特集1 女性に優しい医療

「抗加齢」キーワードに新展開、サプリメントの応用進む。

 社会のさまざまなシーンで「女性」がキーワ−ドになっている。医療の世界でもそれは同じ。基幹病院で「女性外来」が産婦人科と別に開設され、「女性のための抗加齢医学研究会」が発足するなど、その動きは止まることを知らない。女性の健康に着目したサプリメントの最新動向を紹介する。


 更年期障害、子宮内膜症…増加する女性の愁訴。

 「婦人科で最近よく診るようになった疾患に、更年期障害と子宮内膜症がある。理由は、更年期障害については、ベビーブーマー世代がその年齢に差し掛かっていること。内膜症は、初婚・妊娠年齢が高くなっていることではないか」と指摘するのは、陳瑞東クリニック(東京都中野区)の陳瑞東院長。妊娠は女性ホルモンレベルを50倍以上上げるので、究極のホルモン療法だという。その意味で、キャリア女性が子宮内膜症のリスクグループだと言うのは当たっているわけだ。

 更年期女性をめぐる健康問題には、動脈硬化、コレステロール、肥満、血糖値、骨密度などがある。困ったことに、「それらの多くは症状がない、あるいは気付かない状態で進む」(陳院長)ので、放置すれば、一生の問題となって、老年期のQOLの低下を招くことになりかねない。そのような場合に、サプリメントで予防するという手段が有力になる。

「治療」ではなく「予防」。大切なのは食事と運動。

 医薬品よりも、食事もしくはそれに近い形で摂取するのが自然だろう。将来の悪い状況に備えて、サプリメントを細く長く摂り続けていくのである。

 特に、骨密度が減りやすいのは更年期女性によく見られるので、何らかの対策を講じておかねばなるまい。

 陳院長はこうアドバイスする。「まず大切なのは、食事と運動。運動についていえば、平地の歩行ではなく、階段の昇降など、タテ方向の動きを伴うものが良い。食事に関しては、牛乳や魚、大豆がよいとされている。レタスにはビタミンKが多く含まれているので、英国ではレタスが推奨されていると聞く」。

 しかし、なかには嫌いな人もいるし、毎日一定量を摂取するのは難しいかもしれない。そのような時に役立つのがサプリメントである。同院では、ビタミンK1を多く含むシモン葉のサプリメントについて、閉経後骨塩減少症に対して介入試験を行った。シモンはブラジル原産のサツマイモの一種で、その葉にはビタミンK1が多く含まれていることがわかっている。試験に用いたカプセルは、ビタミンK1が1日1mg摂取できるように設計されたもの。

 閉経後7〜8年の女性32例を対象に、シモンイモカプセル1mg/日とプラセボを比較した。投与3ヵ月目と6ヵ月目に骨代謝マーカーと骨量を測定したところ、シモン群では6ヵ月後に骨量が約3%増加したが、プラセボでは減少した。骨代謝マーカーについては有意差はみられなかった。有害事象は観察されなかった。

  EDTA(抗凝固剤)によるキレーション療法で抗加齢。

 「ホルモン補充療法(HRT)はすべての女性に適した療法ではありません。人によっては血液凝固、悪心、嘔吐、乳房緊満などの副作用が見られます。ですから、一般的な生化学検査はもちろん、ホルモン分泌量や免疫力を定期的に測定し受診者の状態を把握する必要があります」と語るのは、番町クリニック・インターナショナル(東京都千代田区)の石原秀一医師。

 同クリニックでは、主に動脈硬化を抑える目的で、EDTA(抗凝固剤)によるキレーション療法を行っている。

 「人体には水銀、カドミウムのような有害物質が取り込まれています。これらを除去することはカルシウム、コレステロールの代謝機能を改善するばかりではなく活性酸素の発生防止にも役立つのです」(石原医師)。

 EDTAは有害金属とともにビタミン、ミネラルも同時に排泄してしまう。このため、補助療法としてサプリメント療法を組み合わせて行う必要がある。

 骨形成促進作用を実証 コラーゲンペプチド

 新田ゼラチン(株)

 新田ゼラチン(株)は自社製品の「スーパーコラーゲンペプチド」(SCP)、「発酵コラーゲンペプチド」(LCP)を中心にコラーゲンペプチドの機能性を研究。これまで骨形成促進作用、美容効果などを実証してきている。

