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「整腸」から「抗ピロリ」まで食品機能に関心高まる 胃・十二指腸潰瘍、胃炎、肝機能異常、便秘など、消化器疾患に対する機能性食品の臨床応用が進んでいる。特に2000年は、New England Journal of Medicineに食物繊維が大腸がんの発症を予防しなかったという介入試験成績が2報同時に発表されたり、ヘリコバクター・ピロリ対応の食品素材の臨床試験成績が発表されるなど、この分野での医療現場の関心の高さが伺える。本特集では、ピロリ菌と食物繊維それぞれの研究者から最新動向を聞くほか、機能性食品を用いた診療実態を紹介する。
2000年9月、アメリカ・テキサス州ヒューストンで開かれた「クランベリー健康効果研究円卓会議」では、これまで主に泌尿器の健康維持に役立つと考えられていたクランベリーに、ピロリ菌に対する抗菌作用が新たに報告された。イスラエルのテルアビブ大学によるこの研究では、抗ピロリ菌作用はクランベリーに含まれる濃縮タンニンとプロアントシアニジンによるとされる。 同じくピロリ菌に対する機能が知られているものとしてギリシャマスティック、ニュージーランドに存在する野生植物マヌカから採れるハチミツ「マヌカハニー」、それに日本で開発された乳酸菌の一種「LG21」がある。また、補完代替医療でスタンダードな素材となりつつあるプロポリスにも、抗ピロリ菌活性が確認された。 天心クリニック両国(東京都墨田区)の井奥昇志院長は、マスティックのサプリメントを消化器疾患の治療と予防に取り入れている。ナチュラルメディスンを志向した医療を行っている井奥医師は、ピロリ菌除菌の目的でマスティックカプセル1日6カプセルを朝と夕方の空腹時に服用するよう指導している。「1ヶ月くらい続けると、50〜60%の症例で改善が見られる。医薬品を使用しない当クリニックでは、対症療法として胸やけ、胃もたれ、吐き気などを訴える患者に対しても勧めている。また、西洋薬による除菌療法の終了後に、予防的にマスティック製品を役立てる使い方も考えられる」と話している。
ニュージーランドのワイカト大・モーラン博士らによって、ヘリコバクター・ピロリ抑制作用が報告されて以来、臨床の現場でも使用され始めているのが「マヌカハニー」だ。マヌカは、ニュージーランドにのみ存在するフトモモ科ネズモドキ属の低木のことで、このマヌカ由来のハチミツがにわかに注目されている。 もともとハチミツには抗菌作用があることが報告されていたが、とりわけマヌカハニーはその作用が優れているといわれている。前述ワイカト大の研究でも、ほかのハチミツでは濃度40%でも抗菌作用を示さなかったが、マヌカハニーは20%の濃度でピロリ菌に対して強い抗菌作用を示している。これらのことから、日頃からマヌカハニーを摂取することは、ピロリ菌を抑制し、胃・十二指腸潰瘍や胃がんの予防に役立つと考えられている。 大分県で大森内科・アレルギークリニックを開業する大森隆史院長は、積極的にマヌカハニーを日々の臨床に取り入れている。大森院長は、ピロリ菌感染胃潰瘍患者に胃液分泌抑制剤と胃粘膜保護剤の投与後、マヌカハニーを摂取させたところ、胃のもたれなどの不快症状が改善された例や、食欲不振を訴える早期胃がん患者がマニカハニー摂取後に、胃の重苦しさも消え、食欲が戻った等の症例を有し、その効果を実感している。 「さらに注目しているのは、マヌカハニーのもつ胃粘膜保護作用です。潰瘍などで傷ついた胃の粘膜をマヌカハニーが保護し、胃酸の刺激を緩和し、胃部の痛み、もたれなどの不快感を抑える作用があるのです。私がマヌカハニーをすすめた患者さんには、このような例が多くみられます」(大森院長)。
特定保健用食品として、整腸作用を謳うことが厚生労働省から認められている食品素材に、オリゴ糖などがある。オリゴ糖は腸内でビフィズス菌の「エサ」となり、ビフィズス菌を特異的に増殖させる生理作用がわかっており、腸内細菌叢をコントロールすることで整腸作用、特に便通を穏やかにする働きがある。 ある大学病院では、入院患者の生活指導の一環として、便秘に対してオリゴ糖食品の摂取と腹部マッサージの併用を試みている。その結果、対象となった10名中6名に排便回数の増加を、8名に便性状の軟化を認めた。指導にあたった看護婦は、オリゴ糖の利点として(1)患者への負担が少なく、(2)腸内細菌叢の改善による健康増進効果を期待できる、(3)下痢になりにくいため失禁する可能性が低い――などを挙げている。 また、「オリゴ糖を健康食品として知っていたが、実際の効果についての知識に乏しく、便性改善の一方法として積極的には考えていなかったが、『食』という日常生活レベルでの対策を講じることに意義がある」とコメントしている。
機能性食品を治療以外に役立てる方法も研究されている。善正会上田病院の藤田昌英医師は、便秘があるとがん発見率が低くなることから、大腸がん検診の前処置に食物繊維を含む機能性食品を摂取して便通を改善する方法を考案した。その方法は2000年の消化器集団検診学会で報告された。大腸がん検診では、腸内での便の滞留中に起こるヘモグロビン変性のために偽陰性になったり、一方で硬便の通過による肛門粘膜からの出血で偽陽性になる可能性がある。前処置食には、安全性はもちろん、その成分が検査に影響を与えないこと、速効性で低価格であることが求められる。 (Medical Nutrition 24号より) |
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