「内分泌・代謝疾患」血糖値上昇抑制の素材がめじろ押し

内分泌・代謝領域では、1400万人とも言われる糖尿病患者とその予備群を対象に、豊富な学術データに裏付けられた製品が相次いで発売された。その中には、厚生労働省によって保健用途の表示が認められる「特定保健用食品」も見受けられる。企業の取り組みと診療実態を取材した。


 「血糖値が気になる方に」の特保表示が糖尿病予備軍に大きな関心

「血糖値が気になる方に」――(株)ヤクルト本社が販売するグァバ茶「蕃爽麗茶(ばんそうれいちゃ)」は、2000年5月に特定保健用食品として厚生省(当時)から表示許可を得た。蕃爽麗茶はその前年度から販売されているが、特保表示許可後の広告がきっかけで売れ始めた。現在は飲料部門のヒット商品(月間380万本:2000年11月)となっている。同社広報室の新純生課長は「“血糖値が気になる方にというキャッチコピーは多くの反響を呼んだ。こうした商品は説明を要すため、納得して理解してもらうのに特保表示は効果があった」という。同品の問い合わせは主に糖尿病予備群の人々で、同品のねらいと違わない。無糖であることも、利用者を引きつけ、継続愛用者は増えているようだ。問い合わせのなかには糖尿病罹患者もいるが、同社では医師と相談することを促している。

サラダ油や医薬品事業で知られる日清製油(株)は2000年12月、特定保健用食品「食事のおともに食物繊維入り緑茶」をグループ会社を通じて発売した。これは難消化性デキストリンを関与成分とし、小腸での糖の吸収を阻害する作用がある。同社ヘルスリンケージ推進室の藤平幸男室長は「医薬品と食品のニュートラルゾーンとして、今後も生活習慣病の予防に役立つ機能性食品を開発していきたい」と意欲的だ。

 食後の血糖値上昇抑制効果に医師が開発した健康茶

医師サイドからの開発もある。未病医学研究センター(東京都世田谷区)の劉影医博は、東洋医学の「医茶同源」の思想に基づき特定保健用食品「RY流糖茶」を開発した。難消化性デキストリンを主成分に、霊芝、ハトムギなどを配合したもので、食後の血糖値上昇抑制効果を厚生労働省が認めた。「今後は未病、既病といった個人の状態に応じての東西統合医療が進むでしょう」と、劉医博は開発の経緯を語る。食事と一緒にこのお茶を飲むことで、血糖値の上昇を抑制できる。また、2000年の日本代替・相補・伝統医療連合会議では、RY流糖茶飲用によるHDLコレステロールの上昇が報告されている。

 伝統植物の利用

インドの伝統医学アーユルヴェーダでは、糖尿病患者ののどの渇きに対してサラシア・レティキュラータという植物の浸出液を用いる。森下仁丹(株)の研究グループはそれに着目し、同植物の水抽出物(SRE)の食後過血糖に対する機能を検討した。その結果、ショ糖摂取5分前にSRE200mgを服用すると有意な血糖値上昇抑制が見られた。

一方、欧米の植物キクイモにも、血糖に対する機能がわかっており、慈恵クリニック(奈良県大和郡山市)の山田義帰院長は、糖尿病患者にキクイモエキスを用いている。キクイモの根塊にはイヌリンという多糖体が含まれ、このイヌリンに血糖値降下作用があるとされる。山田医師は糖尿病患者(32歳男性)の有効例を経験しており、今後も使用していくとしている。

雪印食品(株)は医療機関と共同で、リンゴに含まれる食物繊維ペクチンを加工した食品の介入試験を行った。対象は男性ボランティア59名。このうち血中総コレステロールが220mg/dl以上の者(A群)は36名、220mg/dl未満の者(B群)は23名であった。

試験食品3.4g/日の1ヵ月の摂取では、両群ともに変化は見られなかったが、6.8g/日(ペクチンとして3g)を摂取すると、A群では1ヵ月で総コレステロール値が有意に低下した。B群では変化はなかった。ペクチンは特定保健用食品の素材として認可されており、コレステロールが高めの人の補助食品として使われている。

企業開発担当者より カイアポイモの機能研究
富士産業(株) 企画開発部小嶌正聖氏

ブラジル原産の植物・カイアポイモの機能研究に取り組んでいます。これは白甘藷の一種で、現地では健康維持のために古くから利用されてきました。最近になって糖代謝に及ぼす影響がわかり、オーストリアのウィーン大学で臨床研究が行われました。結果は2000年6月の全米糖尿病学会および9月の欧州糖尿病学会で報告されています。その一部を抜粋しますと、試験は2型糖尿病患者18名を対象とした二重盲検試験で、6週間、カイアポイモまたはプラセボを投与しました。被験食の高用量群(4g/日)では、投与後に空腹時血糖値、HbA1c、およびコレステロール値の有意な減少が認められたほか、耐糖能の改善も認められました。これまで動物レベルでは、カイアポイモによる血中グルコース濃度の減少が証明されていますが、ヒトでの比較試験においても有効性を示したものです。

(Medical Nutrition 22号より)


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