医療経済とCAM

 <CAMを支える学会・学術集会>

 代替医療とEBM。

 メディカル&メディスン・リサーチ代表 松田 孝

 補完代替医療に求められるエビデンス。日本補完代替医療学会の学術集会でも、このエビデンスをめぐってさまざまな報告が医師からなされた。がん予防やアトピー性皮膚炎など、学術会での報告を見てみよう。


 日本補完代替医療学会が学術集会を開催。  

CAM (Complementary & Alternative Medicine:補完・代替医学) を学際的な立場で押し奨めている学会の1つに日本補完代替医療学会があるが、 同学会の7回目の学術集会が10月に開催される。

プログラムを見ると 「シンポジウムI:補完代替医療のエビデンス-その臨床的効果の検証--」 で講演が行われる。

石川秀樹医師 (兵庫医科大家族性腫瘍部門) は 「無作為割付臨床試験による機能性食品の有効性の評価」 を、 山田正仁医師 (金沢大学大学院神経内科) は 「日常生活に関わりの深い有機化合物に焦点をあてたアルツハイマー病予防・治療薬の開発」 を、 小林裕美医師 (大阪市立大大学院皮膚科) は 「アトピー性皮膚炎に対する漢方治療のエビデンス」 を、 上山泰男医師 (関西医科大学外科) は 「補完代替医療のエビデンスの確立」 を講演する。 「News Letter:Vol.7 No.2」 でシンポジストの石川医師は 『機能性食品の有効性の評価のためには、 臨床試験が必須である。 しかし、 倫理的問題や費用、 時間などの制約により、 なかなか実施することは困難である。 私たちは、 食物繊維や乳酸菌、 発酵乳製品などの、 大腸がん予防や潰瘍性大腸炎治療に対する有効性の評価を、 無作為割付試験にて実施してきた。 本学会では、 これらの結果を報告するとともに、 試験を完遂するために行ったいろいろな工夫を紹介したいと考えている。』 と述べている。 食物繊維やビフィズス菌、 発酵性乳製品などがプロバイオティクスの機能として又、 注目点として研究されてきた事は周知の事実である。 食物繊維と潰瘍性大腸炎との関係では、 既にキリンビールが個別評価型病者用食品として 「潰瘍性大腸炎治療食品:GBF」 を開発、 認可を取得したことは既に良く知られている。 石川医師が如何なる手法で大腸がん予防や潰瘍性大腸炎患者に対して無作為割付試験 (RCT) を行ってきたのか、 兵庫医大の倫理委員会でRCTの承認を得るまでの過程など、 非常に興味ある発表だ。


 西洋医学の検証の過程で落とされてきた有効な治療法。  

「アトピー性皮膚炎と漢方治療」 に関しては、 古くから漢方療法が行われてきた実績がある。 小林医師も 『アトピー性皮膚炎 (AD) は多病因的で、 補完代替医療の有効利用が望まれる疾患の1つ』 と述べている通り、 西洋医学のみならず、 アロマセラピーや漢方療法が医療現場では行われている。 前述の機関誌の中で小林医師は 『AD治療に有用な漢方は、 個の医療や時間と共に変化する病態に対応する特徴を有し、 従来EBMのランクが高いとされてきた方法では評価は困難である。 このような特性を考慮した検証方法により検討した結果を報告する。』 と述べている。 この報告にも期待したい。

さて、 今回の大会会長を務める井上正樹教授 (金沢大学大学院産婦人科学) は、 CAMについて、 〔西洋医学の検証に使われるRCTによる検証の過程で落とされてきた治療法の中にも、 ある患者さんにとって有効なもの、 欠かせないものがあるかも知れない。〕 と、 その必要性を問いかけている。 その意味では、 ゲノムからみた予知予防でSNPを用いて多因子疾患であるアレルギーの研究を行っている理化研遺伝子多型センター機能相関チームの白川太郎医師の研究成果が、 CAMの応用に繋がるものと考えられる。


(Medical Nutrition 67号より)


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