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第4回日本補完代替医療学会学術集会(大阪)
東西医療の融和を目指し、多方面から臨床家が集う
第4回日本補完代替医療学会学術集会(大会長・石井正光大阪市立大学大学院皮膚病態学教授)が11月10、11日の両日、大阪国際交流センターで開催された。学会当日、会場は全国各地から補完・代替療法に携わる医療従事者および業界関係者で賑わいを見せ、盛況裡に演目が進められた。「東西医学の融合」を前面に押し出した今大会のシンポジウムと主な発表を抜粋して紹介する。
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厚労省・南野副大臣が挨拶 |
第4回を迎える今回の日本補完代替医療学会学術集会のテーマは「響きあう医療への道」。これは東西のあらゆる医療が響きあい、その協調と融和が慢性難治疾患の治癒に結びつくという石井会長らの理念からくるもので、この趣旨に賛同する医療関係者などが多数参加した。開催にあたって石井会長も、「西洋医療は『攻めの医療』、CAMは『守りの医療』。この両輪をうまく回転させることが患者さんのためになるのです」(本紙32号既報)と話している。
本大会には行政を代表して南野知惠子厚生労働副大臣(写真)が出席。「現在、我々の周囲で発生する病気はなかなか減らず、高血圧、糖尿病、高脂血症、喘息、アトピー性皮膚炎といった生活習慣と密接な関係を持った疾患が、まさに『国民病』といえるほどに増加の一途をたどっている」としたうえで、一人の医療人として予防医学の研究のさらなる発展に期待していると述べた。また、「国民にとって重要な健康づくりの新たなる潮流が日本においても広がっている。同学会が科学的観点から健康食品、機能性食品、伝統的療法、高度先進療法など種々の代替療法を検証し、真に医療と呼ぶにふさわしいものは何かを問い続けていくことは大変重要で意義深いもので、今後の予防医学の進展に対して好影響をもたらすことだろう」と開催にあたって祝辞を述べた。
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多彩な講演、目立ったキノコ・クロレラ関連の研究報告 |
演題は、特別講演2題、招請講演2題、シンポジウム3題のほか、一般演題が計44題(うち示説26題)発表された。なかでもキノコ類、クロレラ、代替療法の一般への認知度調査等が目立った。蟹BI応用きのこ研、山梨大学、北里大学ほかによる共同研究グループの発表では、マウス移植固形がんに対する抗腫瘍活性試験でメシマコブ菌糸体培養成分が各検査体で高い値を示したと発表、NK活性増強やサイトカイン活性の変化を伴う免疫応答が相互的に作用し、抗腫瘍活性が強くなる点を示唆した。
ランチョンセミナーでも遺伝子栄養学研究所・松永政司氏らによってメシマコブの免疫調節作用について報告がなされた。PCR法を用いて遺伝子解析し、抗腫瘍活性を有する菌種を特定。その結果から導き出された抗腫瘍活性の強いPL2・PL5それぞれの菌種でマウスを対象として試験を行ったところ、@B16F10メラノーマによる増殖抑制および延命効果、AB16F10メラノーマによる微小がんの肺転移抑制効果、Bアドレアマイシンとの併用における相乗効果およびアドレアマイシンの副作用軽減効果、Cメシマコブを前投与した後がん細胞を移植したときの阻止効果、といった作用を明らかにした。
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ラクトフェリンを中心とした食品素材を徹底討議 |
シンポジウム1では皮膚疾患に対する補完医療の現状が紹介され、アロマセラピーや漢方薬、半導体レーザーを応用した症例が報告された。シンポジウム2では「がんの化学予防と補完医療」と題して「食品成分によるがん予防」についての5題が議論された。
