緑茶から新素材まで臨床研究が進む話題の素材を一挙紹介 

 なじみの深い緑茶、ウーロン茶から、新素材まで、抗酸化能・抗炎症作用を有する素材を紹介する。

オキシカイン

 南フランス産の特別種のメロンから抽出したSOD物質――それがオキシカインだ。従来の抗酸化食品とは作用メカニズムが違う上に、免疫活性を併せ持つとあって、話題には事欠かない。これまで、SODを経口摂取しても、胃腸で分解されたり、持続性が短いなどの問題があった。それを解決するため、オキシカインはグリアディン(小麦たんぱく)でコーティングした。グリアディンは吸着性に優れた物質で、オキシカインが腸管のパイエル板を通じて腸管免疫器官に取り込まれやすくなる。

 また、従来のSOD様食品は、摂取すると体内でSODに近い働きをし、活性酸素を除去するとされる。しかしオキシカインは異なり、腸管の免疫システムに作用する結果、生体由来のSODそのものを活性化させるという働きがある。

 海外における検討でも、ラットにおいて、自然老化および放射線照射による脳機能障害の軽減、肝硬変の改善、また、ヒトにおいては放射線治療による線維症の改善や、表皮の状態改善などの結果が得られている。オキシカインの原料メーカーである仏イゾセル社のヴィックス代表は、(1)インナーコスメティック(2)スポーツニュートリション(3)アンチエイジング(4)薬剤の副作用の軽減(5)免疫調整――の5分野にわたる幅広い可能性が期待できるとしている。

ポリフェノール

 抗酸化食品の代表格が植物などに含まれるポリフェノールだ。高飽和脂肪酸食が多いフランスで、心血管系の疾患による死亡率が少ないという「フレンチパラドックス」に端を発した「赤ワインブーム」も記憶に新しい。

 ポリフェノールは分子内に数個以上のフェノール水酸基をもつ植物成分の総称で、前述の赤ワインを始め、ブドウの葉、ウーロン茶、リンゴ、シソ種子、甜茶などに含まれている。近年そのエストロゲン様作用が注目され、女性疾患への応用が進んでいる大豆イソフラボンもポリフェノールの一種である。

 このうち、機能性研究が進んでいるのがブドウ種子と緑茶由来ポリフェノールだ。後者は、カテキンが主体で、さらにカテキンの分画の中でもエピガロカテキンガレート(EGCg)が高い活性を有するとされている。

 三井農林グループの東京フードテクノ(株)では、EGCgの抗がん作用を研究している。EGCgの働きとして(1)DNA変異に対する作用(2)活性酸素の捕捉(3)抗ウイルス作用(4)酵素抑制ないし誘導(5)抗プロモーション作用などが検討されている。同社では、EGCgが消化器、肺、乳腺、前立腺に分布することを確認しており、がん予防への期待を示す。

 一方、緑茶の成分を取り出すというより、緑茶エキスそのものとして研究、利用する考え方もある。スイス・フラックスマン社では、緑茶飲料と同等の安全性と有用性が保証された緑茶エキスを開発。利尿作用、止痢作用を確認している。

ブルーベリー

 鹿児島大学農学部の侯徳興助教授は、ブルーベリーの抗がん作用を5月17日に都内で開かれるブルーベリー国際セミナーで発表する。ブルーベリーは多くのアントシアニンを含んでいるため、視力改善作用が知られており、眼科領域では健康補助食品として広く利用されている。また、動物実験の結果、ブルーベリーに酸化物質による脂質の強い抑制作用も認められている。

