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「肝細胞」再生に漢方素材を応用 臨床応用へ期待が高まる
肝機能障害の治療に際しては、インターフェロンや強力ミノファーゲンCなどが用いられるが、副作用なども懸念され特効薬とはいえない状況だ。そこで、最近では漢方素材を活用した健康食品が市場に流通し臨床効果もあげているという。そのメカニズムと臨床の実際を探った。
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急増する肝臓がん |
肝臓病は患者数が多いにもかかわらず、現代医学では治療が困難な疾病とされている。多くの肝臓病の原因とされる肝炎ウィルスを駆逐する特効薬は残念ながら今の段階では少ないといってよい。
肝臓がんによる死亡者は、年々増加の一途をたどっている。肺がん、胃がんに次いで多い数字となっている。しかし死亡者数とは異なり、死亡率では他のがんを上回る数字が示されている。そこで重要な問題として指摘されているのが、肝臓がん患者の95%がC型肝炎ウィルスならびにB型肝炎ウィルスの持続感染者であるという点だ。このほかにもウィルス性肝炎と呼ばれるものはまだあるが、肝臓がんの温床となっているのはこの2つといっても過言ではない。
つまり、C型・B型肝炎ウィルスによる肝炎の慢性化から肝臓の細胞が死滅し肝硬変が進行、そして月日をかけて肝臓がんに至る―、これが日本における肝臓がんへの流れとなっている。
ウィルス性肝炎の主たる治療法は「インターフェロン療法」となっている。「強力ネオミノファーゲンC」や「ウルソ」などの薬物療法を併用する―ケースもあるが、あくまで治療の柱は「インター―」である。
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幻の漢方・片仔廣」 |
肝障害に適した漢方薬として、中国で古くから使われているものに「片仔廣(へんしこう)」がある。片仔廣は中国で450年ほど前に処方が完成した漢方薬。成分は田七人参を主剤に、蛇胆、牛黄、麝香。田七人参のサポニン(ジンセノサイド)を始め、蛇胆に含まれる胆汁酸などが総合的に働いて肝機能の改善に役立つとされている。日本では肝臓病に対する効果が一般的に知られているが、中国では胃痛、吐血する内臓病、皮膚病など幅広く用いられてきた。成分のひとつである麝香は、希少動物の保護を定めたワシントン条約に抵触することから、日本では未認可で販売もされていない。まさに日本の専門医にとっては「幻の漢方薬」であった。
そこで現在注目を集めているのが健康食品である。なかでも中国由来の漢方薬を中心に作られた健康食品が肝機能障害の臨床現場で高い成果を上げている。
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日本人向けにアレンジ |
肝障害、肝炎に対する治療では、甘草から抽出したグリチルリチンや小柴胡湯が汎用されている。この領域では早くから西洋医学と自然療法との統合医療が根付いていると言ってよいだろう。
そこで、片仔廣の製造元である中国障州片仔廣公司が、日本人向けに処方をアレンジしたのが「廣禅顆粒(こうぜんかりゅう)」である。田七人参と蛇胆はそのままに、新たにウコンを配合した。ウコンはショウガ科植物の塊根で、主成分のクルクミンが胆汁分泌を促進し、肝機能改善に働くとされる。
99年には軽度〜中等度の肝機能障害を有する男女15名を対象に、廣禅顆粒の有用性を検討した結果が報告されている。それによると、1日6g、8週間の摂取で、GOT、γ−GTPの値が有意に改善した
試験を担当した磯子中央・脳神経外科病院健康管理センター(神奈川県横浜市)の土田隆センター長は、「かつて朝鮮人参の長期摂取試験で良好な結果を得たこともあり、田七人参を主剤とする廣禅顆粒にも関心を持ちました。いずれもサポニンを含むからです。生活習慣を変更せずともGOT、γ−GTPの有意な低下を認めたことは、肝機能改善効果が十分に期待できます」と話している。肝機能を高めることは、解毒作用、抗酸化作用が強化され、強壮効果につながる。俗っぽく言えば「スタミナがつく」ので、それも健康維持に役立つ。
「生活習慣病を薬で治そうとしてはいけません。より土台の部分へアプローチしなければ。しかし、指導してすぐに生活習慣を変えられる人は少ないので、無理のないことを長く続けるよう提案しています」と土田医師。その意味で、健康食品は生活習慣改善の一助になるととらえており、多くの製品の評価経験をもつ。またその経験から、「健康食品には品質に問題があるものもあり、信頼できるメーカーを選ぶ必要があります」とアドバイスする。
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臨床医が現場で活用 |
