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"栄養補給"と"有害物質の除去"への注目から、日本でも「サプリメント」の存在価値を見直す動き。
米国ではメガビタミン療法などの栄養療法に、一部のHMOが保険を適用する動きが出ている。治療効果が明らかになってきたことに加えて、薬物療法に比べ治療コストが安いことがその理由だ。日本でもビタミン・ミネラルの摂取基準量を定めた保健機能食品が制度化されるなど、サプリメントの存在価値が見直されはじめている。時代の流れを見越して、医薬品メーカーの中には医療用サプリメントの開発を準備する企業も出始めた。医療になぜサプリメントが必要なのか。その背景を探った。
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ビタミン・ミネラルの保健量維持が困難な現代食事情 |
一昨年4月に6次栄養所要量が施行されて以来、全国の栄養士、とりわけ病院栄養士(管理栄養士)が、競うようにサプリメントの勉強会を始めている。それまでサプリメントの摂取には否定的だった栄養士がなぜ方向を転換したのか。その理由は、栄養所要量の6次改訂において、新たな栄養指針とも言える"食事摂取基準"が策定されたためだ。
それまでは、例えばカルシウムは1日600mgといった具合に、集団平均値という一律の目安量を示したものにすぎなかったが、食事摂取基準では、「骨密度の低い人は1200mg」「更年期の人は1000mg」と、個人の状態に応じた摂取基準が定められている。つまり、日常の食生活からでは補えない量を摂る必要のある人には、サプリメントが必要になってきたわけである。
「代謝促進に欠かせないビタミン、ミネラルの補給は野菜や果物から」というのが、栄養士の常套句だった。しかし、土壌汚染や化学肥料の影響で農産物の栄養価が減少傾向にあり、加えて野菜自体の消費量も減っていることから、副栄養素(ビタミン、ミネラル)の摂取量は、まず経口段階において少ない。そのうえ経口後は、食品添加物等の影響を受けるので、吸収される栄養成分量はさらに少なくなる。従って、現代社会にあっては保健量を維持することさえ困難な状況と言える。
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有害物質除去に、医療現場でも天然物由来のサプリメントが主体 |
サプリメントの役目は、不足ぎみな栄養素を補うだけではない。体内の有害物質等を排出する、キレート剤としての役割もある。
現代人の生活環境は、化学物質や水銀、カドミウム等の有害金属に曝露される機会が多い。このため米国の代替医療施設では、化学合成品である薬物治療をやめ、それに替わって天然物由来のダイエタリーサプリメントを処方。具体的には、ビタミンC、セレンを使ったキレーション療法が行われている。
ダラス臨床環境医学センターの調査でも、化学物質過敏症患者は総じて微量栄養素の摂取量が少ないことがわかった。こうした実態からも有害物質の解毒・排出作用のあるビタミン、ミネラルを補給するキレーション療法が、治療手段の第一選択肢となっている。
「ビタミンでも活性型のビタミン、つまり医薬品に使われる合成剤と、食物由来の天然型とでは、効果は違ってくる」(ジョナサン・ライト医師)。こうした考えが、まさに米国代替医療の基盤となっているのだ。
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抗加齢療法で見直される抗酸化ビタミン |
サプリメントが注目される、もう一つの医療分野は"アンチエイジング"いわゆる抗加齢医療だ。日本鋼管病院内科・人間ドック脳ドック室長の米井嘉一医師は、「抗加齢医学の概念では、サプリメントに関しても、患者への摂取指導と情報提供が必要になる」と指摘する。
米国の抗加齢療法では、まずビタミン・ミネラルの血中濃度を測定し、体内の細胞レベルで各種ビタミン・ミネラル等がどのように働いているかを調べる。こうした検査は、患者が関節炎、慢性疲労、糖尿病などに、どの程度かかりやすいかという診断にも役立つ。抗加齢療法を専門とする施設では、実際にビタミンBコンプレックス、葉酸などの数値を割り出し、これを基に基本プログラムが作成される。さらにはこの情報を利用して、栄養補給プログラムが最大限に機能するように改善が重ねられる。つまり「スクリーニング=>アセスメント=>ケアプラン=>栄養補給=>モニタリング=>評価」といった手順を踏む、栄養管理サービスのアンチエイジング版だ。
日本でも抗加齢医学を研究テーマとする医学団体が発足しており、ホルモン補充療法と並んで、サプリメントを使った抗酸化療法が研究課題となっている。
日本抗加齢医学研究会では、「抗酸化作用のある食物は、抗加齢医学における重要な栄養素。ビタミンA、C、E、セレン、アセチルLカルニチン、補酵素Q10、ケルセチンなどは免疫力を高めて心疾患を防ぐだけでなく、体質そのものを根本的に改善する効果がある」(「抗加齢医学の基礎」日本抗加齢医学研究会監修)として、今後は臨床応用を視野に研究活動を行うという。
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抗加齢医学研究の動きを受けて、企業側も抗加齢に照準 |
キッコーマンは「ブドウ種子ポリフェノール」、ホーネンコーポレーションは「大豆イソフラボン」、協和発酵工業は「ビタミンK2(メノキン2)」、常磐植物化学は「ルチン」など、原料メーカー各社も、製品化の矛先を医療用サプリメント、とくに"抗加齢医療"に照準を合わはじめた。
DHA・EPA原料を供給するハリマ化成(TEL:06-6201-2472)は、脳や神経の発育に不可欠なビタミン、DHA(ω3系不飽和脂肪酸)とイチョウ葉エキス、大豆レシチン、アスタキサンチン、ビタミンEなど、いずれも抗酸化能の高い素材を組み合わせた「ブレンエイドα」を開発した。DHAの同社の抽出精製技術は、国際市場でも高い評価を得ているだけに、流通関係者はもとより、医療関係者も注目している。
ビタミンE製品の老舗、ジャード(TEL03-3953-2100)は、コエンザイム(補酵素)Q10を主成分としたサプリメント「クリスタルQ10」を製品化、5月18、19日に横浜市内で開催された第2回日本抗加齢医学研究会に出展した。こちらもイチョウ葉エキス、ブドウ種子エキス、大豆イソフラボン等を加えた混合サプリメント。今後は調剤薬局や代替医療施設に向けて供給していく。
抗加齢医学の確立が求められている背景には、過食によって活性酸素の産生が増加してことがある。これに対し抗酸化ビタミンの中には糖尿病や動脈硬化などのリスクファクターである活性酸素を抑制・軽減する作用があることが、近年の基礎研究によって明らかになってきた。ただし現段階では単一の抗酸化物質が疾病予防に明確な効果があるとまでは言い切れない。また、医療手段としての治療効果も研究途上の段階にある。
(Medical Nutrition39号より)
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