特集 「免疫療法」現場から

 サプリメントに集まる期待、ウイルス感染にも効果。

 免疫療法に欠かせないサプリメント。米ぬかアラビノキシラン、免疫ハーブ「エキナセア」など、今注目のサプリメントの研究動向を追ってみた。


 米ぬかアラビノキシラン誘導体をトクホに申請。

 医療現場で免疫活性作用が確認されている機能性食品素材「米ぬかアラビノキシラン誘導体」を製造する大和薬品(株)(TEL03-5430-4050)は、同素材の有効性がヒト試験で確認できたことから、3月中にも特定保健用食品(トクホ)の申請を行う。

 保健用途表示ができるトクホは、申請時に最終製品を使った有効性試験(ヒト試験)の結果と、有効成分を特定し構造決定したものを示す基礎資料を提出することが義務付けられている。

 同社が複数の大学に委託して実施したヒト試験では、高齢者の免疫活性作用を調べるため、老健施設の入院患者の中からウイルス感染症の80人(平均年齢75歳)をランダムに選び、試験食群(40人)とプラセボ群(40人)に分け、45日間の症状の変化を観察した。試験食群には、アラビノキシラン誘導体を1日1g摂取してもらった。

 風邪の症状である、鼻水、発熱、倦怠感などをスコア化し、双方を比較したところ、風邪にかかる頻度に変化は見られなかったものの、試験食群は総じて症状が軽く、罹患期間も短い傾向にあることが統計的有意差をもって確認された。

 一方、関与成分の特定と分子構造もほぼ明らかになってきた。米ぬかから抽出した水溶性食物繊維、アラビノキシランは、椎茸の酵素で作用させた後に、特許製法で製造する。アラビノースとキシロースが結合した多糖体を形成しているが、これにフェノール系物質が含まれていることが判明したことから、同社では「こうした立体構造をした成分が、NK細胞を誘導するうえで大きく影響しているのでは」(前田研究開発部長)と話している。

 米ぬかアラビノキシラン誘導体を主原料とした機能性食品は、「MGN-3」の商品名で、米国の医療現場でも採用されている。UCLA/DREW医科大学免疫学のマンドゥ・ゴーナム教授の研究では、「MGN-3」が、がん細胞のアポトーシス作用を誘発させることを確認している。

 米国において「MGN-3」を臨床応用する医師は約2000人で、投与した患者数は5万人にのぼる。また、米国以外にもEUなど世界16カ国で使用されており、その評価は国内よりもむしろ海外のほうが高い。このため同社では、トクホ取得を契機に国内での普及活動に力を入れたい考えだ。

 また、国内外の医療機関が、米ぬかアラビノキシラン誘導体に注目するようになって以来、類似品が出回るようになったこともあり、「類似品との差別化という意味でも何としてもトクホを取得したい」(二宮社長)と話す。


 アガリクス子実体と菌糸体を混合。

 白鳥薬品(株)(TEL047-453-3165)の「姫松茸吉祥丹(ひめまつたけきっしょうたん)」は、アガリクス・ブラゼイ子実体(岩出101株)と、IBI株の菌糸体を主原料としたサプリメント。同品は子実体の細胞壁を破砕処理したうえ、菌糸体にも酵素処理を施して吸収率を高めている。窒素充填のスティック包装となっており、携帯にも便利だ。

 ヒメマツタケには、抗がん作用、がんの予防作用、血糖降下作用、血圧降下作用、コレステロール低下作用、動脈硬化改善、ビタミンD2様作用、肝機能改善作用、抗アレルギー作用など幅広い食効が知られている。

 菌類薬理研究所の伊藤均博士によると、ヒメマツタケ子実体より分離される画分は、中性多糖、酸性ヘテロ多糖、たんぱく多糖および核酸など多様であり、なかでもβ(1→6)-D-グルカン・たんぱく複合体が最も高い抗腫瘍効果を示した。


 免疫療法に適したキノコ純末製品。

 アガリクス・ブラゼイと並んで免疫療法によく用いられるのが、メシマコブ。「幻のキノコ」として珍重されたというエピソードもあり、一般にも知られるようになってきた。統合医療の現場では、がん患者の進行抑制はもとより、化学療法の副作用の軽減、QOLの向上を目的として幅広く用いられている。

 しかしその貴重さゆえに、中には類似のキノコがメシマコブとして市場に出回るケースもある。漢方製剤の原料となる生薬を取り扱う日本生薬(株)(TEL03-3221-2835)では、独自の生薬調達ルートを生かして各種キノコサプリメントを医師・薬剤師向けに供給している。

 ラインナップはアガリクス・ブラゼイ、チャーガ、鹿角霊芝、ヤマブシタケ、天然メシマコブの5種類。それぞれ刻み分包品と粉末品がある。このほか、天然メシマコブには粒状の製品も用意されている。同社の製品に使われているのは、ツムラ研究所で真正のメシマコブ(Phellinus linteus)と認定されたものを使用している。

 粉末品は、入手した原料を自社工場で選別し、殺菌のうえ微粉末に加工したもの。添加物は使用せず、重金属や残留農薬のチェックも行われる。体調に応じて1日5〜15gを摂取する。一方、刻み分包品は1日1〜3袋分を目安に煎じて飲む。

