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消化器疾患対応の食品素材 「おなかによい」素材としてなじみ深いオリゴ糖をはじめ、代替医療で汎用されるプロポリス、最近日本でも使われ始めたギリシャマスティックなど、消化器疾患への機能が研究されている素材を取り上げ、その研究動向を紹介する。
マッシュルーム抽出エキスであるシャンピニオンエキスが、胃腸症状を改善したり善玉ビフィズス菌を増加させる作用がある食品素材として、介護現場や療養型病床群で利用されている。 土崎病院(秋田市)内科の阿部二郎医師らが行ったシャンピニオンエキス経口投与の臨床例では、胃腸症状に特変なく便性の改善、便臭の低減、血中アンモニアの低下などに有効であることが確認された。試験は、同病院老人病棟に長期入院中の患者14人に30日間投与し、10日毎に胃腸症状の問診・介護者による便臭官能検査・便中ガス測定・血中アンモニア定量を調べた。 投与後30日目の症状は、「調子良い」6人、「やや調子良い」2人、「特に問題なし」6人で全被験者14人中便秘が改善し、特に問題なしが6人、残り8人が投与後に胃腸症状の調子が良いとの結果を得た。便中ガス濃度と血中アンモニア濃度の測定でも、投与30日後には被験者全員がアンモニア、メチルメルカプタン濃度が極めて顕著な減少を示した。
プロポリスは、ミツバチが巣を外部から守るために樹液や植物色素系物質、香油などを集めて作った巣の構造物。フラボノイド類を多量に含み、主に抗菌作用や抗酸化作用、免疫賦活作用、肝保護作用を期待して使用される。巣箱が設置された環境によって、起源となる植物が異なるため、含有成分も環境に左右される。 プロポリスの消化器系に対する薬理作用のなかでは、抗菌活性の研究が進んでいる。富山医科薬科大学和漢薬研究所の門田重利教授らの研究グルーでも、プロポリスの抗H・ピロリ菌活性を研究しており、含有成分のラブダン型ジテルペン及びフェノール性化合物に抗H・ピロリ菌活性を見出している。臨床医のなかにも支持者が多く、「食道がんや舌がん、胃がんなどには直接的に作用する」として特に消化器系のがんに使用する意見もある。 胃潰瘍8名及び十二指腸潰瘍120名に対して自覚症状がなくなるまでプロポリスを1日3回投与した臨床試験がある。ほとんどの患者はプロポリス投与後3〜5日で胃の痛みの訴えがなくなり、平均30〜35日に治療の目的は達成された。胃酸の分泌は正常化し、嘔吐や胸焼けがなくなった。治療前にレントゲン検査を行った113名については、潰瘍が消失。重症患者6名の潰瘍も縮小が確認された。さらに治療前に肝臓肥大と診断された36名の患者に関しては、ほぼ正常な状態に回復した。ドイツでは承認されたプロポリス製品(エキス)をうがい薬としても用いている。
マスティックとは、ギリシャのヒオス島に自生するかん木のこと。現地ではこの木の樹皮の間から分泌される樹液をガムのように噛むことで、口腔、消化器の健康を維持する習慣があるという。詳しい作用機序は解明されていなかったが、98年12月、イギリスの研究者が、マスティックがin vitroでピロリ菌に対して抗菌力を有することを報告している。 日本では、胃部の自覚症状を有するボランティア7名に対して、マスティックカプセルを摂取させる試験が行われている。この7名は、いずれも胃の痛み、不快感、食欲不振等の自覚症状を有していた。1カプセル中にマスティック樹液エキス約0.11gを含有するカプセルを、1日9カプセル、1ヶ月にわたり摂取させた。その結果、5例で摂取2〜3週目に自覚症状の改善を認め、効果は試験終了時まで持続した。1例に軟便、2例に下痢が認められたが、食後摂取への切り替え、または減量により回復した。
他のハチミツに比べ8倍の効力があるとされるマヌカハニー。ニュージーランド特有のフトモモ科の低木から採取される。マヌカハニーのもつ抗菌作用は、4〜15のUMF(ユニークマヌカファクター)数値で表される。今までの研究から、この数値が高いほど抗菌作用が強いことが実証され、ワイカト大学では、UMF10以上のものに証明書を出している。 現在、日本ではUMF10+、「UMFアクティブマヌカハニー」(総発売元:アオテアロア)がこの認定を受けているUMFは、身体の組織と血清にあるカタラーゼ酵素にも影響されないとされ、過酸化水素の抗菌作用に加え、2つの抗菌作用化合物が相互作用をもたらす。 消化性腫瘍では、胃の生検からとったヘリコバクター・ピロリが寒天中においてアクティブマヌカハニーUMF10%溶液は20%V/Vまで敏感であるという拡散分析効果がよくみられた。さらに、UMF10%の5%V/V濃縮の最小抑制では、72時間定温放置してもヘリコバクター・ピロリを完全に抑制したとの報告がある。
腸内でビフィズス菌(善玉菌)の餌となり、腸内バランスを整える機能をもつオリゴ糖。「ラフィノース」は、北海道で育ったビート(甜菜)から抽出された天然オリゴ糖の一種で、自然界では麦類、豆類に微量が含まれている。ラフィノース投与による腸内ビフィズス菌の変化をみると、健康成人7名、15g/日投与の試験結果では、総菌数に対するビフィズス菌の割合が投与前15.5%であったのに対し、投与2週間後では80.1%と増加したとされている。 歯周病について研究を続けている日本歯科大学鴨井久一教授は、歯周病の治療・予防の一環としてラフィノースに注目している。健康な男女10人に1回3gを1日3回服用し、1週間ごとにリンパ球増殖反応(PHA)、多形核白血球(PMN)の貪食能、腸内細菌叢について調べたところ、ラフィノースを投与することで、ビフィズス菌の割合が上昇し、リンパ球の増殖反応があり、貪食能も上昇した。特に身体の免疫力に大きく関与している「T細胞」のリンパ球が著しく増加し、免疫細胞機能を高めることを確認している。 (Medical Nutrition 24号より) |
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