“健康診断”にも使える個別対応型の免疫測定システム

養子免疫療法をはじめ免疫活性剤の投与、健康食品の推奨、精神免疫学的な心理療法など免疫療法を進めていく上で、患者の免疫能評価が治療効果の向上に役立つ。SRLなど臨床検査会社では研究検査としてインターロイキンや抗インターフェロン抗体、各種サイトカインなどの検査項目が用意されているが、ここでは一般診療所が導入可能な免疫能測定検査システムを紹介する。


 末梢血液分析からみた免疫能

BVPM顕微鏡を使った末梢血液分析の目的は、血球、血漿成分及び血液凝固状況を観察することにある。東洋医学は、身体機能を体表から判定し治療するが、末梢血液分析は内部から身体の機能を把握し改善する機能性医学である。

血液凝固機序は、Intrinsic及びExtrinsic Pathway があるが、BVPM顕微鏡を開発したアメリカンバイオロジックス社(本社・カリフォルニア州)では、Alternative Pathwayの存在を想定している。この考えによると、HLBではT及びB細胞の機能低下は、写真のような形態を呈し、可溶性フィブリンが40ミクロン以上になると腸または腸内細菌の異常の可能性があり、これが腸管免疫の低下を示すシグナルとなる。

日本で臨床応用する鈴木秀夫医師は、「LBAでの免疫機能低下所見として、白血球系では好中球(PMN)の顆粒数の低下並びにその動きの低下、PMN自体のstreamingの低下が見られる。リンパ球では核の切れ込みが認められる。また赤血球では間接所見ではあるが、crenation 等の変形が多数見られる。血球以外では、真菌や細菌が多数認められた」と話す。

免疫能を正常化するためには、単にNK細胞等の活性化のみを見るのではなく血液分析により血液成分全体の機能を把握する必要がある。同分析方法は、血液全体像の所見をモニターすることにより現在の治療の良否を判断する検査手段であり、かつ投与すべきサプリメントの種類とその実用効果の検証にも応用可能となる。

 免疫検査で適応薬剤を判定

採血から患者の免疫能を測定すると同時に、インターロイキン2やピシバニール、十全大補湯、補中益気湯、さらには健康食品などを使用した場合の免疫応答を測定する検査システムが、がん治療の指標として使用され、適応薬剤の判定に利用されている(表参照)。検査システムを提供する免疫分析研究センター(MBK)は免疫療法に関する検査・研究を行うベンチャー企業で、病医院にシステムを提供するとともにATK誘導療法の補助を行っている。

免疫能測定検査では、50ccの採血から分離したリンパ球に、薬剤を添加して反応させ、標準がん細胞K562に対する活性度を測定する。予めリンパ球を活性化させる薬剤(BRM)とその濃度を個別に判定することで、最適な薬剤および濃度を決定し、がん治療を効率化することができる。京都、大阪、岡山、熊本に協力病院(7病医院)があり、約30万円の患者負担で検査を受け付けている。また希望者に対しては検査結果を踏まえ、故・内田温士京都大学教授が開発したATK誘導療法の適否が判定される。

また、この検査技術を応用し、がん予防のための健康診断やがん摘出手術後の転移・再発予防のための検査、健康食品や各種薬剤の免疫賦活作用の測定__も行われている。なかでも最近は健康食品の免疫賦活能測定の依頼が増える傾向があり、健康食品摂取前と摂取1カ月後の免疫測定・報告を行っている。被験者9名で費用は約300万円。

●免疫系の変化をイムノドックで察知

「がんは免疫病」。こう指摘するのはイムノドックを開発した横浜コンフォート病院の宇野克明医師。遺伝子変異が、がん発生の原因と考えられているが、宇野医師は「人体を構成する何兆という細胞の活動において日々、遺伝子変異が生じたとしても不思議ではない。それが免疫系によって監視、排除されることで平穏が保たれていることを考えると、むしろ遺伝子変異の問題は普遍的なものとして認識することが適切」という。
 
イムノドックでは、ヘルパーT細胞亜集団(Th0、Th1、Th2)、ナチュラルキラー細胞活性などの免疫担当細胞検査を行い、さらにインターロイキン12やインターフェロン_などのサイトカイン検査を実施する。これは、がんに関連する免疫機構は、細胞性免疫による作用が中心的役割をなし、それに加えて免疫生理活性物質(サイトカイン)が重要な役割を演じていることが、多くの研究成果により判明しているからだ。
 
体内にがんが存在する場合、がん関連の物質(がん抗原蛋白)が血液中、体液中に放出され、免疫細胞であるマクロファージや、樹状細胞などの抗原提示細胞(APC)に補捉される。するとがん抗原蛋白は、細胞内での処理を経て、がん抗原ペプチドとして再構成された後、主要組織適合性抗原クラス_分子(MHC−class_)とともに細胞表面に出現する。この段階でAPCより放出されるインターロイキン12の作用により、Th1細胞への分化・成熟が促進され、さらにTh1細胞の成熟によってインターロイキン2、インターフェロン_などのTh1サイトカインが放出される。
 
この一連の反応により、キラーT細胞やNK細胞が活性化されて、がんを攻撃することが可能となる。従って宇野医師は、「担がん生体における病態には免疫防御機構の存在が重要。その免疫動態を探ることは、画像診断等ではわからないがんの兆候を把握することにつながる」と話す。

(Medical Nutrition 23号より)


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