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企業動向
キノコ健康食品の成分と機能に新たな展開 各社、医療用途へ照準
アガリクスを筆頭に、メシマコブ、マイタケなど、各社がキノコ健康食品を発売している。機能成分も、これまでのβ-グルカン中心から、他の成分へと研究を広げている企業もある。それぞれの動向をまとめた。
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シイタケ菌糸体エキスの安全性を証明 |
「キノコ系の健康食品でも、レンチナンで示された心筋障害の可能性がある」――。昨年10月に横浜で開催された第60回日本癌学会総会で、大阪大学大学院医学系研究科病態制御外科の藤本二郎氏が、レンチナンによる心筋障害促進を発表したことに対しての指摘だ。これを受け、キノコ系の健康食品を扱うメーカーでは、その安全性試験に躍起になって取り組んでいる。(株)長岡L・E・M研究所の長岡均氏らのグループも、一連のレンチナン騒動を受けて、シイタケ菌糸体エキスに関する3種の安全性試験を実施した。
ラットを用いた単回経口投与毒性試験では、4週齢の雌雄ラットを、雌雄各10匹ずつ2群(シイタケ菌糸体エキス投与群と対照群)に分けて実施。投与群には、10ml/kgに調製したシイタケ菌糸体エキスを、高用量2000ml/kg、低用量500ml/kgとして、対照群には注射用水をそれぞれ投与し、ラットへの毒性を観察した。
一方、ラットを用いた28日間反復経口投与毒性試験では、4週齢の雌雄ラットを、雌雄各5匹ずつ2群(シイタケ菌糸体エキス投与群と対照群)に分けて実施。投与群には、10ml/kgに調製したシイタケ菌糸体エキスを、高用量1000ml/kg、低用量500ml/kgとして、対照群には注射用水をそれぞれ28日間反復して経口投与し、ラットの毒性を観察した。
その結果、単回経口投与・28日間反復経口投与いずれの試験でも、それぞれの群に異常及び死亡は認められず、毒性がないことが証明されたと報告している。
次に、哺乳類の培養細胞を用いた染色体異常試験では、チャイニーズハムスター肺由来の線維芽細胞を使用して、連続処理法の24と48時間処理、短時間処理法のS9mix添加と無添加の4系列で実施し、シイタケ菌糸体エキスの染色体異常誘発性の有無を検討した。その結果、連続処理法の24と48時間処理、短時間処理法のS9mix添加や無添加のそれぞれの場合で、異常細胞の出現率は陰性を示し、シイタケ菌糸体エキスにおける染色体異常誘発性はないものと示唆された。
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ポスト・アガリクスとして期待集まるメシマコブ |
アガリクスのがん全治率は90.0%、阻止率は99.4%――。これは、アガリクス研究の第一人者である静岡大学の水野卓名誉教授(故人)が、「第1回漢方きのこ栽培研究所健康セミナー」(主催=漢方きのこ栽培研究所)で紹介したもの。
水野名誉教授によると、東京大学医学部、国立がんセンター研究所、東京薬科大学などの抗がん作用に関する動物試験では、アガリクス10mg/日の投与により、がんの全治率は90.0%、阻止率は99.4%と高い確率を示したという。
水野名誉教授によると、キノコの主な作用機序は抗腫瘍作用や血糖降下作用、抗血栓作用など多岐に渡る。従来の抗がん剤を用いるがん治療では、正常細胞まで攻撃してしまう可能性があるため、食用キノコの生理特性を利用した機能性食品は、今後ますます増えていくだろうとして、食によるがん予防がさらに促進されるだろうと期待感を示している。
メシマコブは野生の桑の木に寄生するタバコウロコタケ科キコブタケ属のキノコで、学名を「フェリナス・リンテウス」という。
ポスト・アガリクスとして評判の高いメシマコブだが、類似のキノコと混同される場合も多い。日本生薬(株)では、独自の生薬調達ルートで天然メシマコブを確保している。同社で扱うのは、ツムラ研究所で真正のメシマコブと認定されたものだ。医療現場でもがんの統合医療向け素材として用いられている。天然メシマコブの熱水抽出物には、アポトーシス誘導作用が確認されている。また、腫瘍細胞を移植したマウスにメシマコブ熱水抽出物を投与すると、対照群に比較して腫瘍細胞の生着が抑制された。刻み生薬の入った袋を煎じて飲む。
