もう、更年期障害で悩まない!

エストロゲンの減少にともない、女性のほとんどが経験する更年期症状。しかし更年期障害のなかには多種多様な症状があり、それぞれの症状に対する対症療法的なアプローチでは治療が困難だ。現在、更年期障害に対する新しい医療が求められており、ホルモン補充療法(HRT)やプラセンタ療法などの補完・代替医療への期待が高まっている。更年期障害に対する治療法を中心に、代替医療の潮流を紹介しよう。


 見直されてきたホルモン補充療法

エストロゲン分泌量の低下にともない、ほとんどの女性に更年期特有の症状が現れる。日本国内の更年期にあたる女性(45〜54歳)は約1200万人。このうち、症状を訴える女性60〜70%に上り、治療を要する症状は20〜30%の240万人から360万人にあると推計されている。

更年期障害はエストロゲンの分泌低下が主因であるため、エストロゲンを補充するホルモン補充療法(HRT)はもっとも効果を上げる治療法であるとともに、QOL向上やその他の女性疾患の予防に寄与するものとして期待が高く、評価も高まりつつある。

更年期女性の30〜40%がHRTを受けている欧米に比べ、90年代に入ってから婦人科を中心に導入されてきた日本は、普及が大きく遅れている。その背景には、副作用の問題や乳がんの発症リスクが高まるなどの報告がある。

さらに日本女性には更年期障害に対し「加齢による一過性のもの」「病気ではない」との考え方が強く残っており、症状がひどくならないと受診しない傾向やホルモンに対する抵抗感もある。また医師のなかにも慎重論が依然として残っていることが、普及の足かせとなっている。実際、日本の更年期女性のHRT実施率は未だに1〜1.5%と低い状態だ。

しかしこの間、普及率は低いながらも研究の進展や症例数の増大に伴って、投与量や 併用薬(黄体ホルモン)に関する検討が重ねられ、副作用の問題はほぼ解決されつつある。評価についても、のぼせやほてり、顔面紅潮、発汗などで高い有効性が認められている。不眠やうつに対しては30〜50%程度の有効性があり、頭痛や肩こりについても改善が期待されている。また長期投与は、骨粗しょう症の治療・予防をはじめ、高脂血症の治療や心筋梗塞などの動脈硬化の予防が報告されている。

最近では大腸がんの発症リスクを低下させるとの報告も見られ、HRTを更年期・老年期の女性疾患全般に寄与する手段として評価されてきた。 HRTを採り入れている医師は、全国で1000人とも、2000人とも言われるが、更年期外来などの専門医療も増えており、HRTの普及にも弾みがつきそうだ。

 更年期女性の悩みの受け皿となる組織も誕生!

2000年10月に、加齢とエストロゲンをテーマに医療従事者と患者を結ぶ団体も発足した。日本更年期医学会理事長で、東京医科歯科大学教授の麻生武志氏が中心となって創設された団体Healthy Aging Projects for Woman(HAP事務局、TEL 03-5464-3360)は、更年期症状の正しい理解を広めることを目的とする。HRTに関する情報収集と提供、医療従事者対象のセミナーや一般向け公開セミナーなどを行い、更年期女性の悩みの受け皿となる組織を目指している。

 胎盤エキスを用いたプラセンタ療法も注目度大

また一方で、プラセンタ(胎盤)エキスを用いた医療に再び関心が集まっている。プラセンタ療法を中心とした医療を行っている高輪クリニック(東京都港区)では肝臓疾患、更年期障害、骨粗しょう症にプラセンタ製剤を使用。岡崎敬得院長は「プラセンタは免疫力を向上させ、ホルモンのバランスを整える働きがある。湿疹、ニキビ、アトピーの治療にも効果が上がっている。現代医療の足りない部分を補う補完医療として、患者本意の医療として考えている」と語る。プラセンタ療法の社会的認知を広めるために、院内にメディカルプラセンタ研究会を設置。医師らの情報交流に加え、研究事業も手掛けている。

同じくプラセンタ療法を行う江戸川メディカルクリニック(東京都江戸川区)では、美容を目的とした自由診療を中心に行っている。外来はほとんどが女性で、30代、40代が中心。更年期障害の治療にも力を入れており、倦怠感や冷え症、ほてり、自律神経失調などに治療効果を上げている。

 更年期症状や骨粗しょう症対策は植物性エストロゲンで

フィトエストロゲン(植物性エストロゲン)を利用したサプリメントが欧米で人気だ。特に日本の伝統食の代表格である「大豆」は、疫学調査などによって日本人の長寿の鍵を握ると言われている。日本女性が欧米女性に比べて更年期障害の症状が軽いとの報告があり、その鍵を握る成分として大豆中のダイズインやゲニスチンなどの大豆イソフラボンが注目されているのだ。

イソフラボンは、これまでの研究によって、更年期障害や骨粗しょう症に対する改善効果、乳がんや前立腺がんの予防、抗動脈硬化などが報告されている。そのため近年はイソフラボンを主体としたサプリメントも増えている。

(株)ホーネンコーポレーションではイソフラボンとビタミンK2を配合したサプリメントを用い、女性長距離ランナーの疲労骨折に対する検討。2000年に開かれた日本補完・代替医療学会(JCAM)では、K2をバランスよく摂取することが骨粗しょう症の予防につながると指摘した。また大豆発酵食品である納豆には血栓溶解酵素ナットウキナーゼが含まれており、近年の研究では心臓病や老化の予防、記憶力・集中力の向上が報告されている。こうした機能を強化した納豆も発売中。(株)朝日フレシアから発売された納豆「金の粒ほね元気」で、K2を通常の納豆の1.5倍以上含み、特定保健用食品の許可を受けている。

大豆と同様にエストロゲン活性をもつものでは、タイ産の植物グア−オクルア(学名Pueraria mirifica)がある。1960年、NATURE誌にエストロゲン様作用のある植物として取り上げられ、欧米の研究者の目に留まるところとなった。

また中国では、冬虫夏草の人工栽培から生まれた「北虫草」を利用する場合もある。未病医学研究センター代表の劉影医学博士は「北虫草は日本でも基礎研究の一部が終了した。未病医学見地から検討したところ、お血の改善傾向が一部見られた。2001年以降、女性の_血に対してさらに研究を進める」としている。

イソフラボンの機能報告

2000年11月に行われた日本補完・代替医療学会では、発酵により糖を除去した大豆イソフラボン・アグリコン(IFA)の更年期女性に対する機能が報告された。
 
研究はニチモウ(株)と東京女子医大成人病センターの共同で行われた。更年期女性3名を対象に、IFA40mg/日を4週間摂取させたところ、更年期指数(SMI)の低下が確認された。
 
動物実験においては、IFAの投与によって、尿中NE量が低下し、餌の摂取量が減少し、結果として体重増加が抑制される所見が得られている。

(Medical Nutrition 21号より)


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