 今回発表するのは、動物の細胞を用いてブルーベリーによる(1)正常細胞のがん化予防(2)アポトーシス誘導作用の2点。

 (1)の実験では、軟寒天内に動物細胞をまき、発がんプロモーターを加えて、培養した細胞がん化誘導を、ブルーベリーサンプルを添加した状態で2週間実施し、ここから得られたコロニー(増殖細胞群)を光学顕微鏡で計測する方法で行われた。その結果、ブルーベリー液では、その濃度に比例して発がんプロモーターによる動物細胞のがん化コロニーの形成を抑制した。また、ブルーベリーから抽出したアントシアニンでも同様に細胞がん化抑制能力を示した。このことから、ブルーベリーの細胞がん化抑制能力はブルーべリー中に含まれるアントシアニンによるものと考えられるとしている。

 次に(2)の実験では、ブルーベリーエキスをヒト急性期骨髄性白血病由来のがん細胞に添加した結果、がん細胞の形は変化し、そのDNAが断片的に破壊されて、アポトーシスの誘導が現れた。ただし実験では、がん細胞のアポトーシスを誘導するためには、ある程度の濃度が必要であるため、濃縮したブルーベリーエキスの方が、より効果が高いことも実験では明らかにされている。

 国際セミナーの問い合わせ先は、「ブルーベリーで健康増進を考える会」(TEL.0120-500-122)まで。

ボスウェリア・セラタ

 ボスウェリア・セラタはインド大陸の乾燥した丘に生える低木で、この木からはサライ・スガールという樹脂を出す。サライ・スガールは、同種の木であるボスウェリア・カルテリから採取され、同じく乳香として知られている樹脂と非常によく似ている。これらの物質は共に昔から関節炎に用いられており、サライ・スガールは、この地域の伝統的な医療であるアーユルヴェーダ医術によって何千年もの間使用されてきている。

 従来から行われていたボスウェリアエキスの医学的研究では、(1)関節腫脹や関節痛(2)早朝硬直(3)患者への非ステロイド性抗炎症薬(NSAID)の使用数(4)全般的な健康状態および安寧――などの項目を判断基準としており、その研究結果からは、被験者の50〜60%以上がボスウェリアエキスに肯定的な反応を示すことが明らかになっている。

 またそれだけでなく、(1)関節の腫脹や痛みを有意に減退した(2)早朝硬直をしばしば減退した(3)被験者のNSAIDの服用回数が減少した(4)被験者の報告から、健康状態および安寧が全体的に向上した――などの報告がされている。

 実際、ボスウェリア・セラタエキスの関節炎に対する有用性は、世界の様々な研究施設で研究が試みられている。

 インドのジャム市にあるガバメント・メディカル・カレッジでの研究では、被験者である関節炎患者の約60%に硬直や疼痛に対する有効以上の結果が報告されている。

 この研究では被験者は4分の3以上が寝たきりもしくは通常の仕事ができない状態にあったが、患者達からは、ボスウェリアエキスを摂取後2〜4週間で、早朝の関節硬直や疼痛の減退、握力の向上があったと報告されている。また、膝関節炎の症状を持つ患者26人を対象とした別の研究では、4週間以内に劇的な改善が認められたことも報告されている。

 過去に実施されたボスウェリアエキスの動物実験からは、ボスウェリアの成分のひとつであるボスウェリック・アシドが抗炎症作用を示したことが報告され、これが有効成分であると示唆されていた。しかし、その作用機序は標準的な抗炎症薬とはかなり異なるものと考えられている。

 近年ではボスウェリアエキスに潰瘍性大腸炎やクローン病に伴う炎症も抑制することが示唆されており、1997年に実施された潰瘍性大腸炎患者を対象とした研究では、ボスウェリアエキス350mgを1日3回服用した患者の82%に疾患の完全な緩解も認められている。

クーデン茶

 南雲苦丁茶(クーデン茶)は、中国雲南省北部地方で飲用されている健康茶。中国雲南省のみに自生するモクセイ科の紫茎女貞(しけいじょてい)を夏に採取して、乾燥・抽出して飲用する。この地域は長生きの人が多く、プーアル茶やウーロン茶はほとんど飲まずに専らクーデン茶を飲んでいる。日本には1996年に紹介されている。

