生活習慣の改善で予防できる「糖尿病」
  高輪メディカルクリニック 医学博士 糖尿病内分泌専門医 久保明院長

平成9年の厚生省(当時)の発表によると、糖尿病の患者は全国で690万人、その疑いを否定できない人(予備軍)を合わせると約1400万人と言われています。それは人口の1割以上となり、もはや糖尿病は国民病といっても過言ではないでしょう。では、いったい糖尿病とはどのような病気で、それを予防するには日常生活でどういう点を注意したらいいのでしょうか。高輪メディカルクリニック(東京都港区)院長で、糖尿病・内分泌が専門の久保明医学博士に聞きました。


 血液検査で早期発見を

――糖尿病はどういう病気ですか。
久保明院長(以下敬称略)
ひと口に糖尿病と言っても二つのタイプがあり、生活習慣病として問題になるのは2型糖尿病と呼ばれるものです。私たちの身体は、膵臓から分泌されるインスリンというホルモンが、血液の中のブドウ糖濃度(血糖値)をコントロールしています。それが、遺伝や生活習慣などのためにインスリンの分泌パターンに異常があったり、働き方に異常が起きると、血糖値が上がってしまうのです。これが2型糖尿病です。もうお分かりかと思いますが、「尿に糖が出る」ことではなく、まず血糖値が異常に上がることで診断される病気です。初期には自覚症状がないか、気付きにくい病気ですが、放置しておくと深刻な合併症が出てきますので、血液検査を受けて早めに見つけねばなりません。

 治療はコツコツ継続を

――治療法は。
久保
病気の状態に応じて、図のような働きのある薬が医師の指示で使われます。糖尿病と言えばインスリンの注射を連想する方は多いでしょうが、これは他の薬で血糖値がコントロールできない場合に使われます。現在、インスリンの飲み薬や、吸入薬が開発途中にあります。また、サプリメントでは、糖の吸収を抑える機能を持った食品も発売されています。アメリカの国立衛生研究所でも、糖尿病とサプリメントに関して研究されています。機能の裏づけがしっかりした食品を、うまく取り入れていく時代になるでしょう。いずれにせよ、糖尿病の治療は薬の服用だけではなく、普段の生活を見直して、それを継続することが大切です。

 食事と運動の改善で発症が約6割減

――日常生活で気をつけることはありますか。
久保
食事と運動です。先月、「生活習慣を変えることで、糖尿病を予防できる」という興味深いデータが海外の医学雑誌に報告されたのでご紹介しましょう。糖代謝の検査値に軽い異常が見られ、糖尿病にかかる危険性がある人522名(平均年齢55歳)の協力を得て、2グループに分けました。・生活習慣の改善を実施したグループと、・しないグループです。・群には表1に示すようなことを平均3.2年間実行してもらいました。
 
その結果、・群では糖尿病の発症率が・群に比べて58%低下したのです(表2)。将来糖尿病に罹る危険性のある人でも、生活習慣を変更すれば、予防できることが分かりました。
 
私のクリニックでは、表3のようなアドバイスをしています。糖尿病には早期発見、そして予防が大切です。そのために、自分の生活習慣を意識的に見つめる機会を作りましょう。

プロフィール
久保明(くぼ あきら)
昭和29年生まれ。慶應義塾大学医学部卒業。東京都済生会中央病院内科、米国ワシントン州立大学を経て平成8年、高輪メディカルクリニックを開業。

もっと詳しく知りたい方に――
『糖尿病 安心への戦略』(廣済堂)
『生活習慣病・成人病がわかる本』(法研)
いずれも久保明著

(Medical Nutrition 27号より)


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