特集 「免疫療法」現場から

 半断食、がん休眠療法・時間差療法、免疫ミルク、キノコなど、多彩に広がる「免疫療法」。

 さまざまなサプリメントや方法で免疫療法に取り組む医師が増えている。彼らが口を揃えて言うことは、がんの治療に最重要なことは免疫力を高めるということ。免疫療法への取り組みの実際をレポートする。


 メスのいらない手術"半断食"で腸を浄化

 鶴見クリニック 鶴見隆史院長

 腸を清潔にすることを第一とした統合医療で、がんが劇的に良くなる。

 「ファスティング(半断食)はメスのいらない手術」――鶴見クリニック(東京都中央区)の鶴見隆史院長はこう語る。ファスティングとは、断食に近い状態を続けて腸内をクリーンにする方法だ。腸が汚れ、血液が汚れ、病気になる――。腸を清潔にすることを第一とした統合医療で、がんが劇的に良くなるケースが相次いでいるという。

 その中からいくつかの症例を聞いた。まず、大腸がん腹膜リンパ節転移の患者。CEAが10.2ng/ml(正常値2.5以下)あった。治療の3本柱である(1)機能性食品(2)生食(野菜・果物)を中心としたファスティング(3)物理療法(遠赤外線)――を施行した。なおファスティング中は、玄米を黒焼きにした「ブラックジンガー茶」、梅干、果物、サラダを中心に摂取。組み合わせと量は状態に応じて細かく調節する。

 治療を開始すると、劇的に体調がよくなり、黒い宿便が消失した。下痢や軟便の状態であったが、大便の色が茶褐色になった。肩こり、背中の痛み、頭痛も消失。CEAは3.9になった。その後もファスティングのメニューを変更しながら治療を続けるうち、2.6、2.1、1.4へと順調に低下していった。そこでPETを施行したところ、がんは見つからなかった。

 前立腺がんの症例では、PSAが初診時15ng/mlであったものが、上記の治療を行うと一気に低下し始め、4ヵ月後には0.5以下に低下した。骨シンチグラム、CT、MRIによる検索でも、前立腺がんは痕跡があるのみであった。転移もなかった。

 鶴見院長が用いる機能性食品の主力は、「山寿源」。5種類のキノコ(アガリクス・ブラゼイ・ムリル、霊芝、冬虫夏草、マイタケ、シイタケ)のハイブリッド抽出品で、自ら効果を実感したという。一方、クマイ笹の抽出物で、免疫賦活作用、抗ピロリ菌作用が知られている「AHSS」も用いる。

 訪れる患者は肺がん、乳がん、前立腺がん、大腸がんなどで、すべての症例で良好な結果が得られているという。「機能性食品だけでがんが治ったとは言ってはいけません。まず全身の状態をよくすることから始めなければ」。鶴見院長は力説した。

 健康のための食養生

 1.酵素、ビタミン、ミネラル、抗酸化物質(ポリフェノール・イノシトール・フラボノイド・カロチノイド・フェルラ酸他)の多い食品(果物と生野菜に多い)の摂取。

 2.良い水の摂取。

 3.繊維の多い食べ物の摂取(やはり野菜と果物)。

 4.良いエネルギー源(クリーンなエネルギー)=複合炭水化物の摂取。

 5.ピュアな食品(白砂糖、白米、精製塩、白いうどん他)は摂らない。

 6.高たんぱく食は控える。

 7.良質の脂肪の摂取。(酸化した脂肪、トランス型脂肪、リノール酸過多食は禁止し、オメガ3系、オメガ9系を多く摂る)。

 8.過食は控える。夜食も控える。

 9.タバコは禁止


 免疫賦活効果高いノルウェーベータグルカン

 東京衛生病院 水上治医師

 がん細胞の著しい縮小がみられ、ほとんど完治の状態にまで至ったケースも。

 各種のサプリメントを組み合わせた免疫療法を施している水上治・東京衛生病院健康医学科長兼健康教育部長。最近、自らが「効果の手応えを感じた」サプリメンを紹介する書籍を上梓したが、今回はその手応えのあるものの中からノルウェーベータグルカンに焦点を絞り、その治療法と効果を聞いた。

