医療経済とCAM

 自然免疫の中心・NK活性について。

 メディカル&メディスン・リサーチ代表 松田 孝

 ガンの予防や治療に、大きな影響を及ぼすと見られているNK細胞。昨今の健康食品ブームの中で 「体の免疫力を高め、 ガン細胞を攻撃する」 と言う宣伝文句が言われているが、 食品成分とNK細胞について考察してみたい。


 作用メカニズムが未解明なものが多い健康食品。  

ガンの心身医学的治療の1つに 「生きがい療法」 がある。 ガンという疾患を現実的に受け止め、 この病に心をとらわれ無い様、 「今日1日を充実に過ごす」 事を考える生き方が大事だと言われている。 悲観的にならず、 心と脳の働きを活用することによって治療効果によい影響を及ぼすことが出来る。 そこでは笑いやイメージが免疫力を強くすると言われている。 我々の体内には50億個以上のキラー細胞 (NK細胞) があり、 ガンの予防や治療に、 このNK細胞が強いか否かが大きな影響を及ぼすと見られている。 昨今の健康食品ブームの中で 「体の免疫力を高め、 ガン細胞を攻撃する」 と言う宣伝文句が言われているが、 食品成分とNK細胞について考察してみたい。


 <グルタミン>  

アミノ酸は健常人ではNK活性に極端な影響は与えないと言われているが、 ガン (悪液質状態) や肝硬変等の場合はアミノ酸の1つであるグルタミン補充療法がNK活性の増加や感染症発生率の低下が認められたと言う。 ラットの実験ではグルタミン投与がグルタチオンを増加させてNK細胞を活性化し腫瘍の成長を抑制したとの報告がある。


 <糖質>  

外来性の糖質を利用することで生体機能を調節することとして、 真菌の細胞壁を構成するβ−1,3グルカン,キチンには抗腫瘍活性や免疫賦活作用が見出され、 シイタケ由来のレンチナンやスエヒロタケ由来のシゾフィランは既に臨床応用されているし、 カワラタケ由来のクレスチンはダブルブラインド法でも臨床効果を明確に示している。


 <脂質>  

必須脂肪酸はn−3系のリノレン酸やエイコサペンタエン酸 (EPA)、 ドコサヘキサエン酸 (DHA) と、 n−6系のリノール酸、 アラキドン酸等に分けられる。 n−3とn−6は栄養学的には炎症性疾患の予防や治療で重要と論じられているが、 その作用メカニズムは複雑で未だ未解明と言わざるを得ない。

ビタミン:ビタミンAやEなどの脂溶性ビタミンはNK細胞の機能を亢進させる。 ビタミンB12は細胞性免疫に関与していると考えられている。 ビタミンCのNK活性との関係は不明だが、 入院患者ではNK活性の間に相関性があるとの報告もあることから、 健常人では賦活効果は期待できないかも知れないが、 ガン等の基礎疾患に伴って活性が低下している場合は可能性があるかも知れない。


 <ミネラル>  

人体を構成する53種類の元素の中の微量元素で活性酸素除去作用をもち、 抗老化作用を有する銅、 鉄、 亜鉛、 セレン、 マンガンが何らかの形でNK活性との関係を言われている。 米国対ガン協会は、 ヒトのガンに対する食事療法の有効性に関して報告された疫学調査に基づき前立腺ガンと肺ガンの予防に有効な微量元素と推定している様だ。


 <健康食品 (俗称)>  

特定保健用食品で生体防御機能を高めて抗ガン活性や免疫賦活作用が認められているものは無い。 現在、 市販されている健康食品で抗ガン効果を標榜するものは(1)ガン細胞に直接働いて殺す作用を有する、 (2)ガン細胞に栄養を送る血管の新生を抑制する効果を有する、 (3)生体防御機能を亢進させてガン抑制作用を有する、 この3つに分類される。 サメ軟骨、 AHCC、 プロポリス、 アガリクス、 メシマコブ、 フコイダン、 高麗人参、 霊芝、 等が巷を賑わしており、 中にはβグルカンを有効成分とするものも有るが、 その作用メカニズムには依然未解明なものが多く、 NK細胞に影響を及ぼすと言える物がない。


(Medical Nutrition 68号より)


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