統合医療カンファレンス

 第4回 臨床の現場から

 統合医療ビレッジ赤坂溜池クリニック 降矢英成

 患者の状態を再評価して、統合的視点で見直す。
 筆者は臨床において、 主に心療内科、 精神科、 内科の領域に携わって統合医療を実践しているが、 その中で留意すべきと感じている点について今回は記述させていただくこととする。


 土台を現代医学におき、現代医学の視点から患者さんの業態を把握。  

「統合医療」 を行なう際に、 まず基本として重要だと認識しているのが、 現代医学を土台にしているかである。 確かに統合医療は現代医学以外の視点からも検討し、 種々の代替療法も併用するが、 単に薬が嫌いな患者さんに代替療法をやってあげることが統合医療ではないはずである。

現代医学の視点から患者さんの病態を把握した上で、 その患者さんの状態であれば、 代替療法を行なう適応があるか、 現代医学以外の方法で経過をみてもよい余裕があるのかを考慮する基本的な姿勢が重要であろう。 場合によっては、 患者さんが希望している代替療法を受け入れる条件になっていないときには、 統合的な視点からできない旨を説明することも大事な仕事となる (ここが一般の代替療法家との違いや信頼を得られる大事なポイントともいえる)。

具体的には、 筆者の専門では向精神薬をやめたいと希望する患者さんがかなり多いが、 代替療法に代えられる患者、 代替療法を併用して向精神薬を減量できる患者の2群に分けられる。

私たち統合医療医は、 患者さんの希望を自己責任の名のもとにただ受け入れていくのではなく、 患者さんの希望を中心としてそこに専門家としての責任において選択のためのアドバイスをきちんと行なうことが大変重要なポイントだと認識している。


 広い視点から統合医療の実践へ、代替療法家とも連携。  

統合医療を実践していく際に、 われわれ医師が直接行なう代替医療もあるが、 医師以外の代替療法家に依頼する療法もある。 医師自らが行なう代替療法だけに限って実践している施設もあると思われるが、 なるべく広い視点から統合医療を実践する場合には一人で行なうのではなく、 多くの代替療法家と連携して行なうことが必須条件となる。

具体的には筆者の専門では、 自律神経失調症のような病態の方には、 漢方、 鍼灸、 心理療法、 アロマトリートメント、 整体、 メディカルハーブ、 ホメオパシー、 フラワーエッセンス、 サプリメントなどいくつもの療法があげられるが、 医師自らが行なうのは漢方、 メディカルハーブ、 ホメオパシー、 サプリメントなどであり、 代替療法家が担当するのは鍼灸、 心理療法、 アロマトリートメント、 整体などであり、 半分は代替療法家との連携が必要になる。

代替療法家との連携のためには、 現代医学を基盤にした治療方針の上に医師、 代替療法家の両方が協力しあうことが必要になる。 ここで、 問題になるのが、 現代医学の知識を代替療法家がある程度もっており、 少なくとも現代医学の治療や薬を否定しない姿勢をもっているかということであり、 一方、 医師にも各代替療法の効果に対する知識をもっていることが必要である。

また、 治療開始後もときどき治療効果を評価する必要があるが、 代替療法家には治療評価という習慣があまりない場合もたびたび見受けられる。 ある診断 (代替療法家では自分の療法の理論における 「見立て」) のもとに、 治療が効果をあげているかを定期的に評価して見直す姿勢をお互いがもちながら、 連携、 協力する必要があることを理解してもらう必要がある。


 ホリスティック、 統合的な視点に立つ。  

最後に、 当然なことではあるが、 統合医療の視点から現代医学と代替療法を併用する際に、 それが患者さんにとってホリスティック、 統合的な視点からなされているかという点である。

現場でやっていると、 ときに気がつくと、 狭い視点におちいり、 今行なっている療法を漫然と継続してしまい、 そのときどきにおいて今の方針や療法が患者さんにとって適切であるか (ホリスティック、 統合的であるか) を見失っている場合がないとはいえない。

常に、 そのときどきにおいて、 患者さんの変化や状態を再評価して、 ホリスティックな視点から見直すことを肝に銘じておく必要がある。 具体的には、 心療内科領域では、 最初は体のバランスを整える療法から始めた患者さんでも、 その後背後にあった心理的問題が徐々に表面化してきた時期には、 心理療法を中心に変更する時期になったことをホリスティックな視点から変更する柔軟性が重要である。

代替・相補医療の分類
1、 薬理的成分(+)、経口
  漢方、 ハーブ、 サプリメント
2、 薬理的成分(+)、非経口
  アロマテラピー、 吸入法
3、 薬理的成分(−)、経口
  ホメオパシー、 フラワーエッセンス、 波動水
4、 薬理的成分(−)、非経口
  各種手技療法 (鍼灸、 整体、 リフレなど)、 物理療法
*医師が使い易いのは圧倒的に 「1」 である
赤坂溜池クリニック降矢英成

当院の代替・相補医療の担当者
1、 医師
  簡易精神療法、 漢方、 ハーブ、 サプリメント、 ホメオパシーなど
2、 看護士、栄養士などコメディカル
  アロマセラピー、 ヒーリング、 栄養相談、 ハーブ、 サプリメントなど
3、 医業類似行為資格者
  鍼灸、指圧、 マッサージ、 整体(カイロプラクティック、 オステオパシー含む)
4、 心理療法士
  カウンセリング、 心理療法(イメージ療法、 催眠含む)
5、 民間の代替療法家
  アロマセラピー、 リフレクソロジー、 ヒーリング、 ボディワークなど
赤坂溜池クリニック降矢英成


(Medical Nutrition 65号より)


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