|
特集1 注目のハーブ素材
これが今注目のハーブ素材だ
 |
<フェヌグリーク> |
糖尿病患者にフェヌグリークを投与
軽症であれば有意な血糖効果作用
世界最古のハーブと言われるフェヌグリーク(学名:Trigonella foenum-graecum=豆科トリゴネラ属)。学名の元となっているトリゴネリンを含むアルカロイド、ジオスゲニンを主成分とするサポニン、フラボノイド、ガラクトマンナン、たんぱく質、ビタミンA、ビタミンB1、ビタミンCを含み、民間伝承薬として滋養強壮、解熱、母乳分泌促進などに利用されてきた。
フェヌグリークを使ってII型糖尿病患者へのパイロットスタディを行った九段クリニック理事長の阿部博幸医師は、「主成分のガラクトマンナンは、ガラクトースとマンノースが合体したものだが、理想的な比率は1対1。フェヌグリークはその骨格をなしている」と評する。
阿部医師が実施した投与試験では、II 型糖尿病患者17人(男性16人、女性1人)を対象に、フェヌグリーク含有食品を8週間摂取させ、血糖値の変動をみた。治験デザインは、被験者を空腹時血糖値が200以下のA群(12人)と、200を超えるB群(5人)に分けた。
さらにA群を、前4週にプラセボ・後4週にフェヌグリーク4gを摂取させるA1群(6人)と、前4週にフェヌグリーク4g・後4週にフェヌグリーク2gを摂取させるA2群に分けた。A1群では、平均血糖値147mg/dlが4週目に146mg/dlと変化が見られなかったが、8週目には132mg/dlに低下、A2群(6人)では、平均血糖値146mg/dlが4週目に122mg/dlに低下したが、8週目は変化が見られなかった。また、重症糖尿病群であるB群には、前4週にフェヌグリークを1日に4g、後4週に2gを摂取させた。その結果、摂取前の平均血糖値262mg/dlが、4週目に254mg/dlに低下、8週目も同値を示した。
この結果から阿部医師は、「200以下の軽症患者であれば、フェヌグリーク単独で、確実に血糖値をさげることができる。200を超える重症患者の場合は、薬物と併用すれば補助効果が期待できる」という。さらに阿部医師は、「血糖降下剤の中には、ガスが出る、お腹がはるなどの副作用がみられるが、フェヌグリーク投与では全くみられなかった。個々の患者のデータをみると、血糖降下作用以外にも便秘改善効果、体重減少などが確認された」とコメントしている。試験には、(株)トレード・ピア(TEL03-5542-2010)の「フェヌライフ」を使用した。
 |
<ブラックコホッシュ> |
ホルモン補充療法に替わり、ブラックコホッシュで女性疾患に対応
抗加齢医学で注目されるホルモン補充療法にレッドカードが突きつけられた。米国で、50歳から79歳の子宮をもつ1万6608人の女性を対象に行われていた大規模介入試験で、エストロゲン、プロゲスチンを投与されている患者において、プラセボ投与群よりも乳がんや心疾患、脳卒中、肺血栓症の発生が増加することがわかり、当初05年まで実施する予定だった試験が急遽中断された。
米国立心肺血管研究所(NHLBI)のクロード・レンファント所長は、試験中止の理由について、「エストロゲンとプロゲスチンの併用療法は乳がんリスクを26%も増加させた。仮に心疾患へのベネフィットがあったとしても、受け入れることはできない」とコメントした。
今回の試験で判明した点は、エストロゲン・プロゲスチン併用療法はプラセボに対して、結腸直腸がんを37%減少させ骨盤骨折率を3分の1に減少させたが、逆に脳卒中は41%、心筋梗塞は29%、それぞれ増加させるなど、リスクがベネフィットを上回る結果となった。
