは1日10カプセルを摂取させた。 試験食に摂取方法の指定はなく自由摂取とし、 摂取時間についても特定はしなかった。

 検査は、 硫化物等の臭気測定、 一般常在菌数検査、 MC-FANによる血液流動性、 FRASによる酸化ストレス、 生化学一般検査、 冷水負荷試験による回復温度変化を実施した。

 その結果、 口臭抑制や口内細菌抑制などで効果が確認できたほか、 血液流動性でも改善効果が認められた。 測定には血液流動性測定装置KH−7を用いた。 水溶性タイプのプロポリス含有食品では、 5例中3例において単回および2週間連続摂取後における全血通過時間の短縮効果が見られた。 グミタイプでも単回摂取後で5例中1例、 2週連続摂取後で5例中2例に全血通過時間の短縮降下が確認された。

 グルタチオン合成を促進。 

 抗酸化作用や免疫活性作用があるグルタチオンが注目されている。 グルタチオンは細胞内で産生されているため、 経口摂取しても吸収されず、 血流で全身に循環する前に胆汁を経由して除去されてしまう。 こうした中、 グルタチオン前駆体として、 未変性の高い生理活性を持つホエイプロテイン・サプリメントが10月から医療機関向けに販売される。 製品名は 「イミュノカル」。 カナダのバイオベンチャー企業、 イミュノテックリサーチ社が開発したもので、 低温殺菌方法により、 グルタチオン前駆体とシスチンを食品中に豊富に含ませることに、 世界で初めて成功した。 日本国内では、 マンナンフーズが発売元となる。

 イミュノカルは、 母乳と同様の免疫亢進の特性をもち、 高タンパク質、 乳糖フリー、脂質フリーの高濃度乳清分離体。抗酸化作用、 免疫賦活作用に欠かせないグルタチオンの合成や補充する働きがある。

 グルタチオンは、 細胞内に存在するが、 直接グルタチオンを取り込むことができないため、 3種のアミノ酸 (グリシン、 グルタミン酸、 システイン) を原料として細胞内で合成しなければならない。 イミュノカルには、 乳清アルブミン、 アルファーラクトアルブミン、 ラクトフェリンという3つの生物学的活性を持つプロテインが含まれており、 これらのプロテインがシステインを細胞内へ運んで、 細胞内でグルタチオンの合成を促す役割を担う。

 グルタチオンの生理機能は、 (1)抗酸化作用、 (2)細胞内のバランス調整、 (3)有害化学物質の解毒作用、 (4)免疫活性作用―がある。

 特に感染防御に欠かせない免疫系への働きでは、 グルタチオンが抗体産生に関与しており、 キラー細胞等のサイトカインを活性させる基幹物質と見られている。

 無農薬栽培キノコの機能解明に注力。 

 30年前から無農薬によるキノコ栽培を手掛けるまりも製薬(株)は、 その機能性の解明に力を入れている。

 出荷の75%を占めるアガリクス・ブラゼイ・ムリルについては、 NK細胞の活性をモニター試験により確認している。

 がん患者6名に対して、 同社製アガリクス・ブラゼイ・ムリル含有食品を1日12粒、 8週にわたり継続摂取させたところ、 NK活性E/T比20:1の数値が経時的に上昇していることから、 アガリクス・ブラゼイ・ムリルの長期摂取でNK細胞が活性化していることが認められた。

 また、 QOLに関するアンケート調査から、 被験者全員に意欲の向上や倦怠感の減少といった何らかの体調改善があることが分かった。

 一方、 アガリクスについで同社が力を入れているものが、 ヤマブシタケだ。 注目の痴呆改善効果についてもモニター試験で確認している。

 医師立会いのもと、 痴呆症患者8名に同社製のヤマブシタケ含有食品を摂取させたところ、 被験者全員に痴呆の改善傾向がみられたことも判明している。

 同社は、 キノコの栽培にビンや菌床ブロックをいち早く取り入れた企業としても知られる。

 アガリクスやヤマブシタケに関するこれらの機能研究をバックボーンとして、 「消費者から姿が見える生産者」 を目指す。

 日本の代表的健康素材である海苔とお茶の2品をブレンド。 

 日本伝統の健康食素材の機能性に大きな注目が集まっている。 海苔のトップメーカー(株)白子は、 日本伝統の健康食素材である 「海苔」 と 「お茶」 を組み合わせた健康食品 「青汁でサラサラ」 (3.6g×14袋・1,470円) の販売を開始している。

 同商品は、 海苔を使用した初めての"青汁"で、 海苔の磯臭さをお茶とブレンドすることで大幅に軽減したのが特長。

 食物繊維を豊富に含有する他、 12種類のビタミン、 9種類のミネラル、 必須アミノ酸8種類に加え、 お茶のカテキン、 テアニン、 海苔のEPAも含有している。

 同社独自の技術で微粉化することで、 海苔の消化性を高めることに成功。 海苔の水溶性植物繊維によるとみられる便通改善効果も顕著で、 健康を維持し、 体内から美容効果を創出する商品として、 医家向け市場からの評価も高まっている。

 また同社では、 「特に脂肪分の採りすぎの方、 食物繊維が不足気味の方」 に強くお薦めしたいとのこと。

 なお、 同社では自社HPの通販で販売を開始し、 その後、 薬局、 ドラッグストアへ販路を拡大していく方針。

 ベジキャップソフト従来品と同等の機能性を確認。 

 今年前半、 世間を騒がしたBSE。 その影響もあってか、 動物由来のものから植物由来のカプセルに切り替えるもメーカーが後を絶たない。

 ソフトカプセル受託の大手・カーディナルヘルスジャパン408(株)は、 米カーディナル・ヘルス社が開発した植物由来ソフトカプセル 「ベジキャップソフト」 の受託製造を実施、 メーカーからの注文が殺到している。

 ベジキャップソフトの主成分は、 国際食品添加物にもなっているカラギーナンとデンプン。 カラギーナンは海藻由来のものを、 またデンプンもトウモロコシ由来のものを使用、 100%アニマルフリーのソフトカプセルを実現した。 どちらも国際標準規格に基づいて承認されている原料である点も利用者側にとっては大きな魅力だ。

 カプセルへの充填が可能なのは、 油状およびペースト状のもの。 ビタミン・ミネラル、 ハーブ類などが多いという。 色や形状も従来のソフトカプセルと同様の選択ができ、 内容物の充填量も大きさと形状によるが、 約0.16mL〜1.1mLの範囲内で調整が可能となっている。

 ベジキャップソフトの機能性については、 従来のゼラチンカプセルと同等であることが種々の試験によって明らかにされている。 吸湿性や酸素透過性、 安定性について、 ベジキャップソフトと従来のソフトカプセルとを比較した結果、 それぞれの機能において、 ゼラチンを基剤とした従来の皮膜カプセルと同様であることが判明した。

 なお、 ベジキャップソフトのカプセル化技術は、 オーストラリアや米国での特許において特許権が付与されており、 その他の国々でも、 現在特許を申請中である。

(Medical Nutrition 67号より)


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