セルフケア新時代がやってきた!
 ビタミン療法で未病改善

厚生省(当時)の指導によるビタミン剤の処方制限や、2001年4月からスタートした保健機能食品制度などの一連の制度改革。こうした動きの背景には、セルフケア時代の到来という現実がある。しかし、確かにセルフケアに対する世の中全般の意識は徐々に高まりつつあるものの、ライフスタイルが多様化するなかで、現代人が栄養状態を適正に保つのはなかなか難しい。「未病」状態で、専門家のアドバイスが必要なケースもある。そうしたことから、ビタミン、ミネラルを用いた栄養療法に注目が集まっている。


 まだ低いセルフケアの意識

30代、40代男性の30%以上は肥満、60代女性も肥満が30%を超える。40代男性の約60%は高脂血、高血圧、高血糖は男女とも高年齢層ほど高い―。2001年3月に発表された1999年国民栄養調査で、日本人の栄養事情が明らかになった。

日本人の栄養素摂取状況を見ると、摂取総エネルギー量は栄養所用量を充たしている。にもかかわらず、肥満、高血圧、高血糖、高脂血などの割合は高く、生活習慣病に罹るリスクが高い。調査によれば、血液検査で異常が指摘された人でも、健康問題としての認識は必ずしも高くはない。高血糖の女性にいたっては87.4%が認識しておらず、セルフケアの意識が低いことを示している。

こうしたことから、現代人には個々のライフスタイルを考慮したセルフケアをサポートする、最新の知識・技術を持った専門家のサポートが必要になってきている。 例えば、浜田氏が主席研究員を務める笹塚クリニックでは、来院者に栄養教育を徹底して行い、栄養素グラフで個々の食事摂取状況などを説明する。16年前から栄養療法に特化した診療を行っている同クリニックでは、クスリを使う前段階の人が主な対象となる。

つまり、検査ではわからない「未病」を対象とし、その兆候を捉えて栄養療法で軌道修正を行っている。いわば予防医療専門クリニックの草分けだ。 LCA(血液細胞検査)、血液生化学検査、尿検査・選択診療など結果をベースに診察し、管理栄養士によって食生活・栄養指導のカウンセリングがマンツーマンで行われる。

「不足した栄養素だけを単体で補うのは、危険を伴います。総合ビタミン、総合ミネラルで栄養レベルを全体的に上げてから、保険量を補うように指導しています」と浜田氏は言う

 クスリを使わずサプリメントで治療

女子栄養大学栄養科学研究所の実践栄養部門である栄養クリニック(東京都豊島区)では30年前から、クスリを一切使わず、高血圧症や糖尿病などの慢性疾患の治療を行っている。

診療部長の安田和人医師(同大大学院教授)によれば、糖尿病や肥満症などの治療で総エネルギー摂取量を下げる場合や腎臓病に対するたんぱく質の摂取制限を行う場合に、サプリメントを用いる必要があるという。

「治療食にマルチビタミンなどのサプリメントを採り入れることで、カロリーオーバーを防ぐことが出来ます。また所用量はそれ以上をとる必要はないというものではなく、やや多めに摂る方がよいという考え方が一般的です。 ただし、上限値は超えては行けません。通常の食事が手抜きされるようでは、本末転倒です」と語る。

 かぎを握るのは管理栄養士

栄養療法を実施するには、専門的な知識が求められる。安田教授は「医師は、患者の栄養状態をなおざりにしがちです。栄養療法が普及するには、管理栄養士の質を高めることや栄養管理療法の経済的効果を裏付けるとともに、管理栄養士が医療チームの一員として医師に対して“Noといえる環境作りが必要です」と語る。つまり、管理栄養士の位置付けが、栄養療法の実践と普及のかぎを握る。

診療内でのビタミン摂取指導 平沼歯科クリニック 平沼良一院長

●療養担当範囲内でソフトな指導
川崎市・平沼歯科クリニックでは、虫歯・歯周病の基本指導料の一環として、ニュートリションサプリメントの摂取指導を行っている。あくまで歯周病治療の一部としての栄養指導を行っているため、サプリメントの処方・販売は一切していない。まず初診を受け、歯周病を含めた生活習慣病が確認された場合は血液検査などを行うが、保険医として療養担当範囲内でソフト的な指導を心がけている。
同クリニックでは患者のビタミン・サプリメント摂取バランスの調整と指導に重点を置き、診療に加えている。
 
先の栄養所用量6次改定で栄養成分の摂取上限値が設定されたが、設定されている数値はとても食事のみではとることは不可能に近く、不足分を補完する目的で一般の人もサプリメントを取る傾向が年々高まってきているが、過剰に摂取している人も多数いると考えられる。実際に過剰摂取している患者が来院するが、摂取過多、逆に不足といったものを個々に調節し、適切なアドバイスを提供することを心がけているという。
 
●基本は食事、サプリメントで補助を
現代の欧米食中心の食生活では食事を正確にコントロールすることは困難に等しい。平沼氏のこれまでの指導の経験から「これを積極的に摂ったほうが良いですよ」と薦めたものに限って「嫌いなもの」で、逆に「これは控えたほうが良いですよ」というものは「好きなもの」という。
 
「健康な人は嫌いなものであっても、時に自然に身体が欲してくる作用が働きます。これは身体リズムが傾いてくるのを自分で感知できているからです。しかし、身体のセンサーが異常を起こすと肉が食べたくなったら毎日でも食べたくなるようになり、甘いものでも一度に相当量摂ってしまうものです。このような状態になると病気の状態です。」
 
このからだのセンサーを正常に戻す役割をしているのが「サプリメント」であると平沼氏は強調する。サプリメントを日常的に適正量摂取することで身体のセンサーが徐々に正常に近づき、その後自然に普段の食生活にも改善が見られるようになってくるという。「患者に栄養指導したものがただの知識のみにとどまらず、サプリメントは生活の知恵として、そして体を治癒するための食養生として活きているのです」(平沼医院長)
 
●現代人にマッチした栄養学とは
ヒトには智歯を含めると32本の歯があり、急死20本、前歯8本、犬歯4本となっている。臼歯は主に穀類をかむために使われ、犬歯は肉類、前歯は野菜類といったように、ヒトの進化に伴い機能別に分類されている。つまり、歯の機能に準するならば穀類は肉類の4倍食べなくてはいけない事になる。この20:8:4の比率に忠実な食性の地域ほど寿命が長いという結果も出ているほどだ。このヒトの持つ本来の食性を維持するために朝・昼・晩とバランスを考えた食事を心がけるべきであるが、実行できている人はほとんどいない。
 
「もし、食べたいものを食べていれば良い、とするならば身体のセンサーを常に正常にしておかなければ通用しません。つまり、そうした栄養素をニュートリションサプリメントで摂取、補完するということは、まさに現代人にマッチした栄養学なのです」(平沼院長)

(Medical Nutrition 25号より)


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