(有)スペース・スリーと(株)エル・エス・コーポレーションは韓国産メシマコブを取り扱っている。韓国産メシマコブの学術報告としては、ソウル大学医学部のグループが、メシマコブの免疫亢進効果に関する報告をしている。それによると、根治的胃切除手術を受けた第3期の胃がん患者へ検査した結果、メシマコブ投与群では対照群と比較して、Tリンパ球総数やヘルパTリンパ球数の快復率が高いことが示されたとしている。
「細胞壁破砕X」シリーズで知られる(株)クレモナはこのほど、シリーズ第2弾として「クレモナのメシマコブ・細胞壁破砕X」を発売。百貨店やショッピングセンターなどからの引き合いが相次いでいるという。
製品は、シリーズ従来品の技術をメシマコブに応用し、加工に成功したもの。同社によると、従来の熱水抽出法で煎じたメシマコブでは、糖質を除くほとんどどの成分は検出されなかったが、製品には1袋当たり5gの細胞壁破砕天然メシマコブ(無添加)を100%使用しているため、メシマコブの栄養成分の全てが摂取できるという。通常、煎じ液からは取り出しにくいβ-グルカンも1袋中から800mg摂取できるという。
今後、同社ではエビデンスに基づいた製品を提供し、品質の確保を図っていくとともに、登録商標である「細胞壁破砕X」に類似する他社製品への注意も呼びかけている。
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日本のキノコ健康食品に米国でも関心高まる |
「協和のアガリクス茸 仙生露」((株)サンドリー)が、今年5月に出版された『PDR for Nonprescription Drugs & Dietary Supplements』に収載された。同書は米国の医薬品集『Physicians' Desk Reference』のOTCおよびサプリメント版。同書では、「宿主の防御機能を刺激することで、がん患者の免疫機能を支える効果的な効果的な治療の一翼を担う可能性がある」と評価している。その科学的裏付けとして、(1)NK細胞活性の増強(2)マクロファージ数の増加およびTNF-αの増加――などを挙げ、これらはヒトでも確認されていると記載している。
同品には、抗腫瘍活性をもつ低分子成分、ABMK-22が発見され1999年の日本代替・相補・伝統医療連合会議(JACT)で報告されるなど、バックデータの蓄積が進んでいる。白鳥薬品(株)ではアガリクス・ブラゼイ・ムリルのサプリメント「姫松茸吉祥丹(ひめまつたけきっしょうたん)」を発売。アガリクス(岩出101株)の子実体と、IBI株の菌糸体を主原料としている。子実体の細胞壁を破砕処理した上、菌糸体を酵素処理して、吸収率を高めた。窒素充填のスティック包装となっており、携帯にも便利。
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ヤマブシタケ、霊芝など新素材も登場 |
(株)ピィエムシー(東京都台東区)は、6種類のキノコをミックスした新しいタイプの健康食品「ビオスα」「ビオスαゴールド」を販売している。6種類のキノコとは、ヤマブシタケ、メシマコブ、霊芝、アガリクス、シイタケ、マイタケ。これらを原料に、超高濃度抽出製法によって、β-グルカンの含有率23.6%を実現した。β-グルカン以外にもα-グルカン、ヘリセノン、フラボノイド配糖体、ゲルマニウム化合物が含まれている。
元・国立予防衛生研究所免疫細胞室長の奥村秀夫博士は、「免疫機能に対する支援は、なるべく生体機能に自然な形で行うのがよく、キノコは条件を満たしている。また、複数のキノコに含まれる有効成分がお互いに協力し合い、刺激しあって、キラーT細胞の働きを支援するなど強力な活性作用を期待できるようになる」としている。
中国で貴重品とされる霊芝の胞子を主成分とする健康食品「エンハンフォル」((株)GSIクレオス)もある。胞子は硬い殻で覆われていて、これまではその有効成分を利用することが困難であった。
中国・中山大学食品研究センターとスウェーデンのカロリンスカ研究所のグループにより、酵素によって外殻を破壊し、胞子内にあるエキスを最大限に吸収することが可能になった。従来のキノコ健康食品に見られる免疫系への機能のみならず、視神経の細胞を活性化させるというユニークな働きが注目されている。霊芝の胞子に含まれるラクトンが、神経の修復能力を有していると考えられている。
主なキノコとその作用メカニズム
(Medical Nutrition40号より)
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