疾患別サプリメントガイド

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 免疫活性、抗腫瘍、抗酸化で有意な成果を示すサプリメントが数多く登場。

 がんは補完代替医療(CAM)の分野で最も旺盛に研究が行われているといえる。サプリメントの開発・研究についても同様で、免疫活性、抗腫瘍、抗酸化で有意な成果を示すサプリメントが数多く登場してきている。


 アガリクス(ヒメマツタケ)の子実・菌糸体ともに抗腫瘍効果。

 まず、高い抗がん作用があることが知られているアガリクス・ブラゼイ・ムリル(ヒメマツタケ、岩出菌学研究所)の抗がん効果を検証していこう。

 ヒメマツタケの子実体の抗腫瘍活性成分はβ−1,6Dグルカン、中性多糖、酸性ヘトロ多糖などの多糖類。一方、菌糸体の有効成分はこれと異なりグルコマンナンという多糖体とみられている。

 菌糸体由来成分は、子実体では見出せなかった固形がんや腹水がんについても抗腫瘍性を認めている。これについて、元三重大学助教授の伊藤均氏らは次のように報告している。

 ザルコーマ180固形がん移植マウスに対するヒメマツタケ菌糸体多糖(20mg/kg、10日間投与)の腫瘍抑制率は94.2%。エールリッヒ腹水がんに対しても菌糸体多糖(100mg/kg、10日間投与)は16匹中12匹という腫瘍完全消失率を示した。また、マイトマイシンやフルオロウラシルなど抗がん剤を用いた場合でも、菌糸体多糖の併用によってその腫瘍抑制率が2倍から7倍に高まることが実証されている。

 メシマコブ、抗腫瘍活性効果が最も高いと韓国で抗がん剤に認可。

 アガリクスと並んで汎用されるのがメシマコブだ。日本におけるメシマコブの研究は1968年に始まる。国立がんセンター研究所の池川哲郎氏らが19種類のキノコのがんを抑制する機能を調べたところ、メシマコブの抗腫瘍活性効果が最も高いという結果が出た。その後、韓国でも研究が進み、1993年には同国で医薬品として認められた経緯がある。主な研究としては、韓国・生命工学研究所のユウ・イクドン博士が抗がん剤のアドリアマイシン(ADR)と併用した比較実験を行っている。

 無菌マウスに黒色腫(メラノーマB16F10)を移植後、(1)メシマコブ菌糸体の熱水抽出物100mg/kg投与群(2)ADR0.1mg/kg単独投与群(3)熱水抽出物とADR併用群に分け経日ごとの生存率を調べたところ、無投与の対照群は20日後にすべて死亡。(1)と(2)は40日後に生存率ゼロに。(3)の併用グループは60日後でも生存率40%となった。

 さらに、ADRを3倍濃度の0.3mg/kgに増量すると、(2)のADR単独投与群は60日後の生存率が20%に向上。(3)の併用群では60日後の生存率は90%にも達した。以上のことからメシマコブは抗がん剤と相補的に作用することが実証されている。

 免疫賦活効果などシイタケ菌糸体抽出物に強力作用。

 シイタケ関連のサプリメント素材では「シイタケ菌糸体培養抽出物」(LEM、L・E・M)がよく知られている。この素材は多糖たんぱく質、β−Dグルカン、エリタデニン、リグニンなどを含み免疫調整作用、抗腫瘍作用、抗ウイルス作用などが数々の研究により明らかにされている。抗がん作用については、佐賀生活習慣病対策研究会が次のように研究結果を報告している。

 この研究は、乳がん自然発症トランスジェニックマウスにL・E・Mを4週間にわたり経口投与して延命効果と腫瘍組織の病理学検討を行ったもの。それによると、投与群は無処置群に比べ平均2週間の延命効果を示した。腫瘍組織の病理検査では、投与群のリンパ球への顕著な浸潤が認められ、一部腫瘍の壊死も観察された。

 また、免疫賦活効果については、長岡L・E・M研究所が「機能性食品(L・E・M)の免疫賦活効果研究」と題した研究を発表している。

 L・E・M高用量(1日3.0g)を1カ月間服用すると、被験者4人中2人が傷害活性度(NK活性)が増加していた。高用量群4人の平均では、リンパ球とがん細胞の比を40:1にした場合では133%に増加しており免疫賦活効果が認められた。一方、低用量群(1日0.6g)でも被験者5人中3人が傷害活性度(NK活性)が増加していた。このうち2人は傷害活性度が200%以上の増加率を示し、低用量でも免疫賦活効果を示すことが分かっている。

 酵母由来β−グルカンが登場、キノコのβ−グルカンとの相乗効果に期待。

 さて、キノコサプリメントの機能成分として重要なのは、β−グルカンである。β−グルカンに詳しい東京薬科大学の大野尚仁教授によると、アガリクスを始めとするキノコ類は、経口投与されると消化管粘膜のリンパ球に働きかけて免疫力を向上させると考えられる。