 天然メシマコブの熱水抽出物には、アポトーシス誘導作用が確認されている。また、腫瘍細胞を移植したマウスにメシマコブ熱水抽出物を投与すると、対照群に比較して腫瘍細胞の生着が抑制された。


 欧米で人気の免疫ハーブ「エキナセア」。

 全国的に猛威を振るうインフルエンザ。抗ウイルス薬の供給が間に合わないと、メーカーが異例のおわび会見をしたのは記憶に新しいところだ。欧米には、かぜなどのウイルス感染症に対して人気のメディカルハーブがある。それがエキナセア。米国ハーブサプリメント市場で7年連続売り上げ1位に君臨し、ドイツでは医薬品として承認されていることからも、その評価の高さがうかがえる。

 キク科の植物であるエキナセア製品には3種類の近縁種が用いられる。エキナセア・プルプレア、エキナセア・アングスティフォリア、エキナセア・パリダである。それぞれの根、葉、花、地上部あるいは植物全体が使われている。

 古くは米国先住民が約400年前から痛み、かぜなどに対して経験的に利用してきた。その後全米で評価されるようになり、19世紀末には欧州に伝わり医薬品として利用されるに至った。ドイツで販売されている医薬品「エキナシン注射液」は、プルプレアの地上部の搾汁濃縮エキス。米国では複数のエキナセアを混合したサプリメントがよく使われている。

 多くの臨床試験の結果、上気道感染症の予防と治療に対して有効性が裏付けられている。咳、熱、悪寒などの症状を軽減する。投与初期に十分な量を投与することがポイント。免疫増強作用、抗炎症作用、創傷治癒作用、抗菌作用などがある。

 エキナセアの成分はポリサッカライド、グリコプロテイン、フラボノイドなどがあり、これらの総合的な働きで機能が発現するとされる。ドイツのルドルフ・バウアー教授、ヒルデルト・ワグナー教授によると、エキナセアの免疫刺激作用に関しては、親油性アルキルアミドまたはシコリック酸(コーヒー酸誘導体)が関与する。

 (株)ユニコ(TEL03-3243-0770)では、ドイツのエキナセア濃縮エキス、タブレットを輸入販売している。


 アガリクスや霊芝など完全無農薬栽培により全国へ展開。

 20年ほど前から、各種きのこの栽培を手がけるまりも製薬(株)(TEL0155-25-3312)は無農薬栽培のパイオニア。アガリクス・ブラゼイ・ムリルやヤマブシタケ、霊芝など栽培品目も多彩だ。

 同社は、静岡大学名誉教授水野卓氏(故人)との共同開発により、無菌室でのアガリクス・ブラゼイ・ムリルの完全無農薬栽培に成功、現在は北海道地域を中心に行っている原料やOEM供給を、差別化を図りながら随時全国展開をしていく方針だ。

 同社が使用している種菌はブラジル産。温度や湿度もブラジルと同様にし、ブラジル産と同等の含有成分なのが特徴。また漢方きのこ栽培研究所主催による第1回健康セミナーを帯広市内で開催するなど、学術啓発にも力を入れており、静岡大学名誉教授の水野卓氏による講演では、食用キノコの生理活性を利用した機能性食品を通じて、食によるがん予防の促進も強調された。


免疫賦活食品〜薬局店頭から

アクティブヒーリング研究会主宰 榎本光志氏

「免疫に関わる機能性食品は、その作用機序から考えて2つに分けると分かりやすい」と語るのは、アクティブヒーリング研究会を主宰する榎本光志氏(エノモト薬局)。「店頭薬理学」の重要性を唱える第一人者だ。2つの分類とは、白血球介在型と酵素介在型。アガリクス・ブラゼイやメシマコブなどのキノコ類は前者に、CPL(環状重合乳酸)は後者にあたる。

白血球介在型の免疫賦活とは、機能成分が白血球の膜表面にある受容体に結合し、その細胞を活性化させること。例えば、NK細胞が活性化すると、パーフォリンががん細胞の膜に穴をあけ、消滅させる。一方、酵素介在型の免疫賦活食品は、がん細胞の細胞死をもたらす自然の過程を増強して、抗がん作用を発揮する。がん細胞は酸素不足であり、嫌気的解糖系によってエネルギーを産生しているが、CPLはそのキー酵素となるLDH(乳酸脱水素酵素)を特異的に阻害する。すると、がん細胞はエネルギーを産生できず、死に至るわけだ。

このように、機能性食品のメカニズムを踏まえて使えば、より合理的、効率的な指導につながるという。

また、がん細胞は増殖していくと、白血球の抑制因子を産生することにより、マクロファージ、細胞障害性T細胞、NK細胞が十分働けない状況になる。榎本氏は「そのような状況下では、いくら免疫担当細胞ががんばっていても、限界がある。白血球への働きとは別に、がん細胞そのものへのダメージを与えるアプローチを併用した方が、免疫細胞が働きやすいのではないか」とアドバイスする。


(Medical Nutrition 47号より)


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