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特集 β‐グルカン
臨床現場からの報告 イメージが先行するキノコの効能、摂取については客観的なデータに基づく指導が必要
がん患者にキノコ製品を利用している医院は着実に増え続けている。投与の方法や効果、今後の課題など、代表的な医院での臨床実態をさぐってみた。
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継続が効果発現の条件 |
日本橋清洲クリニック 佐藤仁是院長
重度の肝障害にヒメマツタケ製品が著効を示す
がん患者に対してヒメマツタケを取り入れた診療を16年間行っている日本橋清洲クリニックの佐藤仁是院長は、世間一般で言われているアガリクスのイメージが先行して、患者や医師の誤解を招いていると警鐘を鳴らす。
佐藤院長によると、アガリクスといわれるものは実際200種類以上。なかでも薬効がきちんとしている菌株はわずかだという。このため、患者は薬効がしっかりした菌株を見極めるのが大事だと話す。その際には、きちんとした学会で長年研究発表されており、使用前に資料請求して薬理作用を確かめるべきだと話す。
そして切実な事情で、治療の一助として服用される人は、漫然と飲み続けるのでなく、最低でも3ヵ月間はきちんと目標を立てて飲み続け、かかりつけ医から病状、病態の動向、各検査数値の変化などを聞くなどして自身で効果をチェックしてみる必要があると指摘する。と言うのも、薬効と患者本人に効くかは別問題であるためだ。
「抗がん剤が患者さんによっては効果がない場合があるように、薬は万人に効果があるものではない。アガリクスも同じである。予防的に服用されるのであれば、健康食品というのはもともと食品なので、一定期間の継続摂取が効果のための必要条件になる」(佐藤院長)とし、健康食品は「継続は力なり」が当てはまると話す。
そこで、佐藤院長からヒメマツタケの摂取によりがんが顕著に改善した例を紹介してもらった。このケースは重度の肝障害に対するケースだ(事例の詳細は、本紙33号7頁既報)。事例は64 歳の肝硬変・慢性肝炎の男性。平成13年7月に大学病院で重度の肝硬変と診断され、一種の薬を投与される。しかし、症状改善がされなかったため、8月23日に来院し、体重減少や食欲低下、倦怠感などの自覚症状、両下肢の浮腫、上腕部皮下出血が確認された。同日から日本食菌工業(株)製のヒメマツタケ製品(粉末)を40g/1日摂取を開始した。2ヵ月後(10月22日)に行った肝機能検査ではGOTが70IU/L、GPTが32IU/L(基準値はそれぞれ、10〜40IU/L、5〜45IU/L)と有意に低下し、その後も摂取を続け、その約2カ月後(平成14年1月9日)、約5カ月後(4月9日)、約7カ月後(6月10日)に行った肝機能検査でも、GOTは32→36→35、G PTも20→36→31(ともに単位 IU/L)といずれも基準値の範囲内で推移し、重度の肝障害の改善状態を維持するに至っている。
このケースについて佐藤院長は「肝硬変は確かに不可逆な病変と考えるのが常識である。しかし、ヒメマツタケの免疫賦活作用が、肝臓という元来再生能力のある細胞に対して、新陳代謝を促進し、新しい細胞とかなりのスピードで置き換わり著効を示したものと思われる」と考察している。
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サメ抽出脂質とアラビノキシランとの併用を報告 |
銀座サンエスペロ大森クリニック 大森隆史医師
肺移転の腎臓がん患者のQOLが著しく改善し、がんとの共生に成功
銀座サンエスペロ大森クリニックの大森隆史医師は、血管新生阻害作用を持つサメ抽出脂質をアラビノキシランと併用し、患者のがんとの共生に成功している。
大森医師によると、患者は腎臓がんで、肺に転移していたため、抗がん剤が使えなかったという。3年前から他の機能性食品によって治療を行っていたが、腫瘍マーカーCEA(正常値=2.5以下)が70にまで上昇し、その後もじわじわと上がり続けていたと話す。そこで、大森医師は、キノコ健食とは違った作用が期待できるサメ抽出脂質との併用を試みたという。
摂取方法は、従来のアラビノキシランを残して朝夕2包、それにサメ抽出脂質1日10〜15粒、1回5粒(1日10粒の場合は朝夕2回、15粒の場合は朝昼晩の3回)を処方に加えた。サメ抽出脂質併用後、増え続けたCEAは、1、2ヵ月頃から横ばいになり、半年後からはゆるやかに低下していったという。がんは依然なくなってはいないが、患者のQOLは著しく改善し、がんとの共生に成功したと大森医師は話す。
