ドイツ自然療法を訪ねて

 人間の霊性に着目した医学、シュタイナーの「人智学」。

 ボディ、マインド、スピリッツを混然一体としてとらえるホリスティック医学に関心が高まっている。中でも、スピリットを重視したのがシュタイナー医学。その特徴は人間を霊的なものととらえ、霊性を考慮した治療を行うこと。今回はそのシュタイナー医学を紹介する。


 シュタイナー医学は生体の潜在能力(治癒力)を引き出す、いわば「治癒術」。

西洋医学一辺倒から統合医療へと医療の潮流が進む中で、ボディ、マインド、スピリッツを混然一体としてとらえるホリスティック医学に関心が高まっている。ボディとマインドに対する治療は現代西洋医学に数多くあるが、スピリットに対してはさまざまな代替医療が用いられているからだ。中でも、スピリットを重視したのがシュタイナー医学。日本ホリスティック医学協会の帯津良一会長は、「シュタイナー医学とホメオパシーが最もホリスティックなアプローチではないか。実践ではこの二つは避けて通れないだろう」と言うほどだ。

アントロポゾフィー(Anthroposophy)あるいは「人智学」とも称されるこの医学は、ドイツの医師ルドルフ・シュタイナー(1861〜1925)が20世紀初頭に創始した。ウィーン工科大学でゲーテの自然科学に触れる機会をもった彼は、自らの精神科学を人智学と名付けた。

その特徴は人間を霊的なものととらえ、霊性を考慮した治療を行うことだ。自己という概念を観察し、人間の霊性に注意を払う医学。その霊性を治療に取り入れていく。「病原論」に基づき、病気の原因を突き止めようとする現代西洋医学に比べ、シュタイナー医学は生体の潜在能力(治癒力)を引き出す、いわば「治癒術」と言える。シュタイナー医学を実践している医師は、ドイツ国内に1000人はいるとみられる。

シュタイナー医学では、疾患の状態を4段階に分けて考える。(1)疾患の身体的発現(2)その進行段階(3)精神的段階(4)霊的まとわりの段階――である。この4つの側面を観察することが、シュタイナー医学では重要になってくる。

例えばアレルギーに悩まされている患者を、「内的な問題があるかもしれない」「外部の世界との関連がうまくいっていないから症状が発現するかもしれない」と考える。現代医学の治療は抑圧的治療といえ、それだけでは不十分である。だからこそ、精神的な面からアプローチするのである。症状の治癒には、個人の環境の変更が必要なのである。


 音楽は頭脳、呼吸、循環・代謝に働きかける。患者に応じて楽器を選択。 

シュタイナー医学で用いられる治療には、どのようなものがあるか。ベルリンのハーフェルホーエ病院では、芸術療法とマッサージ療法を行っている。シュタイナー医学では、音楽は頭脳、呼吸、循環・代謝に働きかけると考えられており、それぞれの患者に応じて、楽器と演奏法を選びながら治療していく(写真)。絵画や彫刻による療法もある。芸術を創作する過程を通じて、魂をヒーリングする。マッサージ、オイリュトミー(運動芸術)療法などがある。目に見えない言葉を表現し、体の力を活性化する。

マッサージはリズミカルマッサージと呼ばれるもので、患者固有の調節機能のもととなっているリズムの乱れを、マッサージによって正常化させることである。

次回はシュタイナー医学で汎用されるハーブ、ヤドリギについて紹介する。


(Medical Nutrition 47号より)


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