患者個人を診る中医学の生薬治療
 漢方桃林堂薬局 薬剤師 小野満幹彦氏

中医学に基づいた生薬処方で治療に取り組んでいる、漢方桃林堂(東京都小金井市)の小野満幹彦氏。 JR武蔵小金井駅の近くに開局してから約16年になる。生活習慣の改善を重視し、健康相談も行っている。薬剤師である小野満氏に中医学の立場から、疾病予防や生活習慣の改善、生薬治療や健康食品について聞いた。


 食生活がもたらす血流の悪化

生活習慣に起因する疾病が増え続けるなか、「食生活が生活習慣の基本」と小野満氏は語る。「日本人の食生活が変化して脂質が多い食事内容になった。また最も多くのカロリーを夕食など夜間に摂取するといった、生活習慣は自然の理に適っていない。続けていれば、病気が起こりやすい体をつくる」という。

漢方桃林堂では健康相談を行い、生活習慣の改善を指導する。そしてその人に合った中医学による生薬治療を行う。遠方から訪れる人も多く、さらに電話による相談も行っている。小野満氏によれば、「うちに来る人の多くは血液がドロドロの状態。すなわち中医学でいう『お血』の状態の人が増えている。その最大の要因は食生活にある」という。

最近は、若い親子連れが訪れることが増えたという。中医学はまだ普及していないが口コミで訪れるケースが多い。小野満氏は特に母親の体質の悪さを指摘する。先に挙げた、血の状態がほとんどだという。

 健食も個人の証に合わせて摂る

中医学の考え方は、未病を治すことを重要視する。未病を治すとは発症する前に生活改善により病気をくいとめることだ。お血の状態が続けば、高脂血症、高血圧、さらには脳血栓などにつながる。お血を防ぎ、血流を改善することがこれらの疾病の予防となる。

中医学では、まず患者の状態を診て「証」を判断する。証は「寒、熱、虚、実」の4つに分けられる。「生活習慣の改善は重要なテーマです。外因は内因を通じて発症するといいますが、今までの生活の積み重ねが証に現れます」と小野満氏は話す。

また、漢方桃林堂を訪れる人のほとんどが健康食品を利用しており、健康食品についての相談も多いという。「それらは、テレビや本で得た知識で、多くの人が健康食品について不勉強で知識不足です」と語る。さらにこうした状況にはリスクがあるという。 小野満氏は健康食品の有効性を認め、人によっては田七人参などの健康食品を勧めるケースもある。その場合には、生薬と同様に個人の状態を把握し、健康食品についても成分などを検証する。小野満氏は「生薬の場合は、証に合っていない処方はかえってマイナス効果を生むことがある。健食も同じことが言える」と指摘する。

(Medical Nutrition 18号より)


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