|
キノコ食品による診療実態に迫る! がん患者などに用いて免疫能や全身状態の改善に役立つとされるキノコ食品。患者や疾患、病期に応じたものを根拠に基づいて取り入れている時代が訪れようとしている。診療に取り入れている医師に話を聞いた。
「医師に隠れて使っている人を入れれば、8割以上の患者が健康食品を利用している。患者の利益を考えれば、医師も健康食品のよい点、悪い点をよく知るべきです」。東京医大婦人科で免疫外来を担当する星野泰三医師は、がん患者に対してスタンダード治療に加え、漢方薬、健康食品を使用することが多い。患者から「健康食品で、治療の効果は何%上がるのか」という質問もよく受ける。 星野医師ががん患者に対して好んで使用するのは、アガリクス・ブラゼイとプロポリス。基礎研究の積み重ねがあり、ここ数年研究が進んでいるからだ。アガリクスに関しては、自ら研究報告もしている。根拠をもって健康食品を使うために、「EBM推進協議会」の設立にも関わり、健康食品の効果についての証明に取組んでいる。がんの成長速度を抑えたり、QOL改善について健康食品への期待は高い。 星野医師は「手術後や抗がん剤治療後、放射線治療後で一時的に体調を損なっている状態に対して、アガリクスの有効率は50%です。アガリクスをベースとして、プロポリスを起爆剤として使う方法に手応えを感じます」と話す。アガリクスは、手術後の体力や抗がん剤治療後の白血球を元に戻したり、全身機能の改善、食欲の増進に効果が現れている。また胃腸障害がある人を含めて万人に受け容れやすく、使い勝手がよいのも特長だ。初期がんへの推奨量は、(株)サンドリー「仙生露ゴールド」で1日100ml、中期がんには300mlをベースとしている。「末期がんに対しては難しいが、必要に応じて加減します」という。 これに対し、プロポリスは刺激が強いので短期集中的に使う。抗がん剤治療後の口内炎の治療や舌がん、食道がん、胃がんなど胃酸で分解される前に腫瘍を叩く使い方だ。摂取量はエタノール抽出エキスであれば、5滴からはじめる。星野医師は、女性疾患で信頼しているピクノジェノールにも、がん治療の可能性を模索している。
自ら予防食研究協会を設立し、約20年にわたって食品機能の臨床応用を研究する中川医院(埼玉県さいたま市)の中川栄一院長は、マイタケをがんや代謝異常症(高脂血症、糖尿病)の患者に用いて効果を上げている。 なぜマイタケなのか。中川院長は「生活習慣病の克服には、体の抵抗力、免疫力を高めることが肝要。そのためには、化学的な治療だけではなくBRM(生体反応修飾物質)的なものとの併用が望ましい」とする。そして、マイタケが属している担子菌類ヒダナシタケ目には、免疫細胞を活性化し、強い抗がん作用があることを挙げる。中川院長は企業との共同研究を重ね、酵素を用いた特殊な抽出法を開発。がんや生活習慣病に有効な物質を抽出し、β−E−フラクションと名づけた。 中川院長の経験では、初期のがん患者、術後の再発防止・転移抑制に適しているという。「3ヶ月前後の服用を続けると、体調や顔色がよくなります。自覚症状の改善も見られます。初期の乳がんでは、蝕診で腫瘍の縮小が認められる場合もあります。効果が見られたらそのまま続けるのがよいでしょう」(中川院長)。副作用としては発疹・かゆみやうつ状態が現れることがある。少量(1日12粒程度)から初めて徐々に増やしていくのがコツだという。維持量は24粒/日を目安とする。廉価で効果的な食品としての有用性を認めている。
前田綜合医学研究所(神奈川県横浜市)の前田華郎医博は診療の中で、機能性食品のアドバイスをしている。前田氏は機能性食品と各種代替療法を以下のように大別している。(1)プロポリス系(2)キノコ系(3)サメ軟骨系(4)その他(キトサン、漢方、ポリフェノール等)――。前田医博は、これら機能性食品が患者個々に適応しているかを、O−リングテストでスクリーニングし、種類や量などのアドバイスを送っている。 そのなかにメシマコブも含まれている。前田氏の臨床経験から、メシマコブ で10人中、多くて7人程度に効果があるという。また、同氏の話では、現段階でのより効果的と感じるキノコ食品は「液体のアガリスク・ブラゼイ」とのこと。これは永年にわたり、機能性食品を臨床に応用してきた経験からきている。 前田氏は機能性食品を患者にアドバイスするときには、さまざまな素材と代替療法を組み合わせて行うようにしている。その際のビタミンCの併用は欠かせないとのこと。「キノコ食品のような機能性食品のみではいけません。食事や生活習慣の改善はもちろんのこと、体温の低下に留意した温熱療法などを組み合わせて行うことが重要となってきます」(前田医博)。
アトピー治療に栄養療法を取り入れるノムラメディカルクリニック(横浜市鶴見区)の野村修三院長は、ストレス耐性を高める目的から、ビタミン・サプリメントをはじめハーブなどの天然成分を配合した健康食品を使った補助療法を行っている。 2000年2月からは、カナダからハーブ製品を取り寄せたり、米国からマルチビタミンを輸入して「Dr.Nomura‘s−Choice」というオリジナルブランドを開発した。身内が経営する小売店で、市販品よりも安価な料金で提供している。 野村院長は、「心的ストレスは、アトピーの増悪因子だが、ストレスを山に例えると、それ以上に高い山の耐性力をつければ症状は軽減する」と説く。このマウント・ストレス理論は、野村院長の自説だが、この理屈は他の疾患にも当てはまるという。サプリメントを補助的に使うのも、ストレス耐性を強化するのが目的だ。 野村院長は、「免疫力の向上イコールストレス耐性の向上と考えれば、キノコの健康食品も有効。使用に際しては、患者から相談される場合もあるので、生体内環境評価システム(BTA)と呼ばれる検査機器を使って患者との相性を調べている」と話す。 代替医療が盛んな米国では、キノコを臨床応用する医師は、5000人とも1万人とも言われている。一方、日本でも集学的治療の一環で、免疫活性、抗酸化作用があるキノコを戦力的に使用する動きが広まっている。 (Medical Nutrition 28号より) |
|||||||||
|
|