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肥満診療レポート
肥満に対しては食事療法、東洋医学、サプリメントの使用など、日常診療では、さまざまな形のアプローチが行われている。具体的な事例をいくつか紹介しましょう。
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【浅野生活習慣病研究所】 サプリメントを活用 |
今年5月、東京・代々木に、自費診療で主に肥満治療を行う専門クリニック「浅野生活習慣病研究所」が開業した。院長は、東京慈恵会医科大学病院第4内科で肥満外来を担当していた浅野次義医師。同クリニックの肥満治療は、(1)メンタルケア(2)食事療法(3)運動療法(4)サプリメント療法の4つが基本となっている。
サプリメントの利用価値について浅野医師は、「食事療法や運動療法だけではちょっとしたトラブルで失敗するケースがあります。そんな時にサプリメントをうまく使えば、オーバーしたカロリーをすぐにカットできます。問題は、市販品の多くが臨床的なデータがないことです」と話す。このため同クリニックで推奨するのは、臨床データがしっかりしているものに限っている。浅野医師が推奨するのは、エネルギーを消費する際に脂肪を優先させる一方で筋肉増強作用のある異性化リノール酸だ。海外文献を入手して作用機序、臨床評価を確認した。
食事療法やサプリメントでは減量できない患者もいる。問診で肥満の原因を探っていくと、心のトラブル、つまり心的外傷に起因するケースが少なくないという。「こういう人が精神科に行くと、かえって食欲を増進させる作用のあるクスリを処方される場合があります。心をケアしながら減量を行うのは容易ではありません」(浅野医師)。
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【高輪メディカルクリニック】 遺伝子診断で動機づけ |
高輪メディカルクリニック(東京都港区)では、肥満の患者に対してβ3アドレナリン受容体の遺伝子診断を取り入れている。院長の久保明医博は、変異がある場合「1日200kcal節約(消費しない)する体ですから、その分余分に動きましょう」と説明している。すでに70例に実施し、5分の1に変異(ヘテロ、ホモあわせて)があった。久保氏は「治療導入の動機づけとして貴重な手法だし、『同じ生活習慣でもなぜAさんは太らない』という患者の素朴な疑問の解消にも役立つ」としている。
抗肥満薬マジンドールは、高度肥満症の患者に3ヵ月までの投与という使用の基準があるが、これをいかにうまく使うかが鍵だという。その上で久保氏は、「サプリメントも抗肥満薬に準じて分類し、うまく組み合わせていくべき」と話す。特に、日本で肥満の保険薬が食欲抑制剤しかない現状では、それ以外のカテゴリーの機能をもつサプリメントを併用することが多い。
非薬物療法では最近、2年間身体活動の増加を続けると、運動療法に匹敵する体力アップをもたらすことが分ってきた。そこで、1〜3kg/月の減量を目標に、日常生活に取り入れる「ながら運動」を健康運動指導士とともに奨めている。食事については摂取カロリーを10〜15%減らすことを指導している。「最近、DIABETES誌に内臓脂肪と皮下脂肪の遺伝子レベルでの違いが報告されました。遺伝子診断とあわせ、このような最新の情報を患者さんにムンテラすると、治療の動機づけになります」(久保氏)。
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【丹羽クリニック】 肥満タイプを見極める |
脂肪ため込み型と水太り型。肥満には二つのタイプがある。「脂肪ため込み型は食べ過ぎを含め、偏った食生活が原因。一方、水太り型は水分代謝の不全や低下が原因です。脂肪ため込み型は主に欧米人に多い肥満で、水太り型は日本人に特徴的」と丹羽クリニック(東京都新宿区)の丹羽正幸院長は指摘する。
一般的に肥満への対処は、皮下脂肪や内臓脂肪の燃焼を重視し、過食や偏食などの食の乱れをただし、適度な運動を行うことなどがあげられる。
丹羽院長によれば「脂肪ため込み型の改善は、脂肪燃焼に欠かせないビタミンやミネラルの摂取などが必要で時間がかかる。一方、水太り型の改善は滞った水分代謝を改善することで短期間で改善ができる」という。水太り型に多くみられるのは、顔がむくんだり、下腹や腰のまわり、二の腕や太ももにたるみがあるなど。
丹羽院長は、「そのポイントは体内によどんだ水分をいかに排出させるか。漢方でいう湿をとること。腸の機能が悪くなると水分の代謝も滞る」とし、(1)便通をよくする食物を摂る(2)魚介類や野菜類など日本型の食事(3)塩分に気をつけるなどの食事指導を行なっている。さらに水分代謝を活性化する、防 黄耆湯、麻子仁丸、五苓散などの漢方薬を処方する場合もある。「水太り型の改善は、食事の改善をはじめ、末梢血管の循環を促進し、ホルモンバランスの乱れを修正することが必要です。また、普段使わない部位に水太りの状態が現れるので、ウォーキングなどの運動で筋肉をほぐし、強化することも大切です」(丹羽院長)。
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【間宮内科クリニック】 選択肢豊富な専門外来 |
リバウンドしたときこそ、患者がついてくる。間宮内科クリニック(静岡県浜松市)は、専門的な肥満治療を受けられる国内では珍しいウェイトコントロールクリニックだ。
「すべての医師は、心療内科としての技量が問われる」と語る院長・間宮康喜医師は、米国留学でウェイトコントロール療法や東洋医学に出会い、その失敗を学び、長所を取り入れた肥満治療をいち早く実践し、「患者のサティスファクションを満たす医療、痒いところに手が届く医療を目指してきた」(間宮院長)。「肥満症」の概念が固まりつつあるなか、ここではBMIによる型通りの捉え方はせず、個々のケースで対応する。
現在同院では、VLCD(超低カロリー食=輸入承認済み医薬品)による減量食事療法のほか、ア−キパンクチャー(鍼)、耳のツボ療法、カウンセリング等を取り入れ、さらに従来の治療法を改良した食事療法、運動療法、行動療法を有機的に組み合せている。特に肥満に伴う痛みや自律神経失調、うつ、ノイローゼを解消するのに鍼は欠かせない。さらに患者に手渡しするダイエットクイズなどの教材を作成し、患者教育にも力を入れる。なおVLCDについては脱毛、倦怠感、貧血などの栄養障害の症例があることからビタミンK、ビオチン、コリン、微量元素を配合したメディカルユースのものを独自に輸入している。
(Medical Nutrition 19号より)
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