 ノルウェーベータグルカンは、パン酵母から抽出された天然成分が主原料。ベータ(β)グルカン1,3/1,6グルカンを豊富(75%以上)に含むことから優れた免疫賦活効果が期待されている。これまでの投与例は200人以上。ほとんどが進行がん患者だった。進行がん患者は、大部分が抗がん剤や他のサプリメントを併用しているため、単独での臨床例はない。しかし、相乗効果は非常に高く「がんの進行を遅らせる働きは個人差があるものの100%」と水上氏は効果を強調する。その効果として確実に言えるのは「QOLの向上」と「延命効果」。抗がん剤と併用する場合には(1)抗がん剤の副作用の軽減(2)白血球減少の防止(3)がん手術後の体調回復促進(4)腫瘍の退縮促進――などの効果が得られている。

 著効例をあげるなら、1.5cmの腫瘍が3個見つかった20代女性のケースがある。この女性にはキノコ由来製品とともにノルウェーベータグルカンの摂取を勧めた。そうしたところ、がん細胞の著しい縮小がみられ、ほとんど完治の状態にまで至った。もちろん、この結果は前述のようにノルウェーベータグルカンだけの効果とは断言できないものの、キノコ類の栄養成分との相乗効果が明らかに現れた結果といえるだろう。

 がんの治療においては、メインは免疫機能を上げること。

 水上氏が勧めるノルウェーベータグルカンの摂取方法はこれも個人差によって変えるが、朝夕2回(1回300mg〜500mg)服用するというもの。摂取期間は2〜3カ月を一つの目安として、その都度患者の状態を評価し効果があるようなら続けさせ、なければ他の治療法に移る。この評価の繰り返しが続く。

 なお、ノルウェーベータグルカンの免疫賦活のプロセスは次のようなものと見られている。(1)β1,3/1,6グルカンが腸管でマクロファージなどの免疫細胞にある受容体と結合し、これを活性化(2)β1,3/1,6グルカンに結合された免疫細胞が刺激されて、がん細胞などの異常自己細胞を分解する際に活性化された細菌を殺したり、細菌を飲み込んで消化したりする働きを強める物質を生産(3)活性化された免疫細胞がサイトカインを産生し、そのサイトカインが抗体産生に関わる「B細胞」「T細胞」に指令を出し総合的な抵抗力を発揮――というものだ。これを実証する研究としては、新潟大学医学部が行ったマウス実験がある。それによると、ノルウェーベータグルカンを投与したマウスでは腸管免疫機能が刺激され、リンパ球が大量に生産されていることが確認されたという。

 水上氏の考えでは、がんは「免疫不全状態に陥ったときに発生する病気」。このため、免疫力を高めることが最重要だと話す。「がんの治療においては、メインは免疫機能を上げることと考えます。いわゆる三大療法はサブ的なものではないでしょうか。もちろん、三大療法を否定するつもりではなく、ケース・バイ・ケースですが」と。


 アガリクスによるがん休眠療法

 C.L.I.内科皮膚科診療所 森時孝理事長

 他の健康食材との相乗効果も期待できるアガリクス。

 池袋で30年近く診療所を開業しているC.L.I.内科皮膚科診療所(東京都豊島区)では、免疫賦活のための指導としてアガリクスを利用、がんの休眠療法に成功している。

 診療所で理事長を務める森時孝氏によると、診療所で指導しているのは(株)クレモナ社製「クレモナのアガリクス 細胞壁破砕X」。形態が錠剤や顆粒だと、添加物などが混じってしまうため、体内で有効成分がスムーズに吸収できないおそれがあるからだ。

 また、指導する時期についても森理事長は、化学療法や放射線療法を行う前に行うのが理想的だと話す。「化学療法や放射線療法による免疫力低下を防ぐ」のがその目的だが、どうしても不可能な場合だってある。そのような場合には「実施後3〜6カ月安定させてから使用するのが良いでしょう」と森理事長はアドバイスする。

 現在、森理事長が最も注目しているのは、アガリクスと他の健食素材との相乗効果。特にキチン・キトサンやプロポリスに対する相乗効果には高い関心を持っている。「キチン・キトサンには、腸内の悪いものを吸着して体外に排出させる作用があるため、免疫力の向上に都合の良い腸内環境を作るようです。一方、プロポリスのもつ殺菌作用も免疫力の向上に一役かっているようです」。ただ、プロポリスの場合、顕著な殺菌効果を期待するのであれば、1回8cc×3回摂取が必要で、費用がかかりすぎてしまう難点があると森理事長は解説する。

