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第5回 アンチエイジング(抗加齢医学)
抗加齢医療の柱は「気」に基づく医学。 統合医療ビレッジ生活習慣病内科統括医・青木 晃
抗加齢医学 (anti-aging medicine) は一言で言うならば、 健康長寿を目指す究極の予防医学といえる。 わが国は世界一の長寿国として知られているが、 必ずしも高齢者の誰もが健康に生きているわけではなく、 現状は寝たきりや、 病院に長期に渡って入院している老人も少なくない。 単純に平均寿命を延ばすということではなく、 生活の質 (Quality of Life=QOL) の高い状態で元気に長生きできるようにすることが、 真のアンチエイジングの目指すところでもある。
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アンチエイジングとオプティマル・ヘルス。 |
ストレスフルな現代文明社会においては、 体の内部環境は様々な外的因子によって攻撃を受け、 蝕まれている。 病気とまではいかなくてもどこかしゃきっとしないということは多くの現代人に共通した問題であろう。 心身ともに100点満点の健康状態にあるという者はほとんどいない。 ゼロ点以上のところに位置する人 (すなわち患者、 病人ではない) でも、 50点そこそこの人 (まさに 「半健康人」)、 10点以下でもう少しでマイナスに行ってしまいそうな人、 98点くらいでほぼ良好な状態な人…個々人が様々な健康の状態に位置している。
従来の健康保険による医療は病気・疾患をターゲットにした医療であり、 これは健康状態のレベルでいえば、 マイナスのポジションにいる 「患者」、 「病人」 をゼロのレベルまで戻すことを主眼としている。 しかし、 「半健康人」、 あるいは東洋医学でいうところの 「未病」 者を対象にした、 これらの人々の健康のQOLを上げるための医療こそが、 21世紀型の新しい医療の形態であり、 今、 当に求められている。 そして、 実はこれこそがアンチエイジングの本質的な医療のひとつの形であるといえる。
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統合医療的アプローチで健康"状態"を診断するQOLドック。 |
筆者らは、 統合医療ビレッジにおいてこれらの未病者を対象にした全く新しい外来を行っている。 まずはその対象者の健康のQOLを診断する"QOLドック (商標登録出願中)"を行う。 この検査システムは、 西洋医学的なデジタル診断の他に、 東洋医学的に経絡の状態をアナログ診断したり、 位相差顕微鏡での血液細胞分析検査、 免疫システム検査など、 数種類の検査を行い、 統合医療的アプローチをもって、 健康の"状態"を診断するものである。 各人のその時のQOLの点数と状態が明らかとなり、 それぞれの検査の結果、 その時点での健康状態を下げているウィークポイントがわかる。
実はこのQOLドックの結果を説明するだけで、 来院時の様々な不定愁訴がすっかり良くなってしまう例も多く見られる。 大学病院等で精密検査を受けたが、 結果は異常なしと言われたようなケースでも、 QOLドックでは問題が見つけられたりする。 ストレスに対しての反応異常や、 経絡のレベルでの問題であることが多い。 すなわち器質的病変はないのだが、 精神的な問題を含め、 身体全体のアナログ的なアンバランスが症状を起こしている可能性を指摘することで、 患者本人は非常に納得し、 皆一様に 「もやもやしていた霧が晴れたようだ。 体が楽になって症状もなくなった」 という。 当に 『治療せずとも治癒は可能』 という統合医療のひとつの側面をよく表している。
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QOLアップには統合医療的アプローチで。 |
実際の治療でも、 原則として、 いきなり薬物療法などは行わない。 最初はあくまでもアンチエイジングな食生活の指導や、 個々のレベルに応じた運動療法、 精神的なサポートが中心となる。 次に漢方、 鍼灸、 カイロプラクティック、 アロマテラピー、 リフレクソロジー、 ホメオパシーなどの代替補完療法が併用される。 特に現代西洋医学が最も遠ざかってしまった 「手当て」 の施術がことの他、 効果的である。 サプリメントも個人個人のレベルでのアセスメントがされた後、 本当に必要なものが処方される。
数ヶ月毎にQOLドックを行い、 健康"状態"は逐次評価されていく。 個々人のQOLのレベルが上がったか否かを客観的に見ることで治療そのものの評価も行える。 この繰り返しで個人レベルでのQOLのアップが可能となり、 オプティマル・ヘルスが達成できる。 オプティマル・ヘルスが連続すると病気知らずの健康体、 すなわち"いつまでも元気で若々しく"が知らないうちに手に入れられ、 これこそが究極の予防医学にもなる。
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2つのEBMでアンチエイジングを。 |
EBMとはevidence based medicine (データ、 実証に基づく医学) という意味の略語で、 これまでの医者の個人的な 「経験」 や 「直感」 に頼った医療から 「データ」 を総合的に分析した医療へ転換していこうというものである。 現代西洋医学においてのEBMの概念は確かに大切である。 抗加齢医学においてもEBMが重要であることは云うまでもない。 しかし、 今のところ、 evidenceに関してはまだまだほとんどない医学であるため、 学会と連動し、 着実に実践していく必要がある。 学会で与えられたテーマを病院やクリニックレベルで検証し、 そのデータを次の学会にフィードバックし、 そこでまた討論議論が重ねられる。 より積極的な薬物療法などは、 決して先走りすることなく、 いつにおいても正常で適切な抑止力が働いた上で実施されていくことが、 こういった新しい分野の医療には不可欠であろう。
しかし、 このアンチエイジングは、 病気・疾患レベルとは違う病人ではない人の健康状態を出来るだけ良くしようという新しい範疇の医療でもあり、 アナログ的な介入も必要なのではないだろうか。 対象はあくまでも、 生活している生身の人間であり、 ひとつの疾患単位ではないのである。 筆者はそのことを、 もうひとつのEBM、 emotion based medicine (「気」 に基づく医学) こそがアンチエイジングのもうひとつの柱になるべきものと考えて、 提唱している。
(Medical Nutrition 66号より)
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