教育とサポートがある統合医療

 <第8回> コーヒー浣腸について

 食事・栄養・解毒・通常療法の統合/ゲルソン・インスティテュートの実例から

 ジャーナリスト 氏家京子

 デトックス (解毒) ばやりの昨今、 体内に積もった毒素の排泄手段のひとつとして、 この日本でも 「コーヒー浣腸」 が一般的になりつつある。 今回は、 ゲルソン療法には欠かすことができないコーヒー浣腸について述べる。



 肝機能を回復させるためのコーヒー浣腸。 

危険な間違いと誤解。本連載の第2回でも触れたが、 ゲルソン療法の一部を真似て 「ニンジンジュースはたくさん飲むが、 浣腸はしない」 というがん患者さんがいるとすれば、 それは危険なことだ。

細胞の解毒は、 発がん性物質 (毒) を細胞外に出すことだが、 次にそれは血流中にどんどん流れ込み、 まずは全身を巡る段階にくる。 約3分間で全身を一周するといわれる。 身体機能が正常であれば、 血流中の毒素は、 皮膚・肝臓・腎臓などの器官を通じて体外へ出されてゆく。

しかし、 がん患者の身体機能に、 この解毒過程を通常通り期待することはできない。 これを放置すると、 血流中を流れる毒素は全身を巡りつつ、 再び細胞に逆戻りするか、 皮膚・肝臓・腎臓などの解毒器官に蓄積し、 その代謝を一層悪化させてしまう。

だからこそ、 ゲルソン療法では菜食やサプリメント摂取に加えて、 肝機能を回復させるためのコーヒー浣腸、 腎機能を回復させるためのスープ摂取、 皮膚からの解毒を促す必須脂肪酸オメガ3の摂取などを同時に行なう。

また、 「ニンジンジュース療法を行なうと、 皮膚の色がニンジンのような黄色 (オレンジ色) になる。 これは、 ニンジンに含まれているカロテノイドの色素なので、 よく飲めている証拠。 黄疸ではないので安心」 という宣伝文句があるとすれば、 それも注意が必要である。

なぜなら、 黄色くなる理由が黄疸ではなく、 色素蓄積だとしても、 その人の肝臓がよく働いていれば、 皮膚が黄色く見えてくる前に代謝されるものだからだ。

それが、 「飲めば飲むほど黄色くなり、 色が濃くなる」 のであれば、 肝臓の機能が低下している証拠。 これは、 欧米でジュース療法を提唱している人たちにとっては常識である。

メキシコにあるゲルソン療法のクリニックに行けば、 1日13杯のジュースのうち、 少なくとも8杯のニンジン (+リンゴを含む) ジュースを飲む患者たちに会えるが、 日本人より色の白い白人でも、 皮膚が黄色くなっているのを筆者は見たことが無い。

したがって、 カロテノイド色素をすみやかに代謝できるレベル以上にまで、 肝機能を回復させる必要がある。 コーヒー浣腸は、 このためにも有効なのである。


 浣腸によるフレア・アップの改善。  

浣腸と飲用の違い さて、 コーヒーの健康効果を証明するような研究が次々と発表されるようになった。 がん予防、 肝臓病予防、 動脈硬化予防、 ダイエットなど様々で、 コーヒーショップでは良い宣伝材料となっている。

しかし、 ゲルソン療法ではコーヒー浣腸を毎日数度行っても、 その飲用は限定している。 浣腸による効果と、 飲用による効果には大きな違いがあるからだ。

このメカニズムはまだ解明されていないが、 ゲルソン療法を行なってきたマックス・ゲルソン医師とゲルソン・インスティテュートの経験では、 浣腸では胆管が拡張して胆汁の排出を促し肝機能の改善に役立つ一方、 飲用では胆管が収縮することがわかっている。

ゲルソン療法を行なうがん患者がコーヒーを飲むのは、 2日に1回、 起床時だけ。 これは、 患者によっては行なえないケースもあるが、 2日に1回なのは、 ひまし油浣腸とセットになっているためである。 通常のゲルソン療法を行なう場合、 がん患者は2日に1回、 必ずひまし油を使った浣腸を行う。 その処方は 『【決定版】ゲルソンがん食事療法』 (徳間書店) に詳しいが、 コーヒー以上に解毒力にすぐれたひまし油を浣腸に用いる際、 その効果を高める目的で、 朝起きぬけに患者はひまし油を大さじ2杯飲み込む。 ひまし油は栄養として分解・吸収されないため、 喉を通すのに非常に苦労する。 そこで、 消化管をなるべく素早く通すために黒砂糖を入れた一杯のコーヒーで消化管を刺激しながら流し込むのである。 黒砂糖が入るのは、 消化管を活動させるための燃料を補給する目的がある。 コーヒーの栄養的な問題としては、 禁止されている豆類のため、 その含有脂肪が良くないが、 ナトリウムが少なく高カリウム食品である点では問題が無い。 コーヒーの良い点、 悪い点を比較した結果、 このような限定的な利用に留まっている。

浣腸によるフレア・アップの改善 こんな経験談がある。

ある時、 日本人で子宮体がんの若い娘さんが、 ご家族の協力の下、 正確なゲルソン療法を行なってがんを治すことを決意された。 初めから全てを行なうのは無理なので、 とにかく適したジューサーを購入し、 オーガニックの野菜やライ麦パンを買い揃え、 食事とジュースからスタートした。 ちょうど一週間が経った時、 その女性は頭を動かすこともできないほどのひどい頭痛に襲われた。 そのとき、 それまで躊躇してやっていなかった浣腸のことを思い出し、 思い切ってコーヒー浣腸を行った。 すると、 たった一度の浣腸で、 ウソのように激しい頭痛が解消された、 という。

これは、 典型的なフレア・アップと思われるもので、 ジュースと食事だけでも毒素の排出が始まり、 それが血中に流れ出して頭痛の原因になっていたと考えられる。 こうした、 ゲルソン療法によるフレア・アップと付き合ってゆくためにも、 コーヒー浣腸は欠かせないものである。

お知らせ:現在、 米国ゲルソン・インスティテュートが認定したクリニックなどの医療施設は日本には無い。 類似商法には慎重に御検討をしていただきたい。

(Medical Nutrition 81号より)


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