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医療の現場から代替医療によるがん治療をルポ 腫瘍を取り除いたり、がん細胞を攻撃する西洋医学ではなく、患者の全身状態を改善する代替療法が関心を集めている。食養生、機能性食品の利用から気功、瞑想まで、用いられる方法はさまざまだが、患者の自然治癒力を引き出すという点で、根底に流れているものは共通している。代替療法によるがん治療の最前線と問題点をレポートする。
「がんは不良少年と同じようなもの。家庭環境や社会環境を改善すれば不良少年がいなくなるように、がんが発生しやすい体内環境を改善すれば、がんは自然消滅する」。ホリスティック京北病院(東京都豊島区)の小林常雄院長の弁だ。 そこで、がんをたたくだけでは克服できないことに気づいた医師に支持されているのが代替療法だ。がんに対する代替療法に決まった分類はないが、便宜的に3つに分けるとわかりやすい――(1)栄養食事療法(機能性食品を含む)、(2)物理療法、運動療法(3)心理療法だ。(1)にはアガリクスなどのキノコ類、サメ軟骨、キチンキトサンなどの動物由来素材をはじめ、さまざまな製品が臨床の場で戦略的に使用されている。医療現場では免疫賦活、血管新生抑制などの機能別に考えたほうが、無用な多品目併用を防ぐことができる。(2)はびわの葉温圧、気功などの物理療法、運動療法。(3)はカウンセリングのほか、催眠療法、生きがい療法など広い意味で患者の精神状態の改善により、免疫能を向上させようとするねらいがある。
体の自然治癒力を引き出すリフレッシュ療法は、バイブレーション、脊椎調整運動などの理学療法と、重金属排泄効果がある遠赤外線サウナ浴、自律神経機能を回復させる冷温浴、それに生薬を原料にした漢方ジュースやビタミン・ミネラル、乳酸菌飲料などの食事療法を組み合わせた複合療法だ。 小林院長は、「食生活の欧米化で動物性タンパク質や脂肪の摂取が過剰ぎみになっている。このため分解吸収されずに残った老廃物が小腸で宿便化し、有害物質を放出して発がん物質となる。宿便が出す毒素を除去して血液成分を浄化するために遠赤サウナや食事療法が大事になる」と話す。 メンタルケアの大切さ 鶴見隆史院長は「治療のポイントは、(1)患者のメンタル面を重視して、ストレスによる免疫力低下を防ぐこと、(2)半断食や浣腸などによって腸内をきれいにすること、(3)機能性食品により、免疫力の向上を図ること」と話す。 鶴見院長は機能性食品として、アラビノキシラン、アガリクス、メシマコブ、フコイダン、子牛の胸腺(ペプチドエキス)を使用している。これらを患者の状態によって組み合わせるわけだ。 免疫力を維持するために、患者のメンタル面に配慮することの大切さは、多くの代替医療家が口を揃える。日本ホリスティック医学協会会長でもある帯津良一医師(帯津三敬病院院長)は、人間を丸ごと捉えるホリスティック医療の立場から、「一番大切なのは心です」と強調する。同院では、瞑想などの心理療法や気功を健康食品と併用することで、がん患者の治療にあたっている。 帯津院長によれば、がん患者でも改善する人は、前向きで、NK細胞も活性化しやすい。そして、気功をやるとNK活性が必ず上昇するという。
C.L.I.内科皮膚科診療所(東京都豊島区)では、森時孝院長が自ら開発したMMKヨード製剤を用いて再発例、末期がんの治療にあたっている。これはヨード、肝油、クレオソートの混合品である。森院長は、疫学的に甲状腺機能が亢進しているとがんが少ないことから、ヨードの使用を考えた。「作用機序として、直接的な抗がん作用と免疫賦活能を通じた体力増強作用によるものが考えられます」(森院長)。 一方、「がんは『治癒系(体の異常を是正する機能系)』の慢性的衰弱がある病気。その回復を目指す治療体系が必要」と語るのは、一心病院(東京都豊島区)総合医学科の川島紀文医師。「右脳の中におそらくがんに対する免疫中枢がありますから、(1)右脳の異常を改善する作用のあるものと、(2)内分泌領域を改善しつつ、がんに働きかける作用をもつものを使い分けます。(1)には、当院で開発した漢方薬である重生散、AHCC、サメ軟骨、もぐさ灸、(2)にはホルモン療法、食養生などがあります。もちろん、手術が必要なときには体の抵抗力を高めた上で、適当な時期に行うよう患者さんに提案します」とする。
このように、西洋医学のカバーしきれない部分を補って効果を上げる代替療法だが、問題がないわけではない。その一つが費用の点だ。鶴見医師は「自由診療となるため、高価な機能性食品は患者の経済的な負担になる」ことに配慮しているという。 C.L.I.診療所では、その点を踏まえ、患者が持参した健康食品をin vitroでヒト白血病細胞に添加する試験を行っている。森院長は「患者の中には月に数十万も払っている人がいます。そのような人には実際に健康食品の機能を検査し、効果がないと思われるものは中止するように勧めています」と、患者がいくつもの健康食品を無差別に服用している実態を指摘する。 また、代替療法の評価法をどうするかという問題がある。「代替療法は反応性に個人差が大きいので、西洋医学的な評価になじまない」とする向きもあるが、医師が勧める以上、理論的裏づけと臨床データの蓄積は重要である。川島医師は、有効例を医療者の目でチェックし、一例一例のメカニズムを検討していく作業の必要性を提唱している。 国立がんセンター名誉総長の末舛恵一氏は2000年3月、都内で行われた講演会で、「抗がん剤、放射線療法は副作用や免疫力の低下などが難点。今後は食生活の問題を含めて3大療法以外の選択肢を考えるべき」と、集学的治療のあり方を見直す必要性を指摘した。代替療法が広く普及して、多くのがん患者が延命、QOLの向上、そして予防の恩恵を受けるには、散逸している体験的証拠を、科学的証拠に照らし合わせて説明できるか、ということが求められている。
(Medical Nutrition 20号より) |
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