免疫賦活食品には2通りのメカニズムがある

 「ひと口に免疫賦活食品というが、そのメカニズムには2通りがある」と分析するのは、エノモト薬局(神奈川県藤沢市)の榎本光志氏(薬剤師)。2通りとは、(1)白血球介在型と(2)酵素介在型である。

(1)の代表的なものがアガリクス・ブラゼイやメシマコブなどのキノコサプリメント。これらは、白血球の膜表面にある受容体に結合し、その細胞を活性化させる。例えばNK細胞が活性化されればがん細胞の膜に穴をあけ、消滅させる。マクロファージが活性化すれば、インターロイキン-1が産生されるので、ヘルパーT細胞の活性化や、下垂体を介したエンドルフィン(心地よさを感じさせる脳内物質)分泌が期待できるだろう。

「このメカニズムがわかれば、アガリクスやメシマコブなどの免疫賦活食品で、効果が現れる人とそうでない人が出てくるのはなぜだかわかってきます。その人の白血球の膜表面にある受容体に対して親和性があるかどうかということです」(榎本氏)。

(2)の酵素介在型の機能をもつサプリメントにはCPL(環状重合乳酸)がある。がん細胞は嫌気的解糖系によりエネルギーを産生しているが、その触媒となるLDH(乳酸脱水素酵素)を特異的に阻害する。がん細胞はエネルギーを作れなくなり、死に至る。つまり、酵素介在型の免疫賦活食品は、がん細胞の細胞死をもたらす自然の過程を増強しているのだ。このように、サプリメントのメカニズムを踏まえて使うと、より合理的、効率的な治療につながる。


患者に合うサプリメントとは?

 臨床医の立場から「がん、アレルギー性疾患、更年期障害、糖尿病などに免疫賦活効果のあるサプリメントを勧めています」と語るのは、鶴川竹本醫院(東京都町田市)の竹本泰英院長。使用しているのは、グローバルアート(株)が開発した「機能活性型乳酸」で、サトウダイコン(甜菜)など天然の糖類を発酵させた乳酸から、独自の製法で粉末にしたものだ。

 腸内細菌叢を良好に保ち、効率のよいエネルギー源になることのみならず、マクロファージの遊走能やNK活性を向上させる機能が知られている。そのため、「ステージ I、II のがんでは消失が期待できる場合があり、ステージIII以降でも体力の維持、QOLの向上につながる」とする。

サプリメントについて竹本院長は、自分にあった食品を摂取するのが最大のポイントと力説する。それをどのように探すかというと、「まず、常用量の2倍を1〜2週間飲んでみること。それで、胃腸障害などの副作用がなくて、体調がよくなるかどうかを判断材料にすればよい。もっとも、倍量を摂取するのは、明らかに治療を目的とした場合で、健康維持に用いる場合の初期量は、むしろ常用量の半分でよいだろう」。

サプリメントの摂取とともに生活習慣の改善を

 患者さんには、何種類もの健康食品を併用している人がいるが、成分の重複も考えられ、問題がある。実際、サプリメントの中止により、肝機能の異常値が正常化したり、胃腸障害が消失したりする例を経験しているという。その意味で、竹本院長は「医療従事者も、受け持ち患者のサプリメントの摂取状況に注意を払うことが必要」と呼びかけている。

 このように、従来の西洋医学的治療にサプリメントをオンする医師は、確実に増えている。東京衛生病院(東京都杉並区)の水上治医師は、自然露地栽培のアガリクスを用いてがんの統合医療にあたっているし、誠快醫院(東京都品川区)の鹿島田忠史院長は、メシマコブ菌糸体(菌株PL2、PL5)を組み込んだ免疫療法を行っている。

 鹿島田院長はサプリメントの選択の基準として、ヒトでのデータがしっかりしていることを挙げる。その上で医薬品、健康食品を問わず、臨床試験に使われた先発メーカーの製品を採用しているという。

 「1ヵ月間使用してみて、食欲、睡眠、痛みなどの状態を把握。体調が良くなったら、相性がよいと判断し、そのまま続けます」(鹿島田院長)。もっとも、平行して生活習慣の改善をしないと、免疫療法の効果は2年で減弱するとしており、タバコなどの発がん物質を避け、ストレスに対する抵抗性を高めるのも大切だ。

免疫賦活食品を臨床に用いる上で臨床医が知っておくべきこと

  サプリメントのほかに、オウギ、ニンジン、ジオウなど、生薬にも免疫系に働くものがあるが、これらの多くは漢方薬として、他の生薬と組み合わせて用いられている。がん患者によく併用される十全大補湯や補中益気湯もそうだ。

免疫賦活食品を臨床に用いる上で、知っておくべきことは何か。漢方薬のトップメーカー、(株)ツムラ漢方生薬研究所の佐々木博所長は、「天然物は基原、産地、季節などで成分が変動し、自ずと薬理作用も違ってくる。サプリメントに用いられるキノコにしても、名前は同じでも似て異なるものが混在しているかもしれない」と指摘する。同社で漢方製剤を作る際には、独自の基準で原料生薬を厳しく選別するという。

また、生薬の品質管理基準の一つに、生薬ごとに指標となる成分が設けられており、それは含有量が多い成分があてられることが多い。佐々木所長は「指標成分以外にも活性成分が含まれている可能性は大きい」と話す。

(Medical Nutrition 35号より)


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