 乳がん腫瘍の休眠状態など、アガリクスを用いた臨床例も豊富。

 ここで、森理事長に今まで臨床応用したアガリクス抽出エキスの指導例をいくつか紹介してもらう(それぞれ2001年に指導したもの。各症例とも、通院時に(株)クレモナ社製「クレモナのアガリクス 細胞壁破砕X」1日3袋(300g)、朝・昼・晩の摂取を指導している)。

 ケース1:40歳代半ばの女性乳がん患者。左乳房に2.6×2.6cm大の腫瘍とリンパ腺の肥大があった。癌腫瘍マーカーはそれぞれ正常値だったが、左腋窩にもリンパ腺肥大があった。

 同診療所でアガリクス抽出エキスを指導、摂取後1カ月で左乳房にあった乳がん腫瘍は2.3×2.0cmの大きさになり、左腋下にあったリンパ腺肥大は増殖しなくなった。最終的には3カ月間摂取してもらったが、乳がん腫瘍は2.3×2.0cmの大きさを維持、以降休眠状態に入り、経過も安定した。

 ケース2:50歳代前半の女性乳がん患者。左乳房に乳がんが再発し、頚部や肺にも1部ずつ転移していた。

 同診療所でアガリクス抽出エキスを指導後、腫瘍マーカーの値の推移を調べると、CA15-3については、摂取3カ月後で30.0、摂取6ヵ月後には26.0に改善した。

 また、NCCST439(正常値7)については、摂取直前では67.0あった値が、摂取3カ月後には82.0といったん上がったものの、摂取6カ月後には8と正常値近くにまで回復した。


 がん「時間差療法」を具体化

 九段クリニック 阿部博幸理事長

 日周リズムに合わせた治療で、有効性・安全性双方にメリット。

 「クロノセラピー(時間治療)」――さまざまな疾病の治療において、生体の日周リズムを加味した薬物治療を行うことが、有効性・安全性双方でメリットがあることがわかってきた。とりわけ研究が進んでいるのはがん化学療法の領域。がん細胞の増殖に日周リズムがあり、それにあわせて抗がん剤を投与する。それは同時に、正常細胞への影響を最小限に抑えることにつながる。

 この手法をサプリメントにも応用し、より合理的ながん統合医療を推進しようとする動きが出てきた。その中心となるのが、医師らで構成する「ファイトケミカル&時間差療法研究会」(会長・阿部博幸九段クリニック理事長=写真)。昨年暮れに発足した。

 「がん細胞は夜間に細胞分裂が活発になることがわかってきました。一方、人体の日周リズムは午後から免疫細胞の活性が下がり始めます。よって、午後に免疫力を高めるものを摂取し、夜はがん細胞のアポトーシスを誘導するものを摂取するのが合理的です」。阿部理事長はこう解説する。

 では、数あるサプリメントの中で、どれを選びどのような形で組み合わせたらよいか。同会では秋ウコン、アガリクス・ブラゼイ菌糸体、モズク由来フコイダンを挙げている。

 秋ウコン(ターメリック)の機能成分はクルクミン。その抗がん作用は抗酸化作用と血管新生阻害作用にあるとされている。

 アガリクスは、すでに免疫療法の現場でポピュラーな素材。その免疫賦活作用は幅広く知られるところとなっている。市場に出回っているアガリクスは、子実体と菌糸体がある。

 海藻のヌメリ成分には、フコイダンと呼ばれる多糖体が含まれている。沖縄産モズク由来のフコイダンには、アポトーシス誘導作用が報告されている。

 朝、午後、夜間で3種のエキスを飲み分け。

 これらの素材の機能をどう生かすか。そのポイントが「時間差」だ。阿部理事長によると「体が始動する朝に血管新生阻害作用をもつ秋ウコンを、免疫細胞が低下する午後には免疫賦活作用のあるアガリクスを、がん細胞が成長する夜間にはアポトーシス阻害作用を有するフコイダンをといった具合に、時間帯に応じて飲み分けると、体の免疫力を高めながら、がん細胞を効果的に攻撃することが期待できます」。

 研究では、各エキスを混合で使用した場合、単体で別々に投与した場合の抗腫瘍作用を検討している。その結果、時間差療法の有用性が示された。

 同会は時間差療法のメリットを「正常細胞を傷害することなく、がん細胞を標的にコントロールし、がんとの共存が可能になる。三大療法の弱点を補完できる。再発予防に使える」などとし、今後、医療関係者向けの研究会などを開催する。