 米国で開発された素材「WGP β−1−3−グルカン」((株)ニュートリション・アクト=18面参照)は、β1,6結合分枝とβ1,3グリコシド結合によって連結した多糖類。キノコ由来のβ−グルカンとは構造が異なる。種々の免疫に対する機能が明らかにされている。

 例えば、免疫における重要なサイトカイン、IL−2、IFN−γ、TNF−αの産生を増加させる。また、発症前の結腸がんモデルでの転移性腫瘍の成長抑制、マウスにおけるシスプラチン治療後の骨髄機能回復を促すなどのデータがある。担当者は「酵母由来の『WGP β−1−3−グルカン』は、キノコのβ−グルカンと微妙に構造が異なるので、併用による相加効果が期待できる」と話している。

 ササ抽出液AHSSの抗腫瘍効果を学会で報告。

 AHSSはササ抽出液から得られる植物多糖体。生体の免疫能を賦活することで腫瘍の縮小や再発防止、QOLの向上など抗腫瘍効果を発揮する。平田章二・東札幌病院口顎顔面外科医長は補完代替医療(AHSSの使用を中心に食生活指導など)と近代医療を併用した統合医療を施行している医師。

 昨年11月に行われたJCAM第5回学術大会で平田氏は、統合医療を施行した患者と補完代替医療のみが行われた患者との免疫学的差異を考察。統合医療が行われた症例では、全身免疫応答が強い症例で腫瘍局所応答が見られ抗腫瘍効果も見られた。しかし、補完代替医療のみを行った症例では、全身免疫能は活性化されていたが、腫瘍局所免疫応答は非常に乏しかったという。この結果、統合医療の優位を確認している。

 有機ゲルマニウム、医薬品を目指し開発。

 有機ゲルマニウムは当初、医薬品として開発を進めてきた経緯があるため安全性・機能性に関して検証が各方面で進められている。まず、抗腫瘍作用。元東北大学学長の石田名香雄氏らは次のように発表している。C57BL/6マウスにColon38 1mm角を移植し、翌日より有機ゲルマニウムGE−132 100mgを腹腔内投与したところ有意な増殖抑制作用を示した。その作用はGE−132を投与された担がん宿主のT細胞の活性亢進により発現されることを示している。

 発がん抑制作用については岡山大学医学部の中田安成氏らの研究がある。原発性肺がんに、GE-132(2250mg/日、経口投与)、ベスタクチン(30mg/日、経口投与)の併用作用を検討したところGE-132の併用にて生存期間の延長が認められた。しかし、化学療法による近接効果(奏功率:がん組織の縮小効果の判定)において差は認められなかった。

 すなわちGE-132は肺小細胞がんの化学療法に併用されることにより延命作用が認められ、補助免疫化学療法剤として有用と考えられた。

 がん細胞の多角的な攻撃へ、コンビネーションでも効果。

 がん補助療法に使われている機能性食品の中には、単体製品ばかりではなく、いくつかの素材を混合したものも少なくない。狙いは、多角的にがん細胞を攻撃する点にある。

 「ファイトケミカル&時間差療法研究会」は、がんの「時間差療法」を提唱する。体が始動する朝に血管新生阻害作用をもつ秋ウコンを、免疫細胞が低下する午後には免疫賦活作用のあるアガリクスを、がん細胞が成長する夜間にはアポトーシス阻害作用を有するフコイダンをといった具合に、時間帯に応じた飲み分けを勧めている。

 森下仁丹の関連会社、(株)仁丹ファインケミカルが開発したのは、オキナワモズク由来のフコイダンに、3種のキノコ菌糸体(スエヒロタケ、アガリクス、霊芝)を加えた混合飲料。昨年4月から医療機関向けに販売している。

 成分は、フコイダン3000mg、スエヒロタケ菌糸体1000mg、アガリクス菌糸体1000mg、霊芝菌糸体250mg、亜鉛10mg、セレニウム40μg−。コンセプトは、フコイダンでアポトーシス作用を誘発させ、3種混合菌糸体に含まれるβ1・3グルカンが、マクロファージを活性化させて、キラーTリンパ球、NK細胞の活性を促し、免疫力を高めるというもの。

 日本臨床代替医学会理事長の上野紘郁氏(あさひ医王クリニック院長)は、混合素材の有用性について「がん細胞に直接作用してアポトーシスを誘導し、自然治癒力を増すことが治療につながる。三種複合菌糸体には、相加作用によって強力なパワーがあり、がん細胞を死滅させると考えられる」と話す。

 (株)エル・エスコーポレーションも複合素材の研究を進めている。産業医科大学との共同研究により、メシマコブ、ニンニクレクチン、核酸の混合物が相乗的にヒトリンパ球系がん細胞(U937)の増殖を抑制することを突き止めた。

