|
糖尿病の予防・補助療法に使用される主な機能性食品
 |
インスリーナ |
●南米産インスリーナ葉に抗糖尿病作用
ブラジルで民間療法として用いられるインスリーナは、アマゾン流域に生息するブドウ科セイシカズラ属の植物。インスリーナは、ポルトガル語では「インスリン」を意味する。ブラジルでは、葉は外用薬として、リウマチ、筋肉の腫れなどに用い、葉と茎は乾燥粉末を内服したり、薬剤や煎剤として高血圧症、糖尿病の治療に用いる民間薬として利用されてきた。
タマノイ酢中央研究所が行ったin vitroの試験では、自然発症糖尿病マウスに対する連続摂取での作用と正常ラット、ストレプトゾトシン(STZ)誘発糖尿病ラットに対する血糖値上昇への影響を調べ、インスリーナがマルターゼ及びα―グルコシダーゼに阻害活性を示したことがわかった。また、4週間連続摂取後の自然発症糖尿病マウスの随時血糖値を有意(p<0.001)に低下させ、正常ラット及びSTZラットの糖負荷後の血糖値への影響では、正常ラットショ糖負荷後30分値で有意(p<0.01)に血糖上昇を抑制し、STZラットショ糖負荷後60分値で有意(p<0.05)に抑制することも確認している。試験では、乾燥インスリーナ葉を粉末化し蒸留水で80℃、30分間抽出後に濾過したものを使用した。
正常ラットへのショ糖負荷試験では、血糖値上昇抑制が確認され、ブドウ糖負荷試験での血糖値変化は、対照群と同様の傾向を示したことから、インスリーナ抽出物にはブドウ糖吸収阻害作用はないと考えられ、正常ラットに対するショ糖負荷試験における血糖上昇抑制作用は、二糖類水解酵素活性阻害の関与が示唆された。
一方、STZ糖尿病ラットに対しても、インスリーナ抽出物はショ糖負荷後の血糖上昇を抑制し、ブドウ糖負荷後の血糖上昇は抑制しなかった。このことから、インスリーナ抽出物投与群の血糖値上昇抑制は、二糖類水解酵素活性阻害作用が関与しているが、インスリン分泌促進作用はなく、ブドウ糖負荷では血糖上昇抑制が認められず、インスリン増強作用はないと考えられる。
 |
小麦アルブミン |
●軽症糖尿病、耐糖能障害者に有効な小麦アルブミン
食後の急激な血糖上昇と、それに伴う高インスリン血症を改善することが、糖尿病、動脈硬化症の予防につながる――。
日清製粉(株)(現日清ファルマ(株)ヘルスケアフーズ事業部)が開発した小麦アルブミン入りスープ「グルコデザイン」は、糖質の消化吸収を穏やかにして、「血糖値が気になり始めた人の食生活改善に役立つ」旨の表示ができる特定保健用食品。水溶性蛋白質の一種である小麦アルブミンが、唾液や膵液に含まれる澱粉消化酵素の働きを穏やかにすることで、糖質の大部分を占める澱粉の消化吸収を遅らせ、急激な食後血糖値の上昇を緩和する。この作用は、日清製粉、横浜市立大学医学部らが行った「軽症NIDDM患者の小麦アルブミン長期摂取の効果と安全性」試験でも、明らかになっている。
試験は、NIDDMの通院患者で、食事指導のみ、または食事指導と経口血糖降下剤の投薬による治療を受けている、糖化ヘモグロビン(HbA1c)値が8.0%以下の軽症患者を、無作為に小麦アルブミン(WA)摂取群と対照群に分けた(26例)。
WA摂取群には「グルコデザイン」を、対照群にはプラセボ食品を、それぞれ1日3回、食事とともに摂取させた。摂取期間は、3ヵ月間とし、摂取修了後にさらに1ヵ月間の観察期間を設けた。解析にあたっては、中止した被験者を除く24例(WA群12例、対照群12例)のデータを採用した。
長期的血糖コントロールの指標であるHbA1cは、被験者全体では変化は見られなかったが、高HbA1c層(摂取開始時の値が5.5%以上8.0%以下)の患者では、WA摂取群で低下傾向が見られ、摂取3ヵ月間のHbA1cに関するAUC(Area Under the Curve)は有意に低下した。
高HbA1c層におけるHbA1c値の有意な低下は、これまで摂取する食品の選択、あるいはα−グリコシダーゼ阻害剤投与によって認められた食後高血糖抑制と同じ効果が、WA摂取という簡便かつ汎用性の高い方法で得られたことを示している。
小麦アルブミンは、その主成分である0.19−小麦アルブミンの有するアミラーゼ阻害活性によって、炭水化物の消化吸収を遅延させ、食後血糖上昇を抑制することが単回投与試験で確認されている。今回の試験では、小麦アルブミン摂取による食事摂取後ごとの血糖コントロールが改善される可能性が示唆され、軽症糖尿病や耐糖能障害を有する人の食事療法の補助手段として、利用価値が高いことがわかった。
 |
カイアポハーブ |
●「カイアポハーブ」の2型糖尿病に対する有用性
大阪外国語大学保健管理センターの梶本修身医師らのグループは、ブラジル原産の白甘藷「カイアポイモ」を主成分とするサプリメント「カイアポハーブ」の臨床試験結果を報告している。
対象となったのは、未治療の2型糖尿病患者30名。10名ずつ3群に分け、それぞれ(1)被験食高用量群(2)同低用量群(3)プラセボ群とした。
(1)にはカイアポイモ粉末とバジルの一種・マンジェリコンを含む錠剤を1日20錠、(2)には同品1日10錠をそれぞれ朝夕2回、食前に摂取させた。(3)にはプラセボを摂取させた。試験期間は8週間とした。