栃木県立がんセンター疫学研究室・本荘哲氏はライフスタイルと大腸がん予防について言及。「世界的には野菜が大腸がんに予防的とされているが、日本の野菜摂取量は過去45年間変化がない。一方で食物繊維の主な摂取源である穀類消費は著明に減少しており、日本における大腸がん増加の主要因である可能性が高い」としながらも、日本特有の大豆製品、緑茶といった大腸がんに予防的とされる食品については疫学的知見がほとんどないと指摘した。
国立がんセンター研究所化学療法部・津田洋幸氏はウシラクトフェリン(bLF)についてラットにおける発がん抑制作用を報告。bLFが大腸・遠隔臓器の発がん・転移の予防に重要な役割を担っていると語った。
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進む臨床試験、二重盲検試験もスタート |
国立がんセンター中央病院肝胆膵内科・上野秀樹氏は、ラクトフェリン含有食品のC型慢性肝炎に対する興味深い臨床試験結果を報告。
ラクトフェリン(LF)は一本のポリペプチド鎖にガラクトース等の糖鎖が結合した分子量約80000の糖タンパク質で鉄結合性のトランスフェリンファミリーのひとつだが、これまでにLFには抗ウイルス作用、鉄吸収調節作用、免疫調節作用、発がん抑制作用など多くの作用を有することがわかっている。C型肝炎ウイルスに対するLFの抗ウイルス作用については、LFがHCVのエンペローブと結合してHCVを中和することで、培養細胞へのHCVの感染が防御されることがわかっている。このin
vitroで示された作用に基づいて上野氏らは「LF含有食品のC型慢性肝炎に対する臨床試験」を実施し、その結果を今学会で発表した。
試験は@GPT値に対するLFの用量反応関係を調べる用量反応試験、ALFを1年間摂取することの安全性を調べる長期摂取試験、BLFがHCV
RNA量を減少させるかを調べる二重盲検試験の3つ。用量反応試験では、LFの摂取試験量を1.8g/日、3.6g/日、7.2g/日の3群に分類し、LF含有食品を8週間摂取する。その結果、GPT値変化割合、HCV
RNA量変化割合のいずれもLF摂取量との間に用量反応関係を認めなかったが、LFの摂取により、GPT値は45例中6例(13%)、HCV RNA量は9例(20%)で50%以上の減少が認められた。長期摂取試験でもLFによると考えられる副作用は認められなかったという。
現在は3つ目の試験、LFがC型慢性肝炎患者のHCV RNA量を減少させるかについて二重盲検試験が進められている。この試験はC型慢性肝炎患者をLF群(1.8g/日、12週間摂取)とプラセボ群とに分け、LF含有食品の摂取終了時点でのウイルス学的効果を評価するもの。「同試験の結果によって、C型慢性肝炎に対するLFの効果が明らかになる」と上野氏は話している。
一般演題プレイバック
2日間にわたって開催されたJCAM大阪大会では、特別講演、シンポジウムのほかに一般演題44題(うち26題は示説)が発表された。ホールで行われた口演発表には熱心に聞き入る人が多くみられ、また、別室で同時に進められていた示説発表の場では活発な意見交換が行われていた。ここでは、編集部が選んだ演題発表を5題紹介する。(氏名は今大会での発表者、敬称略)
メシマコブ菌糸体培養成分の有する生物学的活性−生体内での抗腫瘍効果発現における免疫機能との関連性について−
中村友幸(蟹BI応用きのこ研、山梨大学工学部)ら
(株)アイ・ビー・アイ 応用きのこ研究所(山梨県韮崎市・秋山幸仁社長)は、昨年に引き続きメシマコブ菌糸体由来の成分についての実験データを発表した。今回は同研究所の中村友幸氏が「メシマコブ菌糸体培養成分の有する生物学的活性−生体内での抗腫瘍効果発現における免疫機能との関連性について−」を題目に評価検討した。
【目的】メシマコブ「PL-08」(潟Aイ・ビー・アイ保有菌株)菌糸体由来成分における抗腫瘍活性(in
vivo、in vitro)の調査、さらにNK細胞活性と生理機能成分(サイトカイン)の挙動を調べ、免疫応答に関する調査を行う。
【被験材料】培養培地、メシマコブ菌糸体熱水抽出物、メシマコブ培養濾液
【実験】抗腫瘍活性試験(in vivo)、NK細胞活性およびサイトカイン(IFN-γ・TNF-α)量の測定、腫瘍抑制試験(in
