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個人対応の「抗酸化療法」へ、数ある抗酸化食品素材を、どう使い分けるか
生体内における酸化とさまざまな疾病との関連が研究されるにつれ、抗酸化能を有するサプリメントが花盛りだ。一方、変形性関節症や腰痛には非ステロイド系消炎鎮痛剤が汎用されるが、薬剤の副作用への懸念から、抗炎症作用を示す食品素材にも期待が高まる。抗酸化・抗炎症素材の動向を探る。
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抗酸化能をセールスポイントにする食品素材は花盛り |
ビタミンA、C、Eを始めとして、各種ポリフェノール、松樹皮エキス、プロポリス、ルイボスティー、イチョウ葉エキス、補酵素Q10、オキシカイン、果てはビールまで……。今日、抗酸化能をセールスポイントとする食品素材は枚挙に暇がない。
普段我々が呼吸で取り入れる酸素はその2〜10%が体内で活性酸素に変わるとされている(表1)。体内でエネルギーを産生する時や、マクロファージが異物を攻撃したりする際に発生する。この活性酸素は本来、ヒトの体にとって有益なものだが、過剰に産生されると組織を傷害することがわかっている。
近年、がん、糖尿病、動脈硬化、アルツハイマー病など、さまざまな疾患に、活性酸素が何らかの形で関与していることがわかってきた。例えば、動脈硬化の発生には、LDLコレステロールの酸化が関与していることがわかっている。また、アルツハイマー病においても、活性酸素による組織や血管の障害が関与しているとされている。
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ストレス、激しい運動、紫外線などにより、現代人は活性酸素漬 |
これらに対処するため、生体は独自の抗酸化能を有する(表2)。血液中の抗酸化物質には、カタラーゼ、グルタチオンペルオキシダーゼ、トランスフェリン、アスコルビン酸、ユビキノール−10、β−カロチンなどがある。しかし、対処可能な量を上回る活性酸素が発生すると、その悪影響が懸念されるわけである。
では、どのような時に活性酸素が発生しやすいのだろうか。一般には、ストレス、激しい運動、紫外線、排気ガス、放射線曝露などとされる。現代人の生活はまさに「活性酸素漬け」にあるといえよう。
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まず、己の抗酸化能レベルを知ることが大事 |
「抗酸化療法あるいは抗酸化食品とかまびすしい世の中ですが、では、自分自身の活性酸素の状況や抗酸化能レベルをどの程度把握しているでしょうか」と、高輪メディカルクリニック(東京都港区)の久保明院長は指摘する。「まず、己を知ること」と、同クリニックでは、日本老化制御研究所とともに、健康寿命ドックを実施している。
体内の補酵素Q10の酸化率が高い人がおり、そのような人にはサプリメントで補充する意義がある。ただし、久保院長は「抗酸化能も一つの尺度であって、それがすべてではない」と、クギを刺す。
「米国では抗酸化療法が再評価の時代に入った」というのが久保院長の見方。昨年11月のニューイングランドジャーナルオブメディシンには、高脂血症剤シンバスタチンと、抗酸化ビタミンを比較したデータが報告されている。試験は心疾患患者160名を(1)シンバスタチン+ナイアシン(2)シンバスタチン+ナイアシン+抗酸化剤(3)抗酸化剤(4)プラセボの4群とし、3年にわたって行われた。心血管系イベントの発生をエンドポイントとした。
その結果、(1)群では、3年間にイベントが発生しなかった患者は97%であるのに対し、(2)群では86%に留まっている。つまり、医薬品に抗酸化ビタミンを加えると、医薬品だけの場合よりも効果が落ち、心血管系の合併症の発現率が高くなるということになる。研究グループは「抗酸化ビタミンの使用については疑問とすべきだ」と結論付けた。
久保院長は「この結果を日本人にそのまま当てはめるわけにはいかない。少なくとも、医薬品と同じ土俵で評価されるところまで来たことが重要」と話している。
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フランスでは、1万人の抗酸化栄養素の一次予防調査が進行中 |
一方、フランスでは1万2000人規模の研究が進行中である。「SU.VI.MAX Study」と名づけられたこの研究は、ビタミンC120mg、ビタミンE30mg、β−カロチン6mg、亜鉛30mg、セレンを100μg摂取させて、疾病の一次予防に役立つかを調べるもの。試験デザインは二重盲検ランダム化比較試験で、がんや虚血性心疾患を予防できるかを調査する。抗酸化栄養素の一次予防の検討としてはかつてない大規模なものとなる。
(Medical Nutrition38号より)
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