 【骨形成促進作用】

 カルシウムの吸収に関しては概して動物性蛋白質がその吸収を促進すると古くから伝えられてきた。なかでも、コラーゲンペプチドはカルシウムの吸収効果を促進するといわれているグリシン、アルギニン、リジンなどのアミノ酸を多く含むことから骨形成に寄与するのではないかと考えられている。実際、同社が行った実験では高血圧自然発症ラット(SHR)にLCPを投与することで症状の軽減が見られるという結果が出ている。

 実験に使用したSHRは成長するとともに、いわゆる骨粗しょう症の症状を呈する。実験では、このカルシウム代謝に異常のあるSHRにLCPを経口投与し、大腿骨と腰椎について検討した。4週齢のSHRを使用し、予備飼育1週間を経て36週間の実験を行った。

 その結果、17週齢の段階で対照群(写真上、a=空洞形成)には大腿骨、腰椎ともに緻密骨に小孔や亀裂などが認められたものの、LCP投与群(写真下)においては小孔の出現は大幅に抑えられ少数が認められる、もしくは全く認められない状況となった。

 なお、この実験とは別に卵巣摘出ラットによる試験でもLCPの摂取で骨の強化が見られたとの学会発表(第15回日本骨代謝学会、山岸洋一氏ら。1997年)がなされている。

 カルシウムは健康の第一歩。

 葛城病院 藤田拓男名誉院長

 葛城病院の藤田名誉院長は、カルシウム不足が諸症状に与える影響を長年に渡って研究してきた専門家。同院では毎週火・水・金を「骨粗鬆症外来」として骨粗鬆症、変形性脊椎症、関節症患者の治療に取り組むユニークな診療方法を取り入れている。藤田医博に話を聞いた。

 カルシウムの摂取を充分に、痴呆症にも影響。

 骨や腎臓にだけ働くといわれていた副甲状腺ホルモン。しかし藤田医博は、脳の神経細胞にも働いていることが証明され、カルシウム不足が脳に与える影響も示唆されると話す。

 藤田医博によると、カルシウム不足ではよりたくさんの副甲状腺ホルモンが出てくるため、カルシウムは骨から取り出されるだけでなく、脳細胞へも押し込まれるという。そうなると、情報を伝える神経細胞は、脳細胞内のカルシウムの増加で細胞内外のカルシウムの濃度差が大きくなくなるため、情報の伝達ができなくなると説明する。結果的に脳細胞は役目を果たせなくなるという。

 「カルシウムを充分に摂取し、脳細胞内のカルシウムを増えないようにするのが、脳の働きを維持する唯一の方法」――カルシウムパラドックスの影響はこんなところにも現れている。

 皮膚の若返り作用など、美容にも大きな期待。

 同院では、カルシウムの補給として健康食品やカルシウム剤を指導しているが、藤田医博は、最近ではカルシウム補給が美容にも良いようだと話す。

 「骨粗鬆症による膝の疼痛を訴えていた44才の女性にコラーゲン、グルコサミン配合のカルシウム健康食品(スリーエーカルシウム(株)社製)の利用を指導したところ、次の外来では、膝の疼痛が改善されただけでなく、肌もきれいになっていたと報告を受けました」(藤田医博)。カルシウムの皮膚の若返り作用――内面あっての美容といえよう。

女性がいつまでも生き生き過ごす知恵(女性の未病とホルモン補充療法)。

 東京大学大学院医学系研究科加齢医学講座教授 大内尉義氏

 欧米に比べて低普及率、日本のホルモン補充療法。

 ホルモン補充療法(HRT)は更年期を境に不足するエストロゲンやプロゲステロンなどの女性ホルモンを薬剤として投与する治療法。更年期障害を始めとする閉経後の女性の病的状況改善や予防に効果があると考えられている。さらには、閉経に伴う骨粗鬆症、動脈硬化、高脂血症、高血圧に対する原因療法として世界的に注目を集めてもいる。

 欧米では閉経後の女性がHRTを受けるのが、むしろ常識で40〜50%が、また韓国でも10%以上が受けている。一方、日本では1〜2%しか受けていない。これはHRTという治療法が日本ではほとんど知られていないことに加え、副作用として発がん(特に乳がん)や性器出血の問題が解決されていないためだ。

 しかし、HRT は更年期障害の改善にとどまらず骨、血管、脳に対する保護作用など女性の健康を守る多彩な効果が期待できる魅力的な療法なのだ。今後、日本でもさらに一般化するだろう。

(Medical Nutrition45号より)


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