特集2 第6回JACT大会

臨床での位置づけを探る
―サプリ、機器、検査……

 日本代替・相補・伝統医療連合会議(JACT)は12月21、22日、都内の東京女子医科大学弥生講堂で第6回大会(大会長=田中朱美・東京女子医科大学神経精神科主任教授)を開催する。今大会は「代替医療の臨床における位置付け」をテーマに、より実践的な発表・報告の場になることが期待されている。田中大会長へのインタビューと、学会の見所を紹介する。


 医師もCAMの情報を大会長・田中朱美氏に聞く(東京女子医大主任教授)

 漢方やアロマテラピーなど、精神科でもCAMは有用。

 ―― 今大会の見所は。

 田中 大会テーマ「代替・相補・伝統医療の臨床における位置づけ」からもわかるように、今回は、相補代替医療(CAM)を実践されている方々にお願いして、「臨床にどう取り入れていくか」を主眼にします。臨床医としては、EBMを踏まえていかに患者に応用していくかが関心の的ですからね。
具体的な診断、治療内容や今後のCAMに必要なこと、さらに未来の医学にまで踏み込んだ内容になっています。一般演題も数多く集まっています。特別講演では永六輔さんを招聘し、文字通り、実のある学会になると期待しています。

 ―― 精神科領域のCAMにはどのようなものがありますか。

 田中 精神科領域では、うつ病や神経症、心身症などの精神疾患の治療と、最近増えている「病気というほどではないが自律神経の失調状態」などの治療があります。前者に対しては、漢方薬を処方しています。東洋医学は「気の医学」ですから精神科とは共通性がありますね。後者にも漢方を使用しますが、むしろリラクゼーションを目標に、気功やアロマテラピーの方が効果的なことがあります。気功は10年以上、精神科で実施しています。アロマテラピーは柑橘系の香りがうつ状態に、ラベンダーは不眠やリラクゼーションに有効と言われています。
いずれにしろ、まずは西洋医学的に診断して、その上で東洋医学的に弁証して、向精神薬と漢方薬を併用します。症状が軽ければ漢方薬だけでも構いませんが、おおもとの病気を西洋医学で調整しながら東洋医学を併用するのが原則です。

 ―― 田中先生のような考え方は、日本の精神科医療でどのような位置にあるのでしょうか。

 田中 精神科では、CAMを受け入れる素地はあるでしょう。特に漢方薬は多くの精神科医が使っていると思います。抗不安薬、抗うつ薬のような作用の漢方薬も多いので、上手に使えばかなり効果は期待できます。

サプリメントの摂取など、患者が相談できるように。

 ―― メンタルケアに使える西洋ハーブが市場に出回っていますが、患者さんからの問い合わせはありますか。

 田中 ハーブについての質問は、最近はしょっちゅうありますよ。今の患者さんはインターネットなどで調べて情報を多く持っていますから、医師も絶えずCAMなどの情報は持っていなければなりません。サプリメントなどを頭から否定するのではなく、自分で十分調べた上で本当に良いものを状況に応じて提供する。それも我々の使命だと思います。ほとんどの患者さんは、いずれかのサプリメントを使っているのでしょうが、医師に言わないだけ。それを主治医に相談できるような関係でありたいですね。CAMの難しいところは、誰かが悪用すると、本当に熱心に取り組んでいるものまで否定されてしまうことです。外気功やサプリメントもその一つです。

 ―― 女子医大では、学内に「オルタナティブメディスン研究会」があるそうですね

 田中 順調に12回目まで開催され、毎回コンスタントに50〜60名の方が参加するようになりました。残念なのはコメディカルや学生は多いもののドクターが少ないことです。

大会見どころ

 「代替医療を実践している先生方を中心に演者をお願いした」との事務局のコメントからもわかるように、理論中心ともいえた過去の大会に比べ、今回はより実践的な内容となっている。それだけ、第一線で患者の対応に当たる医療従事者のニーズが大きいと言えよう。

 また、取り上げる内容もサプリメントや鍼灸といったものに加え、オゾン療法、血の道ケアといった日本独自のCAM、さらにはマイナスイオンやサイマティックスなどの治療器に至るまで、幅広くカバーしている。

 順を追って見ていこう。第1日目の午後に予定されているシンポジウム「CAMとEBM」では、弘前大学医学部附属病院の入江祥史氏、おない内科クリニック副院長の小内亨氏、筑波技術短期大学附属診療所の山下仁氏ら現役の医師が漢方やサプリメント、鍼灸、アロマテラピーなどとEBMの関わりを講演する。それぞれの現場からの声として注目されるところだ。

 同じく1日目に行われるシンポジウム「がん治療のCAMの実際」でも現役医師が講演。シンポジストは瀬田クリニック院長の江川滉二氏、プルミエールクリニック院長の星野泰三氏、鶴見クリニック院長の鶴見隆史氏、医療法人自然会横浜サトウクリニック院長の佐藤忍氏ら。

 2日目に予定されているワークショップ2つも実際の治療法や現場で使用される機器などの報告だ。午後に行われる「日本独特のCAM」では、三井温熱(株)社長の高木幸江氏が「温熱療法」、医療法人社団碧明会大沢眼科・内科理事長の大澤満雄氏が「オゾン療法」、バランスセラピー大学学長の美野田啓二氏が「バランスセラピー」、京都大学医学部整形外科医員で針灸気診研究会講師の小田伸吾氏が「気診」、日本フットケア協会師範の室谷良子氏が「血の道ケア」、新潟大学大学院医歯学総合研究科教授の安保徹氏が「刺絡療法」について説明する。

(Medical Nutrition45号より)


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