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抗加齢サプリメント 〈Part 1〉「コエンザイムQ10」
医療用潜在市場は2700万人 抗加齢・医薬補完サプリメントとして脚光浴びる「CoQ10」
活性酸素による酸化損傷が老化や生活習慣病の発症に深く関わることが知られているが、それと共にビタミンE、コエンザイムQ10(CoQ10)、ビタミンCが脂質のフリーラジカル酸化を抑制する重要な抗酸化物質であるこも明らかになっている。この中、昨年から製品化が急速に進んでいるのがCoQ10である。厚生労働省が昨年3月、食薬区分の見直しによってCoQ10を食品成分と位置づけたことから、サプリメント用途の製品化が相次いでいる。医療分野では、世界規模で広がる抗加齢医療において臨床応用の研究が開始されたほか、高脂血症の補助的療法としても、CoQ10の重要性が認識され始めている。
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高脂血症の補完療法として、患者にはCoQ10が不可欠 |
スタチン系高脂血症改善薬を服用している患者にはCoQ10が必要不可欠−。と言ってもユビデカレノンなどの強心剤ではない。CoQ10は、30年程前から心疾患の患者に処方されているが、高脂血症患者に併用するのは医薬品ではなくサプリメントとしてだ。
一症例一剤を基本とする日本の医療制度では、強心剤を高脂血症患者に投与することは不可能に近く、ほぼ間違いなくレセプト審査ではねられる。このため高脂血症治療の補完療法として、急速に注目を集めだしているのが栄養補助食品のCoQ10だ。
では何故、高脂血症治療にCoQ10が欠かせないのか−。スタチン系高脂血症用薬は、体内でコレステロールを合成する初期反応を阻害することが知られているが、CoQ10も同じ経路で合成されるため、薬物の服用によってCoQ10の合成を阻害することになる。従って、スタチン系薬を服用している人は、CoQ10を補給する必要がある。
この点について東京大学大学院工学系研究科化学生命工学専攻の山本順寛氏は次のように説明している。
「CoQ10の合成は、コレステロールやドリコールと同じく、メバロン酸を経由している。高コレステロール血漿では心臓病発症の危険度が高いために、世界的にコレステロールを低下させる薬剤が使用される。なかでもHMG−CoAの還元によるメバロン酸の合成を阻害するスタチン系が多用されている。スタチン投与により血漿コレステロールは低下するが、それ以上に血漿CoQ10が低下する。国内では低用量のスタチン投与でもコレステロール以上にCoQ10が低下することが確認されている」。
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高脂血症治療にCoQ10補給は医療の常識に。患者の1割が購入すれば300億円市場 |
高脂血症治療にCoQ10補給は医療の常識に。患者の1割が購入すれば300億市場。医療用途でのCoQ10の役割は、アンチ・エイジングセラピーでは"主薬"となりうるが、一方では前述したように、高脂血症治療を補完する"佐薬"になる可能性が高い。とくに経済効果という点では、後者のマーケットポテンシャルは極めて高い。
と言うのも、99年の薬事工業生産動態統計調査によると、循環器官用薬の生産金額1兆981億円のうち高脂血症用剤が占める割合は22.9%、約2500億円にのぼる。三共の試算によると、「高脂血症用剤の市場規模は、薬価ベースで01年度は3200億円を超える。メバロチンは02 年3月期で1181億円を販売している」(広報部)という。この数字は高脂血症用剤の市場規模がいかに大きいかを示すものだが、患者数も年々増加傾向を見せている。現在、高脂血症の薬物治療を受けている人は約610万人。このうちスタチン系薬の投与患者は、およそ470万人と見られる。前述の山本氏の指摘をあてはめれば、この470万人はそのままCoQ10のターゲット需要ということになる。
仮にこの1割に相当する50万人の患者がCoQ10を購入した場合、年間6万円(月間5000円)支出したと計算すると販売額は300億円市場、470万人では3000億円近い市場となる。潜在需要となるとこの数字はさらに拡大する。
治療開始基準であるT−Choが220 mg/dl以上の人は2700万人と言われる。「リスクファクターや合併症の有無によっても変わってくるが、少なくても2400〜2500万人は要治療人口と言える」(三共広報部)というように、高脂血症は国民病と言える。
