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免疫能向上が期待できる機能性食品素材 免疫能を向上させる手段として健康食品が利用されている。医療機関で治療に平行して導入したり、あるいは患者に推奨したりするケースも少なからず増えつつある。ここでは、医療現場からも注目されつつある健康食品のなかから、免疫能向上が期待される食品素材を取り上げ、研究動向を紹介する。
ここ数年のうちに脚光を集め、優れた抗腫瘍効果があるとされる メシマコブ。スーパーオキシドアニオンラジカルを分解する強力なSOD様作用を発揮するとされている。医療機関や診療所でも用いられるようになり、各種データもそろいつつある。2000年の日本生物工学会でも、それを裏付ける研究成果が発表されている。研究はIBIと山梨大学・兎束保之氏らのグループによって発表されたもの。 研究テーマは「メシマコブ菌糸体の培養特性」。マウスの背中にがん細胞(Sarcoma180固形がん)を植付け、2週間にわたってメシマコブ菌糸体の熱水抽出物を投与した群と、アガリクスの抽出物を投与した群、さらには生理食塩水を投与した群の3パターンで比較検討し、腫瘍細胞移植後16日目にその腫瘍重量を測定した。 結果は、なにも投与しないマウスの腫瘍増殖率を100%とした場合、メシマコブ菌糸体の抽出物は33%、アガリクスは52%の増殖率だったという。 この抗腫瘍活性試験(マウスS-180固形がん細胞)では、腫瘍重量比率の平均値でメシマコブ菌糸体はアガリクスよりも高いポイントで抑制することが示されている。 メシマコブの薬理作用に対する研究は、ほかにも北里大学大学院医療系研究科情報薬理学部、山梨医科大学、山梨学院大学食物栄養学科、山梨大学工学部化学生物工学科、静岡大学等が進めている。また、山梨県・甲斐きのこ組合がメシマコブ菌糸体の培養に取り組んでおり、成果をあげている。
ハタケシメジから抽出した多糖を精製し、抗腫瘍活性を調べている、元三重大学医学部助教授・伊藤均氏、三重大学生物資源学部教授・久松眞氏、永昌源総合研究所研究員・卯川裕一氏らの研究グループは、新たにハタケシメジ熱水抽出物を経口投与した場合の抗腫瘍効果について検討結果を報告している。 抗腫瘍活性試験では、Sarcoma180固形がんを移植したマウスに、ハタケシメジ熱水抽出物(250mg/kg、100mg/kg、25mg/kg)を3ヵ月間投与し、その抗腫瘍効果(腫瘍サイズ、生存率)についての検討が行われた。 対照群のマウスの平均腫瘍サイズは、13週目まで緩やかに大きくなり、腫瘍接種3週間後で8.9cm3、4週間後で13.6cm3、13週目で17.2cm3であったが、ハタケシメジ熱水抽出物投与群においては、投与量250mg/kgでは、腫瘍接種3週後でわずか0.38cm3、13週経過後でも7.2cm3と対照群の腫瘍サイズの半分以下となった。 一方、生存率では、腫瘍接種5週目で対照群は半分以下にまで下がったのに対し、熱水抽出物250mg/kg投与群では100%、100mg、25mg/kg投与群では71.4%の生存率となった。また、13週後の生存率についても好成績を得ている。 これらから、分子量約30万の_-1
マスコミ等にもたびたび取り上げられ一般にも馴染み深いきのこ、マイタケ。亜鉛、銅、カリウム等のミネラルのほかにビタミンDとナイアシンを多く含んでいる。2000年の日本癌学会では、マイタケによる、AOMラット大腸発がんの抑制効果と、フリーラジカル抑制効果についての検討結果が報告されている。 これによると、マイタケ抽出物MD-フラクションはヒポキサンチン−キサンチンオキシターゼとフェントン反応において高い活性酸素消速度を示しており、抗腫瘍作用と優れた活性酸素消去能をもつとの発表がなされた。 難波宏彰氏(神戸薬大)らは日本薬学会で、マイタケ子実体中から得た_-グルカンが、マウスにおける抗腫瘍効果があるとし、MD-フラクションのほかの細胞に及ぼす作用をマウスの各器官細胞を用いて検討した結果を報告した。 この結果、腹腔内マクロファージは1.6倍、脾臓細胞は1.9倍、骨髄細胞は3.2倍、パイエル板細胞の活性は1.2倍と増強されることが認められた。さらに、サイトメトリーによる抗CD69モノクローナル抗体による検査では、特に細胞の活性化比率が4.1倍と顕著に増え、これらのことから、MD-フラクションはマクロファージやT細胞以外の免疫担当細胞にも直接あるいは間接的に作用すると同グループでは推測をしている。 また、細胞賦活効果を検討した他の報告でも、MD-フラクションにおいて高い細胞増殖率が示されているという。
