特集2 免疫活性食品

自己防衛力を高める「免疫活性食品」

 体外から体液中に侵入してくる異物や病原菌と戦う「体液性免疫」、がんなどのように細胞内に生じる異常と戦う「細胞性免疫」――。自己防衛機能である、この2つの機能を活かす免疫療法により、数々の著効例が報告されている。免疫療法の補助療法には、悪玉菌を抑え日和見感染を防ぐ機能性食品や、マクロファージやNK細胞を活性化させ、間接的に免疫力を強化する健康食品などが使われている。特集では、日本臓器移植ネットワーク副理事長の野本亀久雄氏に、疾病予防のための免疫活性食品の役割を聞くとともに、がん治療での導入例、免疫活性食品の研究事例を紹介する。


ハーブやキノコ系健食を使った「分子免疫治療」に診療予約が殺到

 神奈川県横浜市の医療法人財団コンフォート病院(宇野克明理事長)が最近、全国から注目を集めるようになった。がん患者やその家族、さらには専門医の間でも話題になっているのは、ハーブやキノコ系健康食品を使ったがん治療法だ。幾度となく雑誌やテレビで取り上げられるこの治療法は、理事長の宇野医師が開発した「分子免疫治療」。7月にテレビ朝日が追跡取材で治療内容を放映したことから、問い合わせが殺到、3カ月先まで診療予約が埋まった。

 治療法の概要は、キノコ系健康食品とハーブ系成分D−12併用による基礎的がん治療と、必要に応じて血管新生阻害治療としてサリドマイド、腫瘍の活動性低下を目的としたがんカテーテル治療(カテーテル・インターベーション治療)、基礎状況の改善を狙った胸水や腹水の濾過・再静脈注法と呼ばれる処置の併用によって行われる。

ほとんどの患者に免疫向上、著しい生存期間の延長も

 がん免疫治療では、キノコ系多糖類のAHCCで効率よくリンパ球に刺激を与えながら、リンパ球の活性化を長期間維持して免疫治療効果を強化するハーブ系アミノ酸複合体D−12を併用する。がんに立ち向かうリンパ球の内部に、抗がん性サイトカインの素材となるアミノ酸を補給することで、持続的に免疫力を発揮させることが可能となる。

 D−12には、ハーブ系植物に含まれる多糖類、アミノ酸複合体、生体細胞維持に重要な還元型グルタチオンなどが配合されている。D−12投与の重要性について宇野医師は、「がん免疫治療では、がんに攻撃を仕掛けるリンパ球の内部環境を常に"酸化させない"ことが、その後の治療効果を大きく左右する鍵となる」と話す。

 キノコ系健康食品単独投与の場合、一時的にリンパ球刺激作用が見られるが、サイトカイン放出によるアミノ酸不足とエネルギー消費過多により、リンパ球が酸化ストレスを受ける「免疫枯渇現象」が避けられない。このため、「免疫枯渇現象を防ぐには、サイトカインの素材となる特殊なアミノ酸の供給と、リンパ球内部への強い抗酸化作用を併せ持つD−12を併用することが不可欠になる」(宇野医師)という。

 また、がんの活動性が高い症例には、血管新生阻害治療としてサリドマイドを使用。がん免疫治療を一定期間、実施した後に「がん免疫ドック」検査などで、がん細胞が残存していることが判明した場合には、直接がん細胞の局所に「抗がん剤」を注入する、がんカテーテル治療を施行する。

 定期的な画像診断を行いながら、これらの治療を約6カ月間継続した後に「がん免疫ドック」評価を行う。通常この時点でほとんどの患者に免疫向上が認められるため、D−12等の投与量を半量に変更し、さらに1年間の治療を行って終了となる。分子免疫治療を施行した症例数は、この3年間で約3500。キノコ系健康食品単独による免疫治療に比べて、著しい生存期間の延長がみられた。5年生存率のデータが解析できた段階で、国内外の学会に報告する予定だ。

健食を基準とした健康への対応を
日本臓器移植ネットワーク 副理事長
野本 亀久雄氏

「健康とは何か」を国民に教えるためには、健康を守るために、体内で免疫が病原菌と絶えず戦っていることを説明する必要がある。高齢になると免疫力が低下するので、少しでも免疫に加勢しないと、病気がすぐに表面化してしまう。若年層でも、ストレスが溜まった状態になれば、普段と変わらないように見えても、ストレスで免疫力は低下し、体は負の方向に移行してしまい、病気にかかってしまう。

体内での免疫の働きは、以下のように考えるとわかりやすいだろう。水中では免疫と病原菌が絶えず戦っており、トータルとして表面化していない場合は、いわば健康な状態といえる。我々は、病原菌に負けて、水面上に病気が顕在化した場合のみ、病気として捉え、ここで初めて病院に行って治療しようとするわけだ。しかし病院では、表面化している部分しか診察せず、病気の根本治療に至っていないのが現状だ。

こう考えると、何もなしに健康な状態だということは決してあり得ない。免疫が病原菌を何とか凌ぎきっているからこそ、健康な状態といえるのだ。そのためにも、健康は常に体内の免疫が戦って得られているものであるということをよく理解しておく必要がある。

私は、がんによって死ぬことはなく、日和見菌に感染することで死ぬのではないかとの考えを提唱している。体内にいる日和見菌は、ちょっとした弱みにつけ込んで、生き延びる機会を窺っているが、その一方では、体外からの微生物を滅ぼし、古くなった成分を排出するという生体防御の役割もある。これらに対して現在では、免疫ミルクやクロレラなど免疫機能を助ける健康食品素材も数多く出回るようになっている。健康保険制度が厳しさを増し、病気に直接ターゲットを絞った医薬品しか給付されなくなってくると、その不足分をサプリメントで補うという考えが中心になってくる。

このように考えると、健康食品は健康に対応するための一つの基準とされるべきだろう。現状では、健康食品は玉石混淆だが、多少値段が高くても、栄養面と生体活性化の両方の側面がしっかりしたものを健食市場の中心となるよう期待するところだ。


(Medical Nutrition41号より)


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