がんを中心に集まる驚異のデータとは!?
 増える臨床例、がん患者の生存率上昇に貢献

生活習慣病への対応に、健康食品を利用するケースが増えている。「大半のがん患者が何らかの健康食品を摂っている」と臨床医が口を揃えるほど、がん患者の間では健康食品が普及した。なかでもキノコ食品の利用者は、群を抜いて多い。積極的に医療にとり入れる医療機関もあり、臨床評価も報告されはじめた。臨床医の声を交え、キノコ食品について報告する。


 各方面で関心を集めるキノコ食品

古くからキノコは健康維持や滋養強壮に良いと言い伝えられ、日本においても長野県のキノコ生産農家ではがんの罹患率が低いとする研究が報告されている。それとともに、キノコに由来する医薬品としてクレスチン(カワラタケ)、レンチナン(シイタケ)などが抗がん剤として応用されている。

とは言っても、キノコそのものでは効果が得られるための量や摂取方法がわかりづらいし、医療用医薬品では予防への使用が規制されている。そのような状況で、医薬品と食品の中間として、予防・未病への対応、さらには治療の補助に期待されるのがキノコ由来の栄養補助食品(キノコ食品)だ。アガリクス・ブラゼイ、霊芝、メシマコブ などがそれで、大手製薬メーカーや食品メーカーでも取り扱いを始めている。

【AHCCで肝がん患者の生存率が上昇!】
統合医療を実践する医療従事者になじみ深いキノコ食品としてAHCC(active Hexose Correlated compound)がある。培養された複数のキノコの菌糸体から抽出した物質で、がんや肝疾患などに用いられている。

2000年の第3回日本補完代替医療学会でも、関西医科大学第一外科・川口医師らのグループによってがん患者に対する研究結果が報告された。

これは症例対照研究で、92年から2000年までの8年間に同科で手術した肝細胞がん患者のうち、AHCC投与群83例と非投与群84例をレトロスペクティブに検討したもの。その結果、無再発生存率および生存率が、AHCC群で有意に上昇していることが分かった。5年生存率はAHCC群60.7%、対照群41.3%。生存率の中央値はAHCC群68.5ヵ月、対照群では46ヵ月と報告している。

【日本癌学会も注目するキノコパワー】
AHCCと並んで知名度があるのがアガリクス・ブラゼイ。ブラジル・サンパウロ郊外の草原に自生するキノコで、含有するβ-D-グルカンなどの多糖類が抗腫瘍、免疫賦活作用を有するとされる。それらの機能は日本補完代替医療学会、日本栄養・食糧学会といった統合医療関連の学会のみならず、日本癌学会のような西洋医学の学会においても演題が採択されている。最近では「エイズ症状を改善する経口投与剤」の特許を米国で取得した製品も現れた。産地・さまざまな製法の違いで特徴をアピールする企業もある。

かつては「幻のキノコ」といわれたメシマコブだが、最近では天然物の入手も可能になり、臨床に取り入れる医師も増えている。広瀬クリニック(愛知県刈谷市)の広瀬滋之院長は、2000年4月から天然メシマコブの使用を開始した。対象はがん患者がほとんどで、すでに100例に上るという。証にあった漢方製剤との併用が中心で、初期量として原生薬では5g/日、エキス粒なら10〜20粒/日が目安。投与後の反応を見て、調子が良ければそのまま続けるように指導する。例えば、卵巣がんが肝臓に転移した女性は、1年以上にわたりメシマコブの摂取を続けているが、腫瘍マーカーが低下し、肝がんの増大も停止している。患者は顔色がよくなり、最近では笑顔で受診するほどだ。使用にあたっては、「数%の例で下痢などの消化器系の副作用が見られますが、その場合は減量、あるいは食直後の摂取に切り替えることで消失するケースがほとんどです」(広瀬院長)。

【有効例の積み重ねで高まる、キノコへの期待】
東洋医学専門医として知られる広瀬院長のもとには、がんを始め慢性関節リウマチ、アトピー性皮膚炎など、難治性疾患の患者が訪れる。同クリニックでは、「患者さんの苦痛をどうやって軽減するか――。臨床医として、その選択肢はたくさんある方がよい。そして、自然界はその宝庫」と考え、従来の治療で十分な効果が得られない患者に、機能性食品や鍼灸、気功などの代替療法を適用している。広瀬院長は「たとえ1例、2例でも、そのような治療が奏効する患者がいる事実は大切です。そのような事実を積み重ねながら、どうしたら最大の効果が得られるかを導き出すことが医師に求められています」と話している。

食品としての歴史、医薬品としての使用実績に加えて、栄養補助食品という新たな一面が加わったキノコ。BRM(生体反応修飾物質)としての働きが研究され、未病の時代への役割が高まってきている。

(Medical Nutrition 28号より)


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