vitro)。
【結論】メシマコブ菌糸体由来成分をマウス飼料に混合した経口投与による抗腫瘍活性試験(in
vivo)では、菌糸体熱水抽出物で75.4%、培養濾液で62.2%とともに高い値を示した(図1)。
NK細胞活性量の測定では、TNF-αやIFN-γ活性がメシマコブ菌糸体熱水抽出物で最も高い値を示した(図2)。
このことは、免疫系の明らかな賦活作用をきっかけとするNK細胞活性の増強やサイトカイン活性の変化を伴う免疫応答が相互的に作用することで抗腫瘍活性を強く示したものと考えられた。
メシマコブ菌糸体由来成分の腫瘍抑制試験(in vitro)については、メシマコブ培養濾液が最も高い抑制効果を示し(図3)、腫瘍細胞に直接作用する可能性があることを示唆した。

プロポリス加工食品「桑ポリス」液の糖尿患者に対する臨床効果(第3報)
今村厚志(今村泌尿器科)ら
【目的】第2回日本補完代替医療学会学術集会において「桑ポリス」液をα-グルコシダーゼ阻害剤を半年以上服用して改善がみられない糖尿病患者3例に使用したところ、血糖値の改善傾向を認めた。さらに第3回大会の発表では、同液を糖尿病患者6例に使用したところ、1例に血糖値、HbA1C、GA、1.5AGが改善し効果を認めた。今回は同液の糖尿病患者(2型DM)に対する臨床効果、特に自己のインスリン量の変化について検討した。
【材料】高濃度の桑茶エキスとブラジル産プロポリスを配合したプロポリス加工食品「桑ポリス」液(潟Nワポリス製)を使用した。
【方法】「桑ポリス」液30驍糖尿病患者5名に、1日3回1スポイトずつを食事とともに1ヵ月間摂取してもらった。採血日は投与前、摂取1ヵ月後、その後摂取せず1ヵ月後(2ヵ月後)の3回行った。
【成績】5名中1名は皮疹のため中止。空腹時インスリン値は4名中3名(α-グルコシダーゼ阻害剤内服なし)は上昇したが(症例1:15.3→17.9→14.7、症例2:11.6→15.3→12.8、症例3:27.0→30.7→24.9)、1名(α-グルコシダーゼ阻害剤内服)は低下した。HbA1C値は4名とも低下した(症例1:5.8→5.7→5.8、症例2:6.4→5.8→5.7、症例3:7.0→6.5→6.3、症例4:8.1→6.9→6.4)。FBSは、症例1:112→121→104、症例2:68→74→72、症例3:120→76→108、症例4:260→98→172であった。なお、肝機能および脂質代謝に変化は認めなかった。
【結論】「桑ポリス」液は自己インスリン値を上昇させ血糖降下作用を示した。その原因としてα-グルコシターゼ阻害作用による糖毒性の改善が示唆された。
一般患者の代替療法に関する意識調査
植村英俊(京都府立医大微生物)ら
【目的】一般医院および漢方専門医院に受診している一般患者の代替療法の実践状況、情報入手源及び有効性を調査し、その特性を明らかにすることを目的とした。
【方法】一般医院及び漢方専門医院を受診した20歳以上の患者を対象に、代替療法の実践状況、代替療法を知った手段及びその効果に関する調査票を受付時に配布し、記入後帰院時に回収した。
【成績】調査票の回収率は97%(590名/609名)であった。代替療法を行っていると回答したものは65%(362/554)で、このうち漢方が72%と多く、健康食品:45%、鍼:33%、あんま・マッサージ・指圧:32%、灸:28%、カイロプラクティック・整体療法:16%、温泉療法:13%、ヨガ:10%、気功:9%、催眠療法:5%、タラソセラピー・海洋療法:3%、その他:6%であった。
代替療法を知った手段として友人・知人が30%と多く、雑誌・新聞・テレビ等:25%、親・兄弟:16%、医院・病院:14%、薬局・薬店:11%の順であった。
効果については、「非常に効果があると思う」12%、「かなり効果があると思う」32%、「まあまあ効果があると思う」28%、「少しは効果があると思う」16%、「効果がないと思う」1%、「わからない」11%であった。