「養生片仔廣」は数千年にも及ぶ漢方医学の臨床経験のなかで、薬効が高いとされる生薬が配合されている。主成分としては、田七人参、田七杜仲精(田七人参と杜仲を組み合わせたもの)、黄精、甘草など。現在、配合されている生薬の複合的な作用が働くという段階でしか「養生−」の作用機序は判明していない。しかし、GPTは肝細胞の炎症が悪化すると血中にあふれ出す量が増加するが、その量が下がる効果が見出されているため、肝細胞の破壊が抑制され、肝硬変につながる繊維化止められていると推測されている。つまり、肝細胞を保護し、人間が本来持っている回復力を引き出すわけだ。
「養生片仔廣」を実際に臨床に取り入れている原田病院・原田雅義院長はその著効を肌で実感している。原田院長は、「インターフェロン療法では、肝炎ウィルスを直接たたいて消失させることが主たる目的とされています。しかし、副作用などの面を考えると心配な面も残ります。現時点では確定できませんが、『養生片仔廣』を長期間利用することで、肝炎ウィルスが消失するかどうかについても、研究すべきでしょう。ここで重要なことは、肝機能を保護して炎症をすみやかに抑えることで、注目すべきはGPT、GOTの数値がどのように推移しているかということなのです」と話す。
原田院長は薬物療法を続けていてGPT、GOTの高値が続いたり、インターフェロン療法でも数値が改善しない、または改善しても治療終了後に再び悪化した患者に対して、同意を得た上で勧めている。現在の利用状況について同院長は、「C型慢性肝炎の患者がもっとも多く、次いでB型慢性肝炎患者、アルコール性肝炎患者、脂肪肝、急性肝炎と続きます」と話す。「結論からいえば、現在まで「養生−」を飲んだ患者すべてにGPT、GOTのすみやかな改善がみられました。特にGTPの場合は5日から1週間のごく短い期間で劇的な効果がみられ、これを追うようにしてGOTも正常範囲内におさまるようになってきました」(原田院長)。同院の症例では、C型慢性肝炎患者の60代女性のGPT・103が9日後には13まで下がり、GOT・74は1ヶ月後には40になったものなど多数を揃える。
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エビデンスの構築が急務 |
東京都板橋区で石澤内科クリニックを開業する石澤晋医師も「養生片仔廣」の効果を実感しているひとりだ。石澤医師のクリニックでは症例こそは少ないものの、同医師自身その効果を高く評価している。石澤院長の話では「『養生片仔廣』は肝機能障害の原因ではなく、配合された漢方薬の総合的作用によって、身体の防衛機能が強化されているのではないか」という。続けて石澤医師は、「西洋医学はこれまで膨大な量の統計を積み上げてきました。これに対して漢方は2000年にも及ぶ生体を用いた臨床の歴史に耐えてきたという実績があります。現在『養生片仔廣』は健康食品という立場にありますが、今後はよりいっそう一般に普及する製品に成長していくことを望みたいです」(石澤医師)。これからは大学病院、公的研究期間での精度の高い2重盲検試験を実施した上での検証が期待されている。
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ウコンの肝機能亢進作用 |
最近ではウコンの抗酸化作用、抗菌作用発がん抑制作用、および肝機能亢進作用など多くの生理活性も報告されている。琉球大学農学部生物資源科学科・本郷富士弥教授らのグループは、長年ウコンの薬理活性について研究を進めている。昨年、同グループは、ウコンの発酵調整による利便性向上の効果を明らかにする目的で、ウコンの成分と特性と抗酸化性についての調査と、ヒト酸化ストレスに及ぼす影響、ラット血中アルコール濃度とその代謝産物生成量に及ぼす影響について検討した結果を発表した。
実験では4週齢のWistar系雄ラットを用い、28日間飼育した。試験終了後、血中総コレステロール、HDL−コレステロール、トリグセライドおよびリン脂質の各濃度、またGOT、GPT、およびγ−GTPの各値をを測定した。また肝臓中の総脂質含量をFolch法により抽出し測定した。
単位重量あたりの肝臓重量は、高脂肪高コレステロール食群(対照群)が基本食群に比べて高い値を示し、、明瞭な脂肪肝障害が認められた。血清中のトリグリセライド、リン脂質、遊離脂肪酸、総コレステロール及びHDLコレステロールの各濃度、またGOT、GPTおよびγ−GTPの各値は、対照群と比べ各ウコン投与群のいずれも低い値を示していた。また、肝臓中の総脂質量、トリグラセロイドおよび総コレステロール濃度においても、対照群に比べウコン投与の各2群は低い値となった。以上の結果、発酵ウコンは高脂肪高コレステロール食ラットの血中および肝臓中の脂質濃度を低下させ、脂質代謝を改善させるものと考えられた。
(Medical Nutrition 31号より)
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