 また、同会は時間差療法に適したサプリメント「植物性TAF複合体」を(株)沖縄発酵化学と共同開発した。3種の濃縮エキスが1回分(50ml)ずつレトルトパックに包装されており、摂取しやすい形態となっている。


 「スターリミルク」を長年に渡り関節リウマチ患者に使用。

 松多内科医院(リウマチ・東洋医学研究所) 松多邦雄 院長

 延べ700人以上の患者に飲用、副作用がなく関節リウマチ患者に大きな満足度。

 松多内科医院(世田谷区)の松多邦雄院長は関節リウマチの治療の一環として、「免疫ミルク」として親しまれている「スターリミルク」(兼松ウェルネス(株):港区)を1995年から7年間にわたり使用している。これまでに飲用した患者は延べ700人以上になるとのこと。
「スターリミルク」は米国スターリ社において、人に感染しやすい26種類の細菌を無害化させ、ウシに免疫して出来た抗体と抗炎症因子等の生理活性物質を含むミルクである。米国や英国の試飲試験結果は多数あり、米国では関節リウマチに効果を示す抗炎症因子を含むミルクとして特許が得られている。日本においては、九州大学名誉教授の野本亀久雄氏を中心とした研究グループの基礎研究データがある。

 前述したように松多院長によると、延べ700人以上の患者に飲用してもらったが、便がゆるくなる(乳糖不耐症:生体内の乳糖分解酵素の働きが弱かったり、弱くなることで、軟便化、腹痛等をおこす現象)というようなこと以外は、副作用は全くない。市販のミルクに比較し価格は高いように思われるが、関節リウマチ患者の満足度は大きい。使用し始めたきっかけは、通院していた関節リウマチ患者の1人の方が「スターリミルク」の話を院長に尋ね、院長が情報を入手してメーカーに問合せをしたことからである。それまでに、松多院長は海外の留学経験や学会で抗体入りのミルクというもの自体は知っていたという。当初はメーカーである兼松ウェルネス(株)が会社を設立して間もないときであり、日本での飲用結果を収集しているときでもあったのでメーカーとのタイアップで同院での関節リウマチ患者の試飲試験を開始した。その後、それらの結果は過去3回のリウマチ学会において発表している。

 3回のリウマチ学会での発表は、同院通院の関節リウマチ患者に「スターリミルク」或いは対照物を3〜6ヵ月間飲用してもらい血液検査、アンケート調査を行った結果をまとめたものである。1回目の発表では、飲用前後で関節点数に「スターリミルク」飲用群に有意な改善傾向が見られた。2回目の結果では、血液検査において関節リウマチの活動性を示すA/G、CRPに関して有意な改善が見られた(P<0.05)。そこで、どのような関節リウマチ患者に有効であるかを検討するために血液中のサイトカイン濃度を測定した。

 その結果、IL-12、TNF-αの2つのサイトカインの割合、つまりIL-12/TNF-αが低い患者で「スターリミルク」の有効性が高く(P<0.05)、有効例では試飲後IL-12やTNF-αの増加する傾向が見られた。このことからTh1細胞とTh2細胞の免疫バランスを調整する可能性が示唆され、本主旨で3回目の報告をした。現在、更に「スターリミルク」が関節リウマチ患者の免疫バランスを調整できるのはどのような特徴のある関節リウマチ患者なのかをテーマに試飲試験を継続している。松多院長は、今迄のデータを再検討するとともに、更に関節リウマチ患者への使用条件を絞り込み、患者にとって有効的な使い方をしていきたいという。


 がん・サプリメントの総合的戦略

 あさひ医王クリニック 上野紘郁院長

 新潟市のあさひ医王クリニックでは、末期がんの患者に対してプロポリス併用を指導し、症状改善に成功している。

 サプリメント併用で再発がんの症状改善に成功。

 クリニックでは、プロポリス単独で使用する場合もあるが、免疫力を低下し続けるのを防ぎ、がん細胞からの免疫抑制するがん要素の分泌を減らすサプリメントを併用する。具体的には、がんの血管新生を抑制するサメ軟骨、がんのアポトーシスを誘導するフコイダン、発がんプロモーションを抑制する紫イペ、胃腸を丈夫にする漢方などだ。クリニックの上野紘郁院長によると、これらを併用することで「プロポリスにない生体作用を補うと同時に、全身の免疫力を強化することができ、より効果的にがんを壊滅させることができる」という。