「患者さんからは、『サメ抽出エキスは量が少なくて摂取しやすく、バイオブラン(アラビノキシラン)の使用により食欲や気力もでてくる』との感想を受けました」とは大森医師の弁。「コスト的にも、摂取量も少なくて済むことや、サメ軟骨に比べても100分の1ぐらいの量で、同様の血管新生阻害の効果が出るとの基礎研究での結果も出されている。コスト面からも効果としての面からも非常に優れたものだと言えるのではないでしょうか」(大森医師)。新素材の普及に今後大きな期待がかかる。
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がんとの共生にキノコ製品を利用 |
とまつ内科・胃腸科クリニック 戸松 成院長
患者さんに疾病治癒への望みを与えることが医師の大切な役割
さいたま市の「とまつ内科・胃腸科クリニック」では、がんが進行し、がんとの共生を余儀なくされた患者に対し、食事療法を軸とした非侵襲的医療を実践している。クリニックで院長を務める戸松成氏は、食事療法の一環として健康食品の摂取を位置づけ、積極的にアドバイスしている医師の一人だ。
戸松氏が、患者へ実際に指導しているのは、アガリクスやAHCCなどの健康食品。しかも動物実験などの臨床データが確立しているものだ。指導した患者さんからは、「腫瘍の増大が止まった」「他の医師から宣告されていた余命年数よりも長く生きられた」など反響も多いという。但し、健康食品の指導は医師個人の経験に基づいて行われるのがほとんどであり、指導が難しいのも事実。そのため、摂取については客観的データに基づく指導が必要だとも戸松氏は話す。
しかし戸松氏は、健康食品を取り巻く現状はとても手放しで喜べるものではなく、ネガティブな臨床データをスポイルしている点や製品価格が高価な点など問題点は多く、「わらをもすがる思いで買い求める患者や家族に対しての配慮が必要」と注文もつける。
「末期がんなどの患者さんに対して、見捨ててしまうのでなく、その患者さんに疾病治癒への望みを与えることが医師の大切な役割」とは戸松氏の弁。その意味で、医師側が患者を支援していく姿勢で、日々診療に取り組んでいるという。
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ハタケシメジをがん患者に投与 16例中、CRは10例 |
β−グルカン含有量が高いハタケシメジの人工栽培に初めて成功
王子製紙グループは、健康食品事業を本格化するため、今年4月1日、関連会社の王子緑化(株)に健康関連事業部を発足させた。同社のキノコ食品「ハタケシメジ(王子1号)」は、がんへの化学療法剤の副作用を軽減させる目的で、一部医療機関で使われているが、今後は生活習慣病の予防食品として、対面販売を行う薬局や通販、インターネット等での販売も行う。ハタケシメジは、ホンシメジと同じシメジ属の食用キノコで、β−グルカンの含有量が高いうえ、味にも定評があることで知られている。
香りマツタケ、味シメジ−。こう称されるほどマツタケとホンシメジは、香りや味が良いことで有名だが、バイオテクノロジーをもってしても人工栽培ができないのが難点とされる。シイタケやナメコのようにホダ木に生育する腐生菌は、人工栽培が可能だが、マツタケとホンシメジは、生きた木の根っこに寄生する菌根菌であるため、人工栽培による大量生産は不可能。そこで王子製紙が目をつけたのが、ホンシメジに最も近いキノコでありながら、菌根菌ではないハタケシメジ。王子製紙が持つマツタケの培養技術と、林木育種の研究で蓄積したバイオテクノロジーを駆使して、初めて人工栽培に成功した。
ハタケシメジの有効性に最初に注目したのは、三重大学医学部薬理学教室の助教授だった伊藤均博士。伊藤氏らが92年に行った基礎試験では、ハタケシメジの熱水抽出エキスを希釈し、マウスに腹腔内投与して2時間後に採血、さらにマウスから浸出細胞を取り出して調べたところ、マクロファージの活性化を示すC3補体が増加、最大でコントロール群(非投与群)の15倍も放出された。
この実験を受けて伊藤氏らは、12匹のマウスにサルコーマ180 固形がんを移植し、うち6匹にハタケシメジ熱水抽出エキスを10日間経注投与し、35日目にコントロール群(非投与群)との比較を行った。その結果、投与群は6匹全てが生存したが、非投与群は半数が死亡、生存したマウスも腫瘍細胞が拡大していた。これら前臨床での研究論文は、日本癌学会や日本栄養・食糧学会等で発表されている。
