ダイエット外来の症例研究 「筋肉量を減らさずに体脂肪を減少」クロスクリニック 副院長青木晃医師
医師が開発した特定保健用食品(トクホ)として話題を呼んでいる機能性食品に「RY流糖茶」がある。主成分は、とうもろこしの澱粉から作られた食物繊維(難消化性デキストリン)。この成分が、糖の吸収を穏やかにして、血糖値の上昇を抑えることが、医学的に確認されたことから、昨年9月に厚生省(現厚生労働省)からトクホの表示許可を取得した。クロスクリニック(東京都新宿区、TEL:03-5339-2590)副院長の青木晃医師は、この「RY流糖茶」をダイエット外来で患者に投与したところ、筋肉量を減少させることなく、有意に体脂肪を減少させるダイエット効果がみられた。青木医師に臨床スタディの概要と肥満対策のポイントを聞いた。
- ── まずは医学的にみた肥満の問題点をお聞かせください。
- 青木晃医師(以下、敬称略)
- 肥満は外見上の問題もさることながら、甘く見ていると糖尿病や高脂血症などの生活習慣病の原因となります。つまり自覚症状がないからと言ってそのまま放置しておくと、薬剤では完治しにくいやっかいな病気に直結する恐れがあります。とくに問題なのは、一見するとスリムな体型でも検査をすると体脂肪率が25%を超えるような“隠れ肥満なんです。
- 当クリニックに来院する若い女性の中にも、肥満の判定基準となるBMIが20以下であっても、体脂肪率は標準値を超える人が少なくありません。こうした傾向は現代人の特徴で、とりわけ10代、20代の女性に多く見られます。従って、当クリニックで行った調査では、血液学的データでは病気と言えないような状態にある、20歳から50歳までの女性20人を対象に「RY流糖茶」の減量効果を調べました。
- ―― 具体的にはどのような方法で調査したのですか。
- 青木
- 調査に参加してもらった体脂肪率25%以上の女性(20歳〜50歳まで、20人)を、「RY流糖茶」を試飲するA群10人と、別のお茶を飲んでもらうB群10人に分け、1カ月間の様子を比較観察しました。調査前と調査開始後、各週ごとに体組成計によって体脂肪率、除脂肪体重等を測定しました。調査前と調査開始2週間後、4週間後に血液データをとり、同時にバスト、ヒップなどを計測しました。
- その結果、平均体脂肪率はA群が30%から27.2%に、B群は31.2%から30.7%となり、「RY流糖茶」を飲んだA郡の体脂肪率が有意に減少しました。また、脂肪重量はA群16.9kg→14.7kg、B群17.4kg→16.7kg、体重はA群55.4kg→52.8kg、B群55.1kg→54.1kgとなりました。
- これを変化率でみると、体脂肪率でA群−10%、B群−2%と、有意にA群での体脂肪減少効果が認められました(P<0.006)。
- 調査期間中は、1日15〜20分の有酸素運動か、8000〜1万歩のウオ―キングを実践してもらいました。さらに、家庭でもできる簡単なエクササイズを1日5〜10分やってもらいました。こうした運動による体脂肪率の変化もチェックしながら総合的に判断した結果、A群の方が、改善効果が高いことがわかったのです。また、除脂肪量、推定筋肉量の減少はほとんど認められませんでした。
- 調査結果の詳細については、10月11日から群馬県で開催される第22回日本肥満学会で発表します。
- ―― 最近は、今回の調査対象者のように症状はないが検査をすると異常所見や何らかのリスクが判明する、
―― いわゆる未病状態の人が急増しています。肥満についても早期からの対策が必要になりますね。
- 青木
今回の調査の狙いも未病状態の人にどのような改善効果があるのかを調べることにありました。将来、危険な疾患につながる肥満(医学的にみた肥満)を防ぐためには、食生活を見直し、適度な運動を心掛ける生活習慣の改善が基本となります。
- 私の持論は、今食べている量を20%減らしながら、運動量を20%増やす「20%の理論」を実行すれば、医学的肥満を予防し、ひいては糖尿病などの生活習慣病を防ぐというものです。これは顕著な効果が現れます。健康的なダイエットを行うためには、ある程度理論的なことを理解していただいたうえで実践することが重要です。患者さんと話し合いながら、具体的な食事の量を計算し、日常の活動量を割り出して、8000歩歩いている人は1万歩に増やすなど、具体的な数字をあげながら、少しずつ変えていくように指導しています。
- ―― 巷には数々のダイエット食品が市販されています。これらの効果的な利用方法についてはいかがですか。
- 青木
- ダイエットで今一番問題になっているのは、リバウンドです。運動をせず筋肉を落とす痩せ方は問題があります。誤った判断でダイエットを繰り返すと、筋肉が落ちてしまいます。食事量の減少に伴って基礎代謝が落ちますので、いったん食事量が増えだすと以前にも増して脂肪が増えてしまいます。ですから医師に相談するなど、専門家のアドバイスを受けながらダイエットをすることをお薦めします。当クリニックのダイエット外来では、必ず体組成計を使って筋肉量をチェックしますので、脂肪のみを有効に減らす、リバウンドの少ないダイエットを実践することができるわけです。
プロフィール
青木 晃(あおき・あきら) 昭和36年生まれ。東京都出身。昭和63年、防衛医科大学医学部卒業。防衛医大第三内科、自衛隊中央病院内科にて、糖尿病、肥満症の臨床及び研究に携わる。平成12年8月よりクロスクリニック千葉院院長として「ボディ・ファット・コントロール」「20%理論」といった独自のダイエット理論を基に、新しいダイエット外来を実践している。日本内科学会認定医、日本糖尿病学会認定医、日本肥満学会会員。
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(Medical Nutrition 31号より)
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