米国では、約600万人の女性が、エストロゲン・プロゲスチン併用療法を受けていると言われるが、ショッキングなニュースに、患者はもとより主治医も困惑しているという。そこで、代替療法として目を向けはじめているのがサプリメント療法だ。大豆イソフラボンやセントジョーンズワートなどが再評価されているが、今最も注目を集めているのはブラックコホッシュ。アメリカ先住民によって古くから女性特有の症状に使用されてきたハーブで、生理痛や更年期障害の緩和に効果を発揮するという。
ブラックコホッシュの抽出エキス、トリテルペン1mg含有の標準化エキスは、エストロゲンに似た作用を持ち、ホルモン療法の代替として臨床導入が進んでいる。ドイツでは医薬品として販売されているが、米国やオーストラリアではサプリメントになっている。日本では、米国マイタケプロダクツインクの日本法人、(株)サン・メディカ(電話03-5447-5221)が輸入販売を行っている。
 |
<クランベリーエキス> |
尿路感染症には「クランベリーエキス」
尿路感染症の改善効果で、米国で広く利用されるクランベリーエキス。クランベリー中のキナ酸が腸管吸収され、肝臓で安息香酸に代謝、これにグリシンが加わり馬尿酸に変換。これが尿中に排泄され、pHを低下させることで、尿路感染菌の尿管への付着を抑制すると考えられている。また、抗酸化作用のあるプロアントシアニジンも関与しているとされている。
また、イスラエルのテル・アビブ大学の研究では、連鎖球菌の歯への付着を抑制して歯垢の形成を妨げ、さらにプロアントシアニジンが胃内部の粘液を、H・ピロリ菌から守るという報告もある。
キッコーマン(株)バイオケミカル事業部(電話03-5521-5497)が製造する「クランベリーパウダー」は、果汁固形分50%を含む粉末タイプ。日清サイエンス(株)を通じて、医療食として販売されている。
 |
<ラフマ> |
ラフマに抗うつ作用
心療内科の現場で注目を集めているの がキョウチクトウ科の植物のラフマ(学 名:Apocynum venetumL)。ラフマは、神経衰弱改善や不眠改善、抗うつ作用があることが知られている。
医薬原料を製造する常磐植物化学研究 所が実施した動物実験では、雄Sprague- Dawleyラットにラフマエキスを1日3回経口投与して、強制水泳試験法による抗うつ作用を検討したところ、ラフマエキス投与群はコントロール群に比べ、活動停止時間の短縮が認められた(表)。14日間連続投与した場合にも同様に、ラフマエキス投与群はコントロール群に比べ活動停止時間が短縮され、うつ状態になりにくいことが示唆された。
また、老化促進マウス(SAM)を用
いた老化予防効果も検討した。7〜8週 目のSAMに、1日100mg/kgのラフマ 抽出物を40日間経口投与した後、肝・腎 組織中のラジカル消去酵素の活性変化を
調査した。その結果、酸化防止に関わる 酵素である肝組織中のスーパーオキシド ディスムターゼ(SOD)、グルタチオ ンペルキシダーゼ、グルタチオンレダク ターゼ及び腎組織中のSOD活性が有意
に上昇していることが確認された。また、SAMで正常なマウスよりも低いグル タチオン(GSH)レベルとGSH/GSHジスルフィド比が、いずれも改善されていたことから、酸化によるたんぱく質変性が抑制されたと言える。
 |
<キャッツクロー> |
ペルー産ハーブをリウマチ治療に
オーストリア・インスブルック大学病 院内科リウマチ外来のエルリッヒ・ムー ア医師らの研究グループは、南米ペルー の熱帯雨林に自生するキャッツクロー(ウンカリア・トメントーサ)を主成分とする抗炎症剤クラレンドルン(製造・イモダール・ファルマカ社)の安全性と有効性を評価するため、リウマチ性関節炎患者を対象に無作為二重盲検試験を実施した。