きのこ類の抗がん作用では、食用きのこに優れた活性が認められ、「医食同源」が改めて認識されるようになってきている。代表的な食用きのことされるエノキタケ、ヒラタケ等のきのこから分離した_-1 エノキタケ子実体から分離したEA6は、ルイス肺がんを用いた実験で、10mg/kgまたは5mg/kg経口投与すると、それぞれ39、34%の延命効果を示したとの報告がある。このほかにもB-16メラノーマに対してEA6は、10mg/kgで22%、EA6の主要成分EA6_P_は5mg/kgで36%、20mg/kgで42%の強い延命効果を示したと重ねて報告している。 食用きのこの臨床研究としては、エノキタケ生産農家の疫学調査が長野県農村工業研究所から報告されている。この調査は1972年から1986年までの15年間を対象としたもので、これによると長野県におけるエノキタケ生産農家のがん死亡率は、同県全体のがん死亡率と比較して有意に低いとの結果が出ている。しかし、食用きのこ摂取とがん罹患率との関連性についてはまだ詳しく究明されていない。そのため現在、同研究所と国立がんセンター研究所臨床疫学部のグループが中心となってcase-control研究が進められている。
CPL(Cyclic Polylactate、環状重合乳酸)は、天然型の乳酸オリゴマー構造を持つ低分子の乳酸重合体。90年に合成が可能になり一部の医療機関で導入されてきたが、近年は再び医療機関の導入例が増えている。 2000年11月の日本補完・代替医療学会では悪性卵巣腫瘍患者のQOL改善について症例が報告されている。症例はがん性疼痛を訴える悪性卵巣腫瘍及び肺気腫の79歳女性。腹水・胸水貯留があり、化学療法及び手術は不適応とされ、治療は対症療法のみを行っていたが、インフォームド・コンセントのもとにCPLの長期飲用とQOL調査を実施した。「がんの薬物療法におけるQOL評価表」による評価では、CPL飲用による身体状況の変化はほとんど見られなかったが、活動性、社会面、精神面、全体的QOL、総得点で著しい向上が認められている。面接調査では、飲用5週目には痛みをはじめとする諸症状の緩和が認められ、13週目には痛みが完全消失。同じく13週目から腫瘍を触る感触に変化が現れ、27週目で腫瘍の軟化の自覚が現れた。 CPLのがん細胞に対する作用機序の一つには、がん細胞へのエネルギー供給を行う嫌気的解糖系の酵素ピルビン酸キナーゼと乳酸脱水酵素(LDH)の活性の阻害が考えられる。特にLDH活性を阻害する働きが強く、がん細胞の細胞質の空胞化・膨化・核の崩壊・凝集化を起こす。さらに細胞膜を含んだ細胞全体の変性・脆弱化を起こしてがんの増殖を抑制し死滅させるとされている。通常、細胞が退化する場合、形態学的には退行性変化が核に起こってから細胞質の変化へと続くが、CPL投与ではがん細胞の核濃縮・崩壊・溶解などが細胞質の退行変性と前後して見られるため、細胞小器官の働きを強く阻害し、細胞全体の増殖機構に影響すると考えられる。NK細胞の活性化も報告されている。
抗腫瘍活性などが報告されているアガリクス・ブラゼイ(学名Agaricus blazei Murill)には_-グルカンをはじめヘテログルカン、糖たんぱくなどの高分子多糖体が含まれている。抗腫瘍効果などの報告が80年代に相次ぎ、多糖類ではこれまでの基礎研究で、マクロファージなどの免疫細胞、細胞内皮機能の活性化、インターフェロンなどのサイトカイン誘発促進、免疫賦活作用による延命効果が報告されている。このほか含有成分によって細胞毒性によるがん細胞増殖阻止効果、がん予防効果、血糖下降効果、血圧降下・コレステロール低下・動脈硬化の改善などが報告されている。 一方、最近の研究では、腸管免疫の観点から低分子化合物に関心が集まり、アガリクスに関しても検討がなされている。2000年6月の日本代替・相補・伝統医療連合会議(JACT)大会で金沢大学薬学部の太田富久教授は、アガリクスの熱水抽出エキスの低分子画分からマウスへの経口投与で腫瘍増殖阻害率83%を示す画分を見出している。またこの画分については、東京医大の星野泰三講師によってNK-T細胞を増やすことが報告された。
プロポリスは免疫能向上を期待して利用される健康食品の代表的な素材だ。 プロポリスエキスにはフラボノイドが多量に含まれているが、抗腫瘍成分としてはクレロダン型ジテルペンやアルテピリンC、キナ酸のカフェイン酸誘導体などが見出されている。アルテピリンCの抗腫瘍作用については丸山ワクチンの研究で知られる故・木本哲夫川崎医科大学名誉教授が報告している。またプロポリス研究が盛んな富山医科薬科大学では、門田重利教授らの研究グループが、これまでにメタノール抽出分画と水抽出分画で計27成分を構造決定し、各成分の腫瘍細胞に対する細胞毒性活性やH・ピロリ菌への抗菌活性、ラジカルスカベンジ作用を報告している。産地によってプロポリスの構成成分は異なるため、門田教授は「人の健康増進が計られるためにも規格化などの品質評価法の確立が重要」と警鐘を鳴らしている。 またプロポリスを医療に取り入れる臨床医が比較的多く、2000年11月の第3回日本補完・代替医療学会(JCAM)では、悪性リンパ腫や高血圧、糖尿病、肝炎、アトピー性皮膚炎など幅広い症例が報告された。 (Medical Nutrition 23号より) |
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