 調査は、U937細胞を培養液RPMI1640+5%FCSで37℃培養したものをメシマコブあるいは核酸で濃度依存的に細胞を処理し、細胞の数を顕微鏡下で測定。非処理コントロール群細胞との比較から細胞増殖抑制効果を観察した。その結果、ニンニクレクチンがU937細胞のDNA合成・増殖を抑制し、アポトーシスを誘導することがわかり、混合物ではさらにその作用が強化されることがわかった。

 同社では、これらの素材を医療用健康食品として普及するため、先月4日に代替医療市場の専門会社、(株)エル・エスメディカルを設立した。今年は主に首都圏と近畿圏の医療施設に供給する。

 細胞免疫学の第一人者、奥村秀夫氏(理学・医学博士)が開発したのは、(1)ヤマブシタケ(2)メシマコブ(3)霊芝(4)アガリクス(5)シイタケ(6)マイタケ――のキノコ6種を混合した製品。(株)ピィエムシー.が薬系ルートで販売している。特殊な抽出法で、β−Dグルカンが23%以上含まれる高濃度健康食品。東北大学医学部の試験で、強力な抗酸化能があることが確認された。

 カバノアナタケのメラニンに強力な抗酸化作用

機能性食品の研究開発企業、(株)応微研は、白樺に寄生する白色腐朽菌の一種であるF.obliqua(和名:カバノアナタケ、ロシア名:チャーガ)の菌核を同社独自の手法による酵素処理、抽出処理をして、F.obliquaの抗酸化能を高める検討を行った。酵素処理して得られた粉末と酵素処理前の粉末を用いて抗酸化能を比較したもので、メラニン抽出量の比較では酵素処理粉末に高い抽出量が認められたほか、亜硝酸法によるSOD様活性の測定では、酵素処理粉末において活性値の増加が認められた。

 原末を酵母処理、SOD様活性値が増加。

機能性食品の研究開発企業、(株)応微研は、白樺に寄生する白色腐朽菌の一種であるF.obliqua(和名:カバノアナタケ、ロシア名:チャーガ)の菌核を同社独自の手法による酵素処理、抽出処理をして、F.obliquaの抗酸化能を高める検討を行った。酵素処理して得られた粉末と酵素処理前の粉末を用いて抗酸化能を比較したもので、メラニン抽出量の比較では酵素処理粉末に高い抽出量が認められたほか、亜硝酸法によるSOD様活性の測定では、酵素処理粉末において活性値の増加が認められた。

実験は、ウクライナ産のカバノアナタケに、ハンマーミルによる破砕を行い原末にし、5つの異なる糖質分解酵素でそれぞれ処理した。その上で粉末の8倍量の精製水を加え浸漬水に対して0.2%の糖質分解酵素を加えた。5つの糖質分解酵素は、酵素A〜Eを用い、各酵素の至適条件で処理した。酵素処理した懸濁液に、30%の濃度になるようにエタノールを加え30℃にて一昼夜、抽出を行い遠心分離後に抽出液を回収。沈殿物に対して熱水抽出を行い再び抽出液を回収した。その後、エタノール抽出及び熱水抽出による抽出液をスプレードライにより乾燥し、各糖質分解酵素の処理粉末を得た。酵素処理のコントロールとしてカバノアナタケ原末にエタノール抽出、熱水抽出を行った酵素コントロール粉末を得た。各処理粉末の回収率は全て30〜40%であった。

酵素処理、抽出処理で得られた5種類の処理粉末及び酵素コントロール粉末、カバノアナタケ原末のメラニン量、SOD様活性を測定し、総ポリフェノールの定量を行った。

 カテキンの約2.4倍、メラニンのSOD様活性。

測定の結果、メラニンのSOD様活性は、カテキンに比べて約2.4倍であることがわかった。メラニン量は、酵素コントロール粉末で原末の約6倍、酵素処理を加えたものは全てメラニン量の向上がみられた。処理粉末の中で最も高かったものは、アミラーゼ処理を行った粉末で原末の約20倍であった。SOD様活性の傾向はメラニン抽出量とほぼ一致しており、カバノアナタケのSOD様活性のほとんどがメラニンによるものと考えられる。一方、抽出処理や酵素処理により総ポリフェノール量が向上していることが認められたが、原末と各処理粉末との差がメラニン量やSOD様活性の場合より少ないことがわかった。

今回の実験では、数種の糖質分解酵素の中でも、酵素Bによる処理で最も高いメラニン抽出量(原末の約20倍)が得られた。亜硝酸法によるSOD様活性の測定では、酵素Bの処理による抗酸化活性の向上(原末の約14倍)が確認され、総ポリフェノールの定量においても酵素Bが最も高い値を示した。


(Medical Nutrition 46号より)


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