 クーデン茶は、抗酸化力の強いポリフェノールを葉の乾燥重量の10%も含んでいるのが特長。ポリフェノールの抗酸化作用により、活性酸素を除去するため、細胞の老化を防止したり、中性脂肪やコレステロールを低減することで、動脈硬化や脳卒中予防の作用も有するとされる。

 2000年に行われた日本環境変異原学会では、日立造船バイオ(株)の中沢慶久氏らのグループが、クーデン茶の変異原性抑制作用(発がん抑制作用)について報告している。実験は、ハムスターの卵巣細胞とマウスの胃および肺の細胞を使い、遺伝子を変化損傷させる原因とクーデン茶の抽出物を同時に与えたときに変化損傷がどのようにして抑制されるかを調べたもの。

 まず、ハムスターの細胞を使った実験では、クーデン茶から抽出したさまざまな成分と変異原を細胞に同時に投与して、その推移を調べた結果、クーデン茶に含まれる全成分に、酸化傷害の変異原である過酸化水素に対し、変異を抑える働きがあることが認められた。

 また、タバコを強制的に吸わしたマウスの胃と肺の細胞における変化については、クーデン茶を飲ませたマウスと飲ませないマウスを箱のなかに入れ、その箱にタバコの煙を充満させて、強制的に喫煙させたとき、胃と肺の細胞がどうなるかを調べた。

 タバコを吸わせる直前にクーデン茶を飲ませたものは、飲まないものに比べて、胃での遺伝子損傷(胃がん)を強力に抑えることがわかった。報告では、クーデン茶の成分にはポリフェノールの構造があることを考えると、クーデン茶が抗酸化的な機序によって、変異原性抑制作用がなされると示唆している。

アスタキサンチン

 サケ、オキアミ、イクラなどの魚介類に含まれる色素成分。サケやイクラの赤い色の成分といえば容易に想像がつく。ニンジンに含まれるβ-カロチンや、トマトの色素成分であるリコピンと化学構造がよく似ていて、カロチノイドの一種に分類される。最近、微生物がアスタキサンチンを作ることがわかり、大量培養、コストダウンが可能になった。

 アスタキサンチンの機能については、97年に国立健康・栄養研究所のグループによる研究がある。健常者13名にアスタキサンチン0.6〜21.6mg/日、2週間にわたり摂取させたところ、LDLコレステロールの酸化反応時間の有意な延長が見られた。至適用量は3〜5mg/日と推定されている。

大手主導のグルコサミン開発

抗炎症作用のある機能性食品として大手企業が製品化に乗り出しているのが、コンドロイチンやムコ多糖類を主成分とするグルコサミン。

マルピーブランドでお馴染みの大日本製薬は、グルコサミンとキャッツクローを配合した「グルコンキャッツ」を開発、薬局薬店で販売するほか、整形外科にも商品供給を行っている。また、大手製油会社のホーネンコーポレーションも代替医療の進展を睨んで「グルコサミン&コンドロイチン」を投入、大塚製薬も4月にネイチャーメイド・シリーズに「グルコサミン」を加えた。米国で大ヒットしたグルコサミンにコンドロイチンを配合した「フレックスパワー」を販売するのは、ロート製薬。米国レクソールサンダウン社と提携した。アサヒビール薬品もアクティオシリーズに「グルコサミン」を追加、着実に売上を伸ばしている。

一方、中堅メーカーでも着実にリピーターを獲得しているところがある。健民社の「ざ ひざ一番」は、グルコサミンにコンドロイチン、デビルスクロー、ビタミンCを配合した製品で、相談薬局や代替医療ルートで根強い支持を集めている。1包にグルコサミン500mg、コンドロイチン400mgを含有し、1日3包で、セオドサキス博士の推奨する比率と量で摂取できる。「グルコサミンは高齢者層にニーズがあることから、顆粒分包タイプも用意した。すぐ溶けるので飲みやすい」としている。



(Medical Nutrition 38号より)


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