カロテノイドのすべて

 ゼアキサンチンにはルテインと異なる機能も。

自然界にある600種類以上のカロテノイドのうち、網膜の黄斑部にはルテインとゼアキサンチンだけが存在し、抗酸化作用により網膜に有害な脂質の過酸化を防いでいると考えられている。ごく最近になって、ルテインとゼアキサンチンは網膜においても異なる機能を有している可能性が出てきたという。


 黄斑色素はルテインとゼアキサンチンが結合したもの。

ゼアキサンチンはルテインと共にヒトの網膜に存在するカロテノイドとして知られています。物性的にはβ-カロテンに酸素原子が導入された構造を有し、ルテインとは構造異性体の関係にあり、ルテインと同様に、ケール、ほうれん草、卵黄などに豊富に含まれています。

自然界にある600種類以上のカロテノイドのうち、網膜の黄斑部にはルテインとゼアキサンチンだけが存在し、青色光を吸収し、それによる傷害を防止するとともに、抗酸化作用により網膜に有害な脂質の過酸化を防いでいると考えられています。

1985年にフロリダ国際大学のボーン博士が、黄斑色素はルテインとゼアキサンチンが結合したものであると確認して以来、ゼアキサンチンはルテインと同じ役割を担う物質として考