がん患者へのハタケシメジの投与で症状の改善を検証
一方、臨床でハタケシメジの免疫活性作用を調べている医師もいる。長野県佐久市の水嶋クリニック(水嶋丈雄院長)では、インフォームドコンセントに基づいて、20人のがん患者にハタケシメジ熱水抽出エキスを摂取してもらった。全員に血液中のIL−2、IL−18、Th1細胞のレベルを測定、腫瘍マーカーを調べ、画像診断を行ったうえで、患者の体調や自覚症状の変化などを総合的に見ながらどの程度改善したかを検証した。効果判定は、厚生労働省のGCP評価基準に従って判断した。
それによると試験期間内に結果が判断できたのは16例。うちCRは10例。PRは4例。NCは0。PDは2例。腫瘍マーカーが測定できた12例は、マーカーが有意に減少し、測定不可能の4例のうち2例がNK細胞、IL−2、IL−18ともに上昇した。
同クリニックでのがん治療は、微小がんの段階では、免疫療法で対処できるが大きな塊となったがんは、手術や化学療法、放射線治療を駆使し、再発や転移を防ぐためには漢方薬や食事療法を施行する。つまり西洋医学と代替医療の二つをがん治療の両輪と位置づけている。
また、ハタケシメジ熱水抽出エキスの試験では、降圧作用が示唆される結果も得られている。三重大学生物資源学部の久松眞教授らの研究では、ハタケシメジのほかヒラタケやエノキタケなど9種類の食用キノコを使ってACE阻害活性を調べた結果、ハタケシメジの阻害活性効果が最も高いことがわかった。降圧作用について久松氏は、「β−グルカンではなく、アミノ酸が複数結合したペプチドが関与していると考えられる」としている。
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オーツ麦のβ-1/3、1/4 |
グルカン、血糖・血圧降下作用で再評価
米国で注目を集めるオーツ麦の可溶性食物繊維
キノコ類に含まれるβ-1/3、1/6グルカンの臨床研究が進む中、オーツ麦に含まれる可溶性食物繊維(β-1/3、1/4グルカン)が、にわかに注目されている。米国では、栄養補助食品健康教育法に基づき「1日3gのオーツ麦可溶性食物繊維の摂取は、冠動脈心臓病のリスクを低減する」といったヘルスクレームが許可されている。この背景には、オーツ麦が欧米では幅広く親しまれている食品であることに加えて、これまでの研究で、可溶性食物繊維が血中脂質濃度に影響を与え、心疾患リスクを下げることが科学的に証明されている点がある。
例えば、血清コレステロールへの影響を調べた試験では、オーツ麦抽出物摂取群は、血清総コレステロール及びLDLコレステロールレベルが、コントロール食群に比べ有意に低下。ほかにも血糖値改善効果、血圧降下作用、免疫増強効果などが、動物実験レベルで確認されている。
米国の受託試験会社が実施したオーツ麦抽出物のグルコース、インスリンレスポンスに及ぼす影響をみた臨床試験では、軽度高コレステロール血症の被験者(男性7人、女性16人)に、コントロール食を1週間摂取させた後に、低(1%)あるいは高(10%)β−グルカンを含むオーツ麦抽出物をクロスオーバーパターンで、それぞれ5週間摂取させた。その結果、グルコース負荷試験において、グルコースレスポンス及びインスリンレスポンスは、オーツ麦抽出物摂取群で、コントロール食群のレベルから有意に低下した。また、その効果は、低(1%)β−グルカン食群よりも高(10%)β−グルカン食群でより大きかった。
また、ミネソタ医科大学は、オーツ麦シリアル(可溶性β−グルカン含有)摂取による血圧に及ぼす影響を臨床試験で検討した。軽度の高血圧症の男女18人に対し、オーツ麦シリアル(β−グルカン/1日5.52g)を6週間摂取後に血圧の変化を分析した結果、有意な血圧降下(収縮期−7.5 mmHg、拡張期−5.5 mmHg)を観察、総コレステロール(9%)、LDLコレステロール(14%)も有意に低下した。
このほか免疫調節作用に関するマウス試験も多数報告されるなど、米国で食経験の長いオーツ麦が、機能性食品として再評価されている。日本では、6月からキッコーマン(株)(TEL03-5521-5497)が可溶性食物繊維を5%以上含有した原料(原料名:オーツ麦EX)の供給を開始している。
(Medical Nutrition40号より)
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