【結果】回答を得た患者の65%が何らかの代替療法を行っており、このうち72%の患者が漢方を、次いで45%が健康食品を使用していた。また、漢方と健康食品以外の代替療法は代替療法間の併用が多かった。情報入手源として口コミとマスコミによるものとに大別され、漢方は口コミが多く、健康食品はマスコミによるものが多かった。
有効性については、漢方は60%の患者が「非常に効果がある」「かなり効果がある」と回答した。一方、健康食品は69%の患者が「まあまあの効果である」「効果がない」と回答した。このように漢方と健康食品はよく使用されているが、その特性は異なる代替療法と認識されていることが推測された。
一般市民における補完・代替医療利用の状況について
渡邊聡子(京都府立医大微生物)ら
【目的】わが国における一般市民の間での補完・代替医療への取組状況をみること。
【方法】1999年秋、京都市の3つの町内会に所属する市民計472名に自己記入式アンケート調査を配布し、記入後回収してもらった。
【結果】代替療法を一つでも行っている者は全体で61%であった。最も多かったのは、あんま・マッサージであり、36%の人が実施していた。次いで漢方、健康食品、鍼が多かった。
漢方の入手法について調べたところ、病院や診療所で処方してもらうのが42%、薬局で、医師の処方なしに手に入れている者が44%でほぼ同数であった。
代替療法を行っている目的について調べてみたところ、漢方、鍼、灸、あんま・マッサージ、カイロプラクティックなどは80%〜90%が疾患の治療を目的にしているのに対し、健康食品は健康増進を目的としているものが多かった(55%)。
職業、学歴、年収、年齢別、性別などについて各療法の実践状況を調べてみたところ、職業、学歴、年収、年齢別については有意な差はみられなかった。性別ではどの療法についても女性の実践の割合が男性に比べて有意に多かった。
【結論】アメリカでは、補完・代替医療利用者は高学歴で高収入の、社会的地位の比較的高い若い層に多いという結果が出ていたが、我々の調査では有意な差はみられなかった。つまり、日本ではアメリカと異なり、年齢や学歴に関係なく、さまざまな人々が幅広く補完・代替医療を利用していることがわかった。女性の実践の割合が男性に比べて有意に多いのは他のほとんどの国でもみられる特徴である。
以上のように、代替療法は現状では多くの市民が実践していることがわかった。
難治アトピー性皮膚炎の食事指導における発芽玄米利用の検討
−preliminary report−
小林裕美(大阪市立大学大学院
医学研究科皮膚病態学)ら
厚生労働省の調査では、アトピー性皮膚炎の患者は全国で39万9000人(平成11年)。標準治療としてステロイド外用、スキンケア、抗アレルギー剤内服などが行われているが、重症、難治例が増加しているのは周知の通りだ。
アトピー性皮膚炎の治療に漢方薬と食養生を取り入れている大阪市立大学皮膚科の小林裕美助教授らのグループは(本紙24号参照)、食事指導に発芽玄米を組み入れた研究結果を報告した。対象は難治性アトピー性皮膚炎患者12名。いずれも過去2週間以上症状が固定されている。それまでの治療は変更せずに、発芽玄米(潟tァンケル)1日100〜200gの摂取を加えた。その結果、摂取開始から1年を経過した症例では、皮膚症状の著明な改善が見られた。全例で血液生化学的な異常は認められなかった。
有効例として31歳男性のケースがある。初診時には全身の落屑性紅斑があったが、発芽玄米を食べ始めてからかゆみが軽快した。食べるのをやめたところ悪化したので、摂取を再開し、半年後には紅斑はかなり消失した。そのまま続けると9ヵ月後には皮膚炎はごく一部を残すのみとなった。
発芽玄米は、玄米を水に浸して0.5〜1mm発芽させたもの。玄米に比べて炊飯が簡単であることや、発芽させることで機能成分が増加するメリットがある。小林助教授らが行ったアンケートでも、調理のしやすさに対して好印象が得られたという。
(Medical Nutrition 33号より)
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