 そこで、上野院長にプロポリスと他のサプリメントとの併用例をケーススタディの形で紹介してもらう。

 症例は直腸がん術後肝臓に再発した56才男性。平成13年6月、便に血が混ざっていたので、驚いて総合病院外科に行って内視鏡をしてもらったところ、直腸がんと診断され、2週間後に根治手術を受けた。その後、症状もなく元気に過ごしていたが、平成14年7月に全身倦怠と食思不振を認め、3ヵ月ごとの検診に行ったところ、肝臓に2個2cm大と3cm大のがんの転移を認めたので、5-FU(800mg/m2点滴静注)とロイコボリン(10mg/m2筋注)の抗がん剤治療を2週間ごとに6回行った。しかしがんは縮小せず腫瘍マーカーも増加してきたので、プロポリスを1回3cc、1日3回内服により併用した。

 約1ヵ月経過したが、変わらず同院へ通院。プロポリス単独では弱いので、サメ軟骨、フコイダン粒、紫イペカプセル、十全大補湯などを併用したところ、元気が出て肝機能や腫瘍マーカーのCA19-9やCEAも正常化してきした。

 約1ヵ月経過したが、変わらず同院へ通院。プロポリス単独では弱いので、サメ軟骨、フコイダン粒、紫イペカプセル、十全大補湯などを併用したところ、元気が出て肝機能や腫瘍マーカーのCA19-9やCEAも正常化してきした。

 サプリメントの併用はこれからのがんの治療には必須条件。

 上野院長は、プロポリスなどの免疫賦活剤を単に常用量だけ摂取させる医師の指導方法に警鐘を鳴らしている。そのため「体内の免疫機構をしっかり勉強した医師の指導のもとで行われるのが効果的」だとコメントする。特に免疫療法では、免疫の測定を投与前後に行い、臨床効果と共に観察しながら治療していく必要があるため、サプリメントの併用はこれからのがん治療には必須の条件だという。

 このため、クリニックでは(1)飲む総量が多くなるため、消化剤などを処方して胃を丈夫にする(2)おいしく摂取できるよう工夫する(3)サプリメントの併用は、経済的負担が増すため、患者の希望も取り入れて併用数や量を加減する(4)患者さんに充分納得してもらったうえで積極的に摂取してもらう−などの諸点に注意して指導している。但し、今までの悪い生活習慣を見直し、玄米や菜食、海草などの和食を中心に摂取、定期的な運動やストレス解消など、患者自身も治療に対して前向きな気持ちでとりくむことが大切だとして上野院長は患者にエールを送る。


 L・E・Mの併用で副作用を抑制

 中浜医院 中浜力院長

 副作用がないのは健食の魅力。

 大阪府の中浜医院では、シイタケ菌糸体エキス「L・E・M」含有サプリメントを臨床現場で応用、C型肝炎や抗腫瘍などの疾病改善や、インターフェロン療法による副作用の抑制など幅広く利用されている。

 「健康食品が長期に摂取する食品であることを考えると、副作用がないことをまず確認し、対象疾病の症状緩和といった効用や作用機序を少しでも明確にするべきだ」――医院の中浜力院長のメーカー側に対する要望だ。

 そんな中浜院長が臨床応用しているL・E・M含有サプリメントは、多くの研究機関によって研究成績が発表されているのが大きな強みだ。

 L・E・Mの有効性が確認されているのは、免疫賦活や肝細胞保護、抗腫瘍・ウイルス・アレルギー・コレステロールといった作用。なかでも、C型肝炎に関する臨床報告は多く、GOT・GPTの改善や血中ウイルス量の減少などが共通して認められ、患者の全身倦怠感や食欲改善作用も報告されている。副作用に関しても、L・E・Mの併用は有用だ。「C型肝炎の有力な治療法であるインターフェロン療法では、治療中に発熱や食欲不振、全身倦怠、抑うつといった副作用が高い頻度で発現します。しかし、L・E・Mと併用することで、この副作用を著しく抑制することが確認されている」と中浜院長は、その効果のほどを話す。

 C型肝炎患者、がん患者でL・E・Mの作用は臨床でも明らかに。

 L・E・Mの有効性や、併用による副作用の抑制に関しては、中浜院長が行った臨床試験からも確認されている。

 インフォームド・コンセントを得たC型肝炎患者3名、がん患者11名、他疾患患者5名の計19名に、L・E・Mを1年半摂取させ、血液検査を定期的に実施し、変化・検討を行った。