つまり、高脂血症治療の将来を展望すると、医師がスタチン系薬剤を処方する際には、それによって生産阻害を受けるCoQ10を補給するサプリメントを併用することが、医療の常識となり得る。医師は患者にCoQ10の補給を勧め、処方せんを持ち寄った調剤薬局で薬剤師の指導のもとにサプリメントを購入する。こうした構図が、近い将来に出現する可能性が高い。
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強力な抗酸化作用。CoQ10を補う重要性は計り知れない。 |
もちろんCoQ10レベルの低下は、スタチン投与だけが原因ではない。加齢に伴ってヒトの心臓、腎臓、肝臓、肺などの各臓器中のコレステロール濃度が上昇するのに比べて、CoQ10値は顕著に低下することがわかっている。とくに80歳代の心臓、肺では、20歳代の半分にまで低下するといわれる。
また、飲酒や激しい運動、ストレス、偏食などによってもCoQ10レベルは低下することがわかっている。体内においてCoQ10生成に関わる栄養素は、ビタミンB2、B6、B12、ナイアシン、葉酸などのB群、ビタミンE、セレンなどがあり、これらの摂取量が不足すると必然的にCoQ10レベルが低下してしまう。
CoQ10はエネルギーを生産する働きだけでなく、脂質の酸化を防ぎ、細胞をダメージから守る働きがあり、その抗酸化作用は、ビタミンEやβ−カロチンよりもはるかに強力だと言われる。従って「CoQ10をサプリメントで補うことの重要性は計り知れない」(東京大学・山本氏)など、日頃の摂取が健康維持、老化防止には欠かせなくなる。
CoQ10の薬理作用と臨床応用
今年2月に東京大学山上会館において「コエンザイムQ」をテーマにした第23回油化学酸化セミナー(主催=日本油化学会)が開催され、神戸学院大学薬学部生物化学講座の岡本正志氏が、「コエンザイムQの薬理作用と臨床応用」について解説した。
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1.CoQ10の薬理作用と臨床応用への基本的概念 |
基本的な考え方は、CoQ10の不足や需要増大に際し、その代償としてCoQ10を外来的に補充し、エネルギー産生賦活能や抗酸化能というCoQ10本来の生理機能を生体で十分に発揮させることにある。
ヒトでのCoQ10充足度の指標には、これまで白血球ミトコンドリアのコハク酸デヒロゲナーゼCoQ10レダクターゼ活性の測定などが利用されてきたが、最近では血清(血漿)中のCoQ10 値、酸化型CoQ10、並びに総CoQ10を測定するのが最も適当とされている。とくに生体試料中のCoQ10H2は空気中では不安定であるので、測定には試料調製の前処置を必要としない電気化学検出器付きの高速液体クロマトグラフィーを用いるのが適当で、精度が良く、しかも簡便にCoQ10H2などのCoQ10同族体含量を測定することができる。
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2.CoQ10の生体内充足度 |
ヒトをはじめとする哺乳動物では、CoQ10は主にミクロソーム(小胞体)−ゴルジ系で生合成され、また、健常な生活では食物からも摂取されるので、重篤なCoQ10欠乏症はこれまでに報告されていない。しかし、ある種の疾患、食生活の違いや生体内環境の変化は、血清(血漿)中のCoQ10H2値や酸化型CoQ10値のほか、総CoQ10値、さらにはCoQ10H2/総CoQ10比に変化をもたらす。
例えば、食物由来のCoQ10が供給できないような完全静脈栄養施行者では、血清の総CoQ10 値は健常者よりも低値を示す。また、CoQ10の生合成経路は、コレステロールとファルネシルピロリン酸までは共通であるので、コレステロール生合成の律速酵素であるHMG-CoA還元酵素の阻害剤(プラバスタチンやロバスタチン等の高脂血症治療薬)服用時には血清の総CoQ10 値は低下する。
一方、魚や海洋哺乳類を主食とする特徴的な食生活をおくるエスキモーは、日本人やデンマーク人の健常者群よりも高い血清値を示す。これらの報告は、生体中のCoQ10が生合成由来の内因性と、食事由来の外因性との両者によって充足されていることを示唆している。
そのほか、インスリン非依存性の患者では、血清(血漿)総CoQ10値の低下を呈する。なお、高コレステロール血症では、その値は健常者より高く、血清中のCoQ10値とコレステロール値とは正の相関を示す。これらの差がその疾患に直接起因するものなのか、あるいは二次的な変化にすぎないのか、また疾患ゆえに食事由来の外因性のCoQ10摂取量が低下したためかなど、まだ検討の余地がある。
 

(Medical Nutrition42号より)
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