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がん治療最前線/がん検診
世界規模で広がる統合医療の波。その動きは、がん治療の現場が中心となっている。米国の発がん因子に関する統計によると、環境性発がん因子が男女とも80%を占めており、中でも食物の占める割合が最も大きい。このため米国の医療機関では、メガビタミン療法等の代替医療が盛んに行われている。がん治療を巡る米国の動向と遺伝子診断等の検診動向をまとめた。
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「遺伝子ドック」で発病リスクを診断 |
「遺伝子ドックは個人個人の疾病リスクを察知して、疾病の予防につなげるもの。いわば西洋医学のなかでの予防医学の技術で、早期発見を主眼とした従来の人間ドックとは異なります」と語るのは、九段クリニック(東京都千代田区)の阿部博幸院長。2年前から遺伝子ドックを取り入れている。がん予防では喫煙、飲酒、ウィルスのリスクを判定して肺がんや食道がん、子宮頚がんの予防につなげるのが狙いだ。
肺がんを例にとれば、発がんリスクは2段階で考える。まず、タバコに含まれる発がん物質が体内でどれくらい活性化されるか。そして、活性化された発がん物質を解毒・無毒化できるかということだ。
タバコ由来の発がん物質ベンツピレンの代謝に関与するのは、チトクロームP450 1A1遺伝子。この遺伝子にはA、B、Cの3タイプがあり、肺がん患者ではC型の割合が高いことが統計的にわかっている。C型の場合、タバコの煙に含まれている発がん物質によって酵素誘導が起こり、誘導された酵素によって発がん物質の代謝・活性化が促進されると考えられている(第1段階)。そして、発がん物質の無毒化(第2段階)に関与するグルタチオンSトランスフェラーゼ遺伝子を持っているかどうかをあわせて考えれば、喫煙による肺がんのリスクが判定できることになる。
遺伝子ドックで重要なのは、結果を出して終わるのではなく、その後の生活習慣改善だ。九段クリニックでは、結果を緑・黄・赤の3段階表示で患者に通知し、それをもとに生活習慣についてのカウンセリングを行う。黄・赤の場合はまず発病していないか検索し、疾病がなければ生活習慣改善をアドバイスする。6ヵ月後に再検する。先のタバコの話で言えば、第1段階が赤信号か黄信号で、第2段階が赤信号なら、リスクは非常に高いということになる。タバコを吸わないのはもちろん、タバコの煙が多いところへの出入りも気をつけねばならない。ニコチン製剤を用いた禁煙指導や、抗酸化食品の摂取なども指導に含まれる。
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遺伝子検査で抗がん剤の効果を予測 |
標準的に用いられる抗がん剤の効果と副作用を、事前に予測する検査システムが開発された。(株)三菱化学ビーシーエルが今年7月から開始したもので、患者のがん組織を用いて薬剤感受性や副作用に関する遺伝子の発現を調べる。抗がん剤の奏効率は40%前後とされている一方、吐き気、脱毛、白血球減少などの副作用に悩まされる患者が多かったが、このシステムにより、効果が得られそうか、副作用が起こりやすいかを事前にある程度まで予測することができる。
対象となるのは5-FU、アドリアマイシン、タキソール、イリノテカンなどで、抗がん剤の代謝に関連する遺伝子14種類を調べる。患者の腫瘍組織を採取し、同社のラボで関連酵素遺伝子の発現定量検査を行う。結果は2〜3週間で通知される仕組みだ。
例えば5-FUは、細胞内に取り込まれた後にさまざまな酵素の働きで活性化し、DNAの合成を阻害することでがん細胞を死滅させる。この際、チミジンシンターゼ(TS)と呼ばれる酵素の量が少ないとがん細胞のDNA合成が傷害を受け、抗がん作用が発揮される。
一方5-FUは、別の酵素デハイドロピリミジンデハイドロゲナーゼ(DPD)の働きで、約85%が肝臓で代謝される。もしDPDの機能が弱いとすれば、5-FUの代謝が抑制されるので副作用が現れやすくる。
酵素の量を測るには、比較的大量のヒト組織が必要になるが、同社では、リアルタイムPCR (遺伝子増幅)法を応用して、わずかな組織でのmRNA定量を実現した。現在は大学や製薬会社などで主に研究用に用いられているが、テーラーメイドメディシンの手段として普及する日も近いだろう。
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年4回の訪問採血検診でがんリスクを見張る |
日本橋清洲クリニック院長の佐藤仁是氏は患者の自宅を訪問して採血し、健診結果に詳細なコメントをつけて送るというユニークな健診システムをとっている。年4回の健診、基本40 項目の血液検査で、会費は8万円だ。佐藤氏によると、年4回行うのは、検査値の推移から体の傾向をつかみ、病気を未然に防ぐためという。正常値でも値が上昇傾向にあればリスクがあるとみなし、すぐに食事を含めた生活指導を行う。
つまり、こまめに体を見張っていれば『傾向』に気づくことができ、わずかな努力で元の状態に戻せるというわけだ。一方、従来の年1回の健診では正常値というだけで安心し、リスクに気づくことができない。症状が出たり、異常値が出てから健康をとり戻すには相当の努力が必要になる。
この健診では、初回の採血時に家族歴や生活習慣を問診し、疾患リスクを割り出して腫瘍マーカーの選択や検査項目の追加に役立てる。佐藤氏によると「がんのリスクの高い人も血液検査を頻繁に行って、身体を見張っていればわずかな異常に気づくことができる」という。また、漠然とした疲労感を第一の症状とする多くのがんは、血液検査の推移から予見でき、その時にMRIやCTによる検査をすればよいというのが佐藤氏の持論だ。
(Medical Nutrition 32号より)
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