 その結果、C型肝炎患者では、GOT・GPTの改善や血中ウイルス量の減少などがみられた一方、がん患者では、L・E・M飲用前には健常人と比較して有意に低下していた血中LAK活性(がん細胞を攻撃するリンパ球の一種)が、摂取後では明らかに増加傾向を示すと同時に、腫瘍の縮小も一部で認められた。

 症例のうち54歳の男性は、C型肝炎からの肝硬変で、強ミノ療法と小柴胡湯で治療中だった。L・E・M投与1ヵ月目、腹部CTによって直径5cmの肝臓がんが発見された。がんを攻撃する特殊リンパ球活性は、L・E・M服用後で比例的に上昇しているため、紹介病院に説明したうえで、L・E・Mの服用を継続してもらった。

 がん診断約1ヵ月後に行われた肝臓がん肝動脈塞栓術後には担当医から、初診時と比較して肝臓がんの縮小が報告された。原発性肝臓がんが1ヵ月で自然に縮小することは極めて稀で、がん免疫系の反応データも良好だったことから、中浜院長は「L・E・Mの直接効果が推測された」とコメントする。代替医療の臨床応用――この世界規模での発展に中浜院長は大きな期待を寄せる。


 免疫をモニターしながらキノコを

 水嶋クリニック 水嶋丈雄院長

 ハタケシメジの使用でT細胞のバランスが変化。

 効くものは何でも取り入れる――こう語る医師がいる。学生時代から鍼灸、漢方薬に興味を持ち、「なるべく薬を使わないで治す医療を心掛けてきました」と話す長野県佐久市の水嶋丈雄・水嶋クリニック院長がその人だ。

 フォローするがん患者は50〜60人。治療は(1)免疫力の向上(2)活性酸素除去という2方向のアプローチがメインだ。がんと診断された時点、または初診時に免疫能をチェックし、そのプロフィールに基づいて治療方針を決定する。血管新生抑制作用を持つサメ軟骨や熊の胆を組み合わせることもある。「健康食品などで免疫力を上げる治療を続けることが体にとっては必要」なのだ。

 「ハタケシメジは乳がん、前立腺がんといったホルモン依存症のがんに効果的との印象です。メシマコブと霊芝は抗ウイルス作用が考えられ肝細胞がんなどウイルスの関与が疑われるがんに。アガリクス・ブラゼイのように善玉菌を含むものは消化器腫瘍に用います。消化器腫瘍の患者では、悪玉菌のウェルシュ菌が優位な場合が多いからです」

 ハタケシメジの場合、標準的な使用量は1日9カプセル、毎食後3回の服用。症例によっては量が変わることもある。しかし、概ね、2週間から1カ月で体調がよくなり、なんとなく体がしっかりしてくるとの反応が多い。3カ月ほど摂取し続けると、ヘルパーT細胞のバランス、すなわちTh1/Th2の比率がTh1優位になってくる。また、インターロイキン18の上昇も見られるという。

 乳がん転移による胸水が完全消退。

 著効例を2つ。「ある50歳の女性は、乳がんが肋膜と骨に転移し右肺の3分の2にわたって胸水が貯留していました。余命3カ月と宣告され、最後の手段として2001年6月に当院を受診したのです。腫瘍マーカーCA15−3は370U/驕i正常30以下)でした。すぐに、ハタケシメジを開始したところ、みるみるうちに胸水が減少。半年後にはCA15−3は230U/驍ワで低下しました。昨年6月には胸水は完全に消退して、主治医は頭をひねっていたとのことです」。

 「糖尿病の62歳女性は生活習慣の改善に同意しない患者でしたが、ハタケシメジの摂取を希望したために単独使用になりました。そうしたところ、ヘモグロビンAlcが8.0%から6.1%に減少しました。この患者は交感神経が過緊張にあったと考えられます。そのためリンパ球の機能が低下しインスリンの分泌が低下するという悪循環に陥っていたのでしょう。βグルカンは副交感神経を優位にするので、間接的にインスリン分泌を促進したのです」。

 むろん、水嶋氏もすべて健康食品でうまくいくわけではないと話す。「大切なのは、いくつの症例に使用していくつ効いたか。どの症状に効き、効かなかったのはどんな症例か。これらをしっかり考察して、論文として残すこと。著効例を経験したらその理由を把握して、しかるべきところに報告すること――この流れを意識することが今、医師に課せられているのではないでしょうか」。


(Medical Nutrition 47号より)


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