試験は、スルファサラジン又はヒドロ キシクロロキンによる治療を受けている 患者40人を、52週間、2期間にわたる無 作為試験に組み入れた。第一期(24週間)期間中、患者はキャッツクロー抽出物又はプラセボを投与し、第二期(28週間)には、全ての患者にキャッツクロー抽 出物を投与した。
キャッツクロー抽出物による24週間投 与の結果、疼痛のある関節の数がプラセ ボと比較して減少した(p=0.044)。第二期にのみキャッツクロー抽出物を投与した患者における疼痛のある関節の数 (p=0.003)、腫脹のある関節の数(p=0.007)及びリッチー指数(p=0.004)がプラセボ服用24週後と比較して減少した。副作用は軽微であった。
今回の小規模予備試験は、スルファサ ラジン又はヒドロキシクロロキンを服用 中の活動期RA患者において、5環系化 学型キャッツクローから高濃度に精製し た抽出物が安全であり、また疼痛のある 関節数に対して中程度の有用性を有する ことを示した。
クラレンドルン(カプセル)は、ウン カリア・トメントーサ(5環系変異株) の酸油出水溶液乾燥物20mgを含有する。 この抽出物は、14.7mg/gの5環系オキ シンドールアルカロイド(POA)を含 み、4環系オキシンドールアルカロイド (TOA)は含まない。1カプセル当た り乳糖130mg及びアスコルビン酸200mg を充填剤とした。活性成分を除き、プラ セボは同一成分を有している。
臨床試験の内容は、リウマトロジー・ ジャーナル02年4月号に掲載された。試験に関する問い合わせは、Eメール(erich.mur @uibk.ac.at)まで。
日本ではサプリメント(製品名:ハイ ペックスUT)として販売。発売元は、 日本ペルーキャッツクロー普及協会(電話03-3738-2831)。
 |
<エキナセア> |
風邪の予防と治療にエキナセア
ハーブサプリメントとして、米国で7年連続1位に輝いたエキナセア。免疫賦活作用が評価され、すでに「風邪の常備薬」としての地位を確立したといっても過言ではないほどだ。
ひと口にエキナセアと言っても、数種の近縁種がある。そのうちメディカルハーブとしての機能が確認されているのは3種類。エキナセア・プルプレア、エキナセア・アングスティフォリア、エキナセア・パリダである。これらはそれぞれ根、葉、花、植物全体などの部位が使われ、部位によっても薬理作用は異なる。ドイツ保健省のコミッションEでは、「エキナセア・プルプレアの地上部」「エキナセア・パリダの根」を薬用として認めている。
エキナセアは多彩な成分を有しており、現在までに分かっているものとしてポリサッカライド、グリコプロテイン、フラボノイドがある。その効果は単一の活性成分によるのではなく、複合的な働きと考えられる。In vitroの研究では、エキナセア・プルプレア由来のポリサッカライドが、マクロファージからのTNF−α、IL−1などの産生を促進する。
エキナセアは伝統的に、内服または外用により、創傷治癒、熱傷、湿疹、下腿潰瘍などに用いられてきた。現在もドイツでは泌尿器科、婦人科、内科、皮膚科などで臨床応用されている。
ドイツの植物治療薬指針及び治療実験では、風邪やインフルエンザの予防といった免疫賦活作用、頭痛、喉の痛み、鼻炎、気管支炎、咳や発熱の緩和、免疫力の弱い小児の気管支感染、腸内感染の予防・治療などが記されている。
エキナセア製剤にはエキナセア・プルプレアの地上部の搾汁濃縮エキス「エキナシン注射液」などがある。米国では数種のエキナセアを混合したサプリメントがよく使われている。投与量は1日900〜1000mgを3回分服、搾り汁6〜9ml、チンキ0.75〜1.5mlも推奨される。
主な適応が急性の感染症ということもあり、投与期間は一般的に8週までとされる。副作用はまれとされるが、キク科植物に敏感な人ではアレルギー反応が起こるケースがある。
(Medical Nutrition 41号より)
|