抗加齢サプリメント
〈Part 2〉「女性向け素材」

「ホルモン療法」にレッドカード
「サプリメント」に注目

 いつまでも若く、美しくありたい――。女性なら誰もがそう思っているだろう。そのような社会のニーズを受けて台頭しているのが抗加齢医学だ。研究会も相次いで設立され、注目が集まっている。特にサプリメントは非侵襲的なアプローチとして、日常生活に気軽に取り入れられるメリットがある。女性のための抗加齢サプリメントを紹介する。


 NCI、ホルモン補充療法の代替手段として、更年期対応にサプリメントを。

 7月9日、米NIHが閉経期女性へのホルモン補充療法(HRT)の臨床試験の中止を発表したのは、記憶に新しい。理由は「長期的にはがんや脳卒中のリスクを高めるので、再考を要する」というもの。

 試験は50〜79歳の女性1万6608人を対象に行われた。HRT群を8506人、対照群を8102人に割り付けし、HRT群には結合型エストロゲン0.625mg/日、酢酸メドロキシプロゲステロン2.5mgの配合剤を連続して服用させた。当初、追跡期間として8年半を予定していた。

 ところが、今年5月、平均5.2年の追跡時点で解析したところ、浸潤乳がんのリスクが、1万人あたりの発生数で対照群30人に対してHRT群38人となり、HRTを行った群でむしろ増加していることがわかったのだ。結腸・直腸がん、大腿頚部骨折のリスクは減少していた。これらの結果から、NIHでは「短期的効果のためならば利点はリスクより大きいが、病気の予防目的などで長期間の投与を続けることは再考を要する」と、試験の中止を決定した。

 この問題を受け、日本更年期医学会では、次のような要旨の論点をまとめている――(1)更年期・閉経期女性のヘルスケアの基本は生活習慣の適正化であり、それで十分な効果がみられない場合に薬物療法を行う(2)HRTは薬物療法の一つの選択肢であり、リスクとベネフィットを慎重に判断する(3)更年期症状に対する効果は明らかなので、禁忌でないことを確認し安全性を確認しながら治療する(4)他にも骨折予防効果のある薬剤があることを伝える(5)心血管系疾患の予防には、今回試験の処方によるHRTは行わない。

 一方、米国立がん研究所(NCI)はホームページで、ホルモン補充療法の代替手段としてサプリメントの使用などを推奨するQ&A集を公開した。

 Q&Aでは、ホルモン補充療法に代わる手段として、「大豆製品などのエストロゲンを含む食品」「ブラックコホシュなどのハーブ」「ビタミンEとB複合体」などで、更年期障害の軽減作用が期待できることを紹介。また、「カルシウムとビタミンDサプリメント」が骨粗しょう症の予防手段として推奨されているとした。

 閉経後の女性の健康維持に大豆イソフラボンの機能が注目を集める。

 大豆に含まれるイソフラボンには従来からエストロゲン様作用が知られ、更年期女性の諸症状に対する機能が知られている。このほど米ハーバード大学とニチモウ(株)の研究チームは、アグリコン型大豆イソフラボン(IFA:糖を切離したもの)の肥満予防効果を動物実験で突き止めた。10 月26日から鹿児島で行われる第17回日本更年期医学会で発表される。閉経後女性では、自律神経症状のほかに肥満や脂質代謝異常を呈するケースもある。IFAが女性のヘルシーエイジングにさまざまな角度から役立つ可能性が示唆された。

 実験は卵巣摘出したマウスに高脂肪食を与え、IFA添加飼料群と非添加群で比較した。その結果、8週間後IFA添加群で用量依存的に体重増加を抑制した。また、卵巣摘出マウスでは、白色脂肪細胞が大型化しているが、0.6%IFA添加飼料で飼育した群では、対照と同程度のサイズで、大型化しなかった。

 さらに、肝重量を計測したところ、IFA添加群では卵巣摘出マウスに比べて有意に少なかった。肝機能低下に伴う肝肥大に対して、IFAの摂取では肝機能が維持されることが推察される。

 イソフラボンに含まれるダイゼインには、優れた脂肪分解作用があるとされている。近年、白色脂肪細胞のサイズと生活習慣病との関連が知られており、ダイゼインを豊富に含むIFAが閉経後の女性の健康維持に大きなメリットをもたらす可能性がある。この結果を受け、米国では閉経後女性のボランティアを対象に、IFAを用いた介入試験が計画されている。

 古くて新しいプラセンタ、美容用途でも人気を集める。

 近年その価値が見直されてきたのがプラセンタエキスだ。現在、プラセンタエキスの注射薬にはメルスモンとラエンネックの2種類が発売されている。前者は更年期障害と乳汁分泌不全、後者は慢性肝疾患における肝機能の改善を保険適応とする。組織代謝賦活、抗疲労、活性酸素除去など幅広い作用が報告されている。

 吉田クリニック(東京都渋谷区)では、1回1〜2アンプル、週1〜2回の注射を標準としている(今月号連載「統合医療最前線」参照)。副作用は軽微で、注射部位の発赤、疼痛、だるさなどであり、いずれも消失するという。サプリメントは、注射が苦手な患者や、定期的な通院が困難な症例に対して適用されている。セルフメディケーションとして、注射と併用する場合もある。また、プラセンタエキスを100%使用した「原液」化粧品が、美容用途で人気を集めている。

 メルスモンの製造元であるメルスモン製薬(株)によると、ドナースクリーニングや製造工程での熱処理、塩酸による加水分解、高圧蒸気滅菌で、品質と安全性は確保されている。また、製造過程で血液、ホルモンは100%除去されているという。

