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伝統食材の循環器への作用 納豆や海苔、ソバ、玄米といった日本の伝統的な食材の循環器系に対する機能性が明らかになってきた。栄養関連の学会のみならず、医学会でも報告されている。主な日本食とサプリメントの効用を紹介する。
【海苔】 【ソバ】 この調査では、雄のSHRラット(4週齢、平均体重62g)を韃靼蕎麦粉を与えた実験群と、小麦粉を与えた対照群に分け、8週間飼育したところ、韃靼蕎麦粉群の血圧は、実験開始2週より有意な差で低値を示し、その血圧上昇抑制効果は飼育終了まで観察された。 【納豆】 【発芽玄米】 【紅麹】 神奈川県横須賀市の相談薬局・フジドラッグでは、コレステロールや血圧が高めの人に紅麹製品を勧めている。「店頭で接客していると、検診で数値が高めに出た、という人が意外に多く見られます。その場合、食養生のアドバイスに加えて、紅麹製品を食前に摂取するようお話しています。他の健食に比べて効果の発現が早い印象がありますね。もちろん食品ですから、最低3ヵ月は続けてもらうことが必要です。早い人では1ヵ月くらいで効果が出始めます」という。 「和食は健康食」というのはすでに定評になっているが、医薬品類似の機能に対するアプローチも進んでいる。 【魚油】
カリウム摂取は、疫学調査などで高血圧に対する効果が示されており、2000年からスタートした国の健康づくり運動「健康日本21」でも、生活習慣病の一次予防に向けた目標として掲げられた。しかし重要性が指摘されながらも、意識的に摂取されることが少ないのが現状だ。 健康日本21では「血圧低下のための目標」として減塩(1日10g以下)、成人肥満者の減少、運動習慣者の増加――と並んで「成人の1日当たりのカリウム摂取量」が掲げられた。国民栄養調査によると、97年現在のカリウム摂取量は1日2.5g。これを「3.5g以上」を目標に増加することが挙げられた。他の生活習慣の改善目標と総合して平均最大血圧4.2mmHgの低下が期待されている。 カリウムは15mmolの摂取増加で最大血圧が1mmHg低下することが、インターソルト研究で示されている。しかし食生活のなかで効率よく摂る方法は、健康日本21にも明らかではない。カリウムは緑黄色野菜をはじめ野菜、芋、果実に多く含まれており、これらから目標値を摂取するには約400gが必要となる。 ミネラルの重要性が見直され、市場にはミネラル・バランスをうたった商品群が多くみられるものの、カリウムの補助を目的とした製品は最近発売された「ナトカリバランス」((株)アトラス)を除いてほとんど見られない。カリウムに対する認識が低い現状では、第一に栄養教育の進展が期待される。 一方、循環器疾患の予防に不可欠な「減塩」を、塩そのものの摂取で可能とする製品が増えている。厚生省から表示許可を受けた特別用途食品には、塩分をカットした低ナトリウム食品があり、このうち塩化ナトリウムを低減した食塩も販売されている。これらは塩化ナトリウムの代わりに塩化カリウムを使用し、高血圧、心臓疾患などに適するという表記を認められている。イスラエルの死海の天然塩を製品化した「塩の海」もその一つで、成分は塩化ナトリウム47%、塩化カリウム50%。またアルゼンチン沖の海水を利用した塩化ナトリウム25%含有の液体食塩「Sal」などもある。
【レシチン】 日本では高脂血症薬「ソーヤ・レシチン」(大日本製薬)が医薬品の承認を受けている。「ソーヤ・レシチン」の比較対照試験では、総コレステロール220mg/dl以上またはトリグリセリド150mg/dl以上の条件を満たした97症例に大豆レシチン1日10gを12週間投与したところ、総コレステロールは統計学的な有意差をもって低下したが、平均の低下率は2%で全体では強力な作用は見られなかった。しかし症例によっては20〜30%の低下率を示し、投与終了後に正常値(220mg/dl未満)となった症例が数例見られた。またLDL-コレステロールは平均で3%の統計学的に有意な低下、HDLコレステロールは平均4%の統計学的な有意な上昇といった推移を示した。動脈硬化指数は平均で6%の統計学的に有意な低下が見られた。 またレシチンは卵黄にも含まれ、リン脂質を高濃度抽出した健康食品が製品化されている。キユーピーなどによる研究で、血清コレステロール上昇抑制、コレステロール排出促進などの生理活性が動物実験で確認されている。また血液中の総コレステロールに占めるHDLコレステロールの割合を上昇させる働きがある。 【イチョウ葉】 イチョウ葉エキスにはフラボノイドや特有のテルペノイドが含まれ、さらにその他成分との複合により、血液に対して赤血球の変形能力を高めて赤血球の凝集を阻止し、血液粘度を低減させる。また血管壁に対しては、プロスタサイクリンの合成を促進し、血小板の凝集を抑制、かつ血液透過性を低減し、浮腫を防止する――ことなどが明らかにされている。 最近では、5月に米国NIHが開始したイチョウ葉エキス(シュワーベ製薬、EGb761)による痴呆予防効果を検討する二重盲験試験が話題になっている。参加希望者3000名を2群に分け、一方には1日240mgのイチョウ葉エキスを、他方にはプラセボをそれぞれ投与する。試験期間は6年間で、痴呆を発症するまでの期間及び発症後の痴呆進行度を調べ、予防のための用法用量を確定する。
肝機能改善に役立つ機能性食品は、大きく分けて、(1)免疫力を高める(2)たんぱく質等の栄養補給(3)胆汁の分泌促進(4)アルコールの分解促進――の4つがある。 (1)では、キノコ由来の健康食品や田七人参、(2)は必須アミノ酸を全て含むクロレラ、スピルリナ、グリコーゲンやタウリンが豊富な牡蠣エキスなどがある。(3)はシジミエキスやウコンが胆汁分泌を促進することが明らかになっている。(4)はアセトアルデヒドを分解するゴマリグナンやアルコール分解酵素の働きを促進する高麗人参、ポークペプチドなどがある。 このほか、レバーエキスやシルク、スクアレン、ビール酵母等を原料にした機能性食品が、「肝機能に良い」として市販されているが、血液生化学的な臨床評価や、患者を対象とした臨床試験を踏まえているものは、ウコンなど一部の素材だけに限られる。 近年、ハーブサプリメントで輸入されるようになったシリマリン(マリアアザミ抽出エキス)は、欧州においては肝臓疾患の治療薬に使われており、国内でも肝機能改善作用について臨床評価が進んでいる。シリマリンに豊富に含まれるフラボノリグナンは、優れた抗酸化物質であり、フリーラジカエルスカベンジャー作用や肝臓細胞膜の安定作用を促す。特にシリマリンは、アルコール性肝炎、脂肪肝において高い改善効果を示すことが臨床試験で確認されている。 また、中国で肝疾患の治療に使われる有名な漢方製剤に「片仔廣(ヘンシコウ)」があるが、その構成成分の85%は田七人参である。 (Medical Nutrition 18号より) |
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