その結果、空腹時血糖値は、高用量群が摂取前129.9±12.3mg/dlから4週後110.6±17.5、8週後105.6±19.4へと、有意に低下した。低用量群では、有意差は見られなかったものの低下傾向を示した(摂取前130.4±17.8、8週後119.7±45.6)。プラセボ群ではほとんど変化を認めなかった。
ヘモグロビンA1cは高用量群が摂取前5.93±0.49%、8週後5.58±0.51%へ、低用量群が摂取前5.85±0.70%、8週後5.64±0.67%となり、被験食群が両群ともに有意に低下した。プラセボでは著明な変化は認められなかった。また、BMIは被験食群で8週後に有意に低下していた。プラセボでは変化がなかった。いずれの群でも副作用は見られなかった。
研究グループは、「食事療法や運動療法は本人の強い意志と持続的な努力が必要で、挫折する場合も少なくない。食事療法の補助的手段として有用である。生命予後とQOLを改善する上で有用な食品であると示唆された」としている。
 |
バナバ抽出エキス |
●バナバ抽出エキスの耐糖能改善作用を報告
バナバは、抗糖尿病作用を有する薬用植物としてフィリピンで古くから用いられており、おもにお茶として葉を煮出して摂取する。臨床試験でも、バナバやこれに含まれるコロソリン酸には血糖低下作用が報告されており、糖尿病への予防期待が持たれている。
浩邦会日比谷病院の池田義雄医師らのグループが、耐糖能障害患者と2型糖尿病患者を対象にして、バナバ抽出エキスの耐糖能改善効果の臨床試験結果を報告している。
試験は、過去に健康診断などの糖尿病関連検査で軽度の異常を指摘された耐糖能障害患者と、BMIが20以上で空腹時血糖値が100mg/dl以上またはHbA1cが5.0%以上、糖尿病薬による治療を受けていない20〜75歳の2型糖尿病患者計26人(男性24人、女性2人)を対象に行われたもの。
方法は、熱水抽出に比べコロソリン酸を10倍以上に高めたバナバ抽出エキス(コロソリン酸含量1.0%以上)を50mg含有したバナバタブレットを1日100mg摂取する群(以下:バナバ群)とプラセボ群とに13人ずつ分けて、2週間の観察期間後の8週間、朝食前に適量を水で摂取する形で行われた。
まず、空腹時血糖値については、バナバ群で摂取前が128.4±17.7mg/dlに対し、8週間摂取後では126.5±17.9mg/dlとわずかな減少が認められ、HbA1cと糖化アルブミンに関しては、開始前と8週間摂取後で有意差がみられなかった。
また、耐糖能試験では、バナバ群で糖負荷後の血糖値の上昇抑制傾向が観察され、糖負荷後の単位時間当たりの血糖値変化量は有意な低下がみられた。
また13人中10人に糖負荷値120分後の血糖低下が認められ、摂取前278.5±70.3mg/dlに対して摂取後は252.5±65.7mg/dlになり、有意な低下がみられたことが報告された。
さらに、糖負荷後120分の血中インスリン濃度も、バナバ摂取開始前では39.2±25.5μU/mlであったのに対し、8週間摂取後には32.6±19.4μU/mlとなり、有意な低下が認められた。
 |
フィンジェノール |
●フィンジェノールに生活習慣病改善作用
フィンランド産の松樹皮エキス・フィンジェノールは、フィンランドでは松の樹皮を煎じる形で民間療法として用いられており、40種類以上のフラボノイドを含む成分が、血管や細胞に対する抗酸化作用をもつとされている。
活性酸素については、体内の細胞を攻撃し、突然変異や老化をさせる働きを持つため、脳卒中や白内障などの病気と関係があると指摘されているだけでなく、がんや心臓病、生活習慣病、アルツハイマー病などに関係していることが最近の研究でも分かっている。実験でもフィンジェノールの抗酸化作用は、従来のビタミン剤に比べて数倍あるとの結果も出され、注目を集めている。プレンディミジャパン(株)では、フィンジェノールをはじめ、ブルーベリーの一種であるビルベリーの実と葉など計5種類の自然素材を配合した飲料「モイモイジュース」に生活習慣病を改善する作用があることを臨床試験で報告した。
試験は日本成人病予防協会が実施したもので、2001年11月22日から2002年2月10日までの間、7人の被験者(うち3人は糖尿病患者)に対して「モイモイジュース」を摂取させ、血糖値や総コレステロール、中性脂肪の推移を調べた。
その結果、血糖値については、138→121、153→98、121→101、120→105、113→94(単位はmg/dl)と7人中5人で低下がみられると同時に、総コレステロールについても、180→179、231→220、210→200、220→170、183→156(単位はmg/dl)と7人中5人で低下がみられた。また、中性脂肪についても、7人全員で低下がみられ(それぞれ単位はmg/dl、内訳は108→90、353→172、232→220、152→140、181→140、140→132、132→83)、うち1人で中性脂肪が353→172mg/dlと有意な低下がみられた。一連の結果により、同社では、製品に血清脂質や血糖値を低下する作用があることを確認した。
(Medical Nutrition 37号より)
|