「ブドウ種子ポリフェノール」に肝斑改善効果

 キッコーマン(株)(TEL03-5521-5497)は筑波大学(臨床医学系皮膚科・大塚藤男教授)との共同研究で、赤ワインやブドウ種子に含まれるポリフェノールの主成分「プロアントシアニジン」が、経口摂取で女性特有のシミ(肝斑)を改善し、薄くする効果があることを臨床試験で明らかにした。

 臨床試験で、肝斑のある女性12人に、毎日ブドウ種子ポリフェノールを0.2gずつ6カ月間摂取させたところ、3カ月目から顔のシミが薄くなり、6カ月目で明確な改善効果が確認された。メカニズムを解析した結果、ポリフェノールにはシミの原因となるメラニン色素の生成に関係する酵素チロシナーゼの活性を阻害し、メラニン色素の生成を防ぐ作用があることを確認した。さらに、紫外線照射で皮膚に色素沈着を生じさせたモルモットにポリフェノールを経口投与したところ、紫外線で生じた活性酸素による皮膚のDNA酸化障害を減らし、メラニン細胞の過剰な増殖が抑えられた。これらのことから、プロアントシアニジンのシミ改善効果は、過剰なメラニン色素の生成とメラニン細胞の増殖を抑える2つの効果によるものと考えられた。

 一方、キッコーマン総合病院の久保田芳郎医師らは、「大豆イソフラボンアグリコンの更年期障害に対する効果について」とする研究結果を、日本人間ドック学会誌「健康医学」8月号に発表した。

 試験は、48歳から56歳までの女性14人(平均年齢51.2歳)に、4週間ほてりの回数等を自己診断してもらう予備試験を経た後、本試験としてイソフラボンアグリコン錠剤(40mg/日)を3カ月間毎日摂取してもらい、試験開始時、1カ月後、2カ月後、3カ月後に更年期障害スコアを自己診断と医師診断で算定した。

 その結果、イソフラボン摂取群において更年期スコアが試験開始時の30.82±12.92と比較して2カ月後は23.46±10.55、3カ月後は20.64±9.9と有意に減少した(p<0.01)。血中イソフラボン濃度は、イソフラボン摂取群において1カ月後1.62±0.75μmol/L、2カ月後1.64±0.7μmol/L、3カ月後1.49±1.37μmol/Lと、対照群より有意に高い値を示した(p<0.01)。さらに試験開始時にほてりの症状が見られた11人を対象に、ほてりの点数を評価したところ、イソフラボン摂取群において試験開始時の6.36±3.14に比較して、2カ月後2.73±2.49、3カ月後2.18±1.4と対照群より有意に減少した(p<0.01)。

 CPL、女性向けレシピで新登場

 がんの統合医療素材としておなじみのCPL(環状重合乳酸)、婦人科領域のデータが豊富なピクノジェノール(フランス海岸松樹皮エキス)。この両者を配合したサプリメントが先月発売された。女性特有の悩みを抱える人への新しいツールとして期待が集まる。

 CPLには、(1)異型細胞に対して、エネルギー産生を阻害してアポトーシスを誘導する(2)正常細胞を活性化することで、生体の免疫力や自然治癒力を向上させる――機能が考えられている。そこで近年、「子宮内膜症における細胞の増殖パターンが、がん細胞に似ている」という説に着目し、CPLを臨床に取り入れる医師が増えてきた。

 五輪橋産婦人科小児科病院(札幌市)の小國親久名誉院長もその一人。小國氏は「痛みにはとても効果があると感じた。症状の軽減はもちろんのこと、画像診断や内診でも改善は裏付けられている。日常生活で一番困る痛みが改善されるのだから、本人にとってありがたいことだろう」と評価する。

 一方ピクノジェノールは、フランスの大西洋岸に生育する松(学名Pinus pinaster)より抽出された成分。ビタミンC、Eより優れた抗酸化作用と、抗炎症作用、血流改善作用などが知られている。恵寿総合病院産院の小濱隆文院長は、子宮内膜症、重度の月経痛、婦人科手術後の慢性的下腹部痛および骨盤痛の症例にピクノジェノールを投与し、月経痛、下腹部痛、子宮・付属器の抵抗性、圧痛の改善を確認している。臨床試験に裏付けられた2種の成分の幅広い機能が、相乗効果を生むことが期待される。

 コラーゲンを合成する「杜仲茶」 

 杜仲茶は、「血圧が高め」の人へとの表示が許可されている特定保健用食品素材。血圧降下の作用以外にも、老化防止やダイエット効果などさまざまな作用が報告されている。その杜仲茶に新陳代謝を行う上で欠かせないコラーゲン合成促進作用が存在することがテレビ放映等の影響により確認され、抗加齢素材として今後さらに注目を集めそうだ。

 栄養素や酸素は、大動脈から毛細血管を通り、毛細血管の壁からコラーゲン層にしみ出すことで細胞に取り込まれる。コラーゲンに新陳代謝を活発化させる作用があるとの研究結果も出され、コラーゲンへの杜仲茶の働きは一段と注目されている。

 杜仲茶にコラーゲンの合成を促進させ、運動時と同様に柔軟なコラーゲンを作り出す働きも知られている。

 運動不足の養殖ウナギのエサに杜仲を混ぜ、コラーゲンの性質を調べて比較対照試験を実施したところ、試験食を食べたウナギではコラーゲンの分子が非常に小さく、加熱しても柔らかかった反面、対照食の方ではコラーゲンが高分子で、加熱すると肉質が固くなること等が報告されている。

 杜仲茶については、杜仲配糖体の主成分ゲニポシド酸が副交感神経に刺激を与えて、平滑筋をリラックスさせる結果、毛細血管が拡張され、血流が良くなるという一連の新陳代謝のメカニズムが既に解明されているが、今後は杜仲茶を抗加齢素材として位置づけていくことだろう。

(Medical Nutrition42号より)


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