「健康増進法案」国会に提出、予防医療における機能性食品の位置付けが明確に

 予防意識の高まりを受け、食品機能の有効利用によって疾病の予防と治療の補助に役立てようとする動きが盛んになっている。医療現場でも、従来の西洋医学的治療にサプリメントを組み合わせた統合医療に取り組む医師が目立ってきた。機能性素材を巡る最新情報を紹介する。


高まる補完代替医療(CAM)への関心

 高齢化、疾病構造の変化、保険財政の破綻、規制緩和、患者の権利意識の高まり――。医療を巡る環境が激変するなかで、補完代替医療(CAM)への関心が高まっている。CAMの定義は研究者によって若干相違があるが、日本補完代替医療学会によると、「現代西洋医学領域において、科学的未検証および臨床未応用の医学・医療体系の総称」とされている。

 米国立補完代替医療センター(NCCAM)では、CAMを(表1)のように分類している。そこからもわかるように、CAMには中国、インド、チベットなど世界各地の伝統医学から、ハーブ療法、アロマセラピー、ホメオパシー、指圧、マッサージ、鍼灸、音楽療法に至るまで、手技も材料も多岐にわたるものが含まれている



サプリメントに、一歩踏み込んだ機能表示が可能に

 そのなかで、日々情報に接することが多く、臨床医にとってなじみが深いのがサプリメントなどの機能性食品である。

 昨年、厚生労働省は保健機能食品制度をスタートさせた(図1)。保健機能食品は特定保健用食品、栄養機能食品に分けられる。特定保健用食品は「糖質の消化吸収をおだやかにします。血糖値が気になり始めた方の食生活の改善に役立ちます」など、従来のサプリメントから一歩踏み込んだ機能表示が厚労省によって認められているものをいう。栄養機能食品は、必要な栄養素を補う目的のもの。ビタミン、ミネラルを基準量含んだサプリメントなら「ビタミンEは、抗酸化作用により、体内の脂質を酸化から守り、細胞の健康維持を助ける栄養素です」といった表示が可能となった。

動き出すか「健康日本21」、機能性食品の位置付けも明確に

  一昨年からスタートした「健康日本21」でも、予防医療の重要性が盛り込まれたが、法的根拠に欠けていた。これを受け、今国会で健康増進法(仮称)が提出される。法案が通過すれば、「健康日本21」の基本法として期待される一方、健康増進法に特定保健用食品、栄養機能食品が取り込まれるため、予防医療において機能性食品の位置付けが明確になってくる。

さて、それぞれの疾患別にどのような食品が使われるのか。がんに対してはアガリクス・ブラゼイ、メシマコブ、マイタケを始めとするキノコ類、プロポリス、タヒボ茶などを用いて、免疫力を高めてがんと戦うアプローチが主流だ。

糖尿病対応のサプリメントとして、血糖値の上昇を抑制するガルシニア・カンボジア、バナバ(コロソリン酸)、苦瓜エキスの研究が進んでいる。高血圧には、副交感神経刺激作用が確認された杜仲茶や、ACE阻害を始めとする多彩なメカニズムが推察される海苔ペプチドなどがある。ほかにも、ヒトや牛の初乳に含まれる糖たんぱく質・ラクトフェリン、古くから生薬として利用されてきたウコンなどが消化器疾患に用いられている。これらを用いた医療従事者の声に耳を傾けてみよう。

療養型病棟の患者排泄臭改善に成功

「知らないうちに患者の排泄臭が改善されていた」。厚生連安曇総合病院で療養型病棟を受け持つ西澤みち婦長は、粒状の消臭ケア食品「エチケットビュー」を使用した感想をこう語る。同病院では昨年7月から同品を使用し、患者の排泄臭の改善に成功した。

同品は緑茶・野菜混合エキス(OS液)に、水溶性ビタミン類を配合したもの。OS液中に含まれるポリフェノールや各種の酵素の相乗効果で、悪臭除去とその状態の長時間維持を可能にしたと言われている。

ハーブを臨床に取り入れて、西洋医学的治療と併用するケースも

「医療費削減が求められる時代に、臨床データがはっきりしたサプリメントは、選択肢の一つとして飛躍的に広がるだろう」と話すのは、市ヶ谷柳沢クリニック(東京都新宿区)の柳沢秀敏院長。柳沢院長は、ミルクシスル(マリアアザミ)、クランベリー、サイリウムを西洋医学的治療に併用している。以前からサプリメントに対する相談を受けることが多かったが、データに裏付けられたものがなく、患者に勧めるのは踏みとどまっていたという。柳沢院長はサプリメントを使う際の注意点として(1)サプリメントでも、作用が強ければ副作用も強いことを念頭におく(2)体質的に個々の患者に合うかどうかを見極め、合わなければ中止する(3)データの有無や適正価格か否かを検討して信頼できるメーカーを選ぶ(4)何を期待して摂取するのか明確にする――ことを挙げている。

今月には、「今後のがん研究のあり方に関する有識者会議」の中間報告書がまとまる予定。昨年行われた会合では、がん予防の有効な手段として機能性食品の活用が提案されただけに、内容が注目される。

(Medical Nutrition 36号より)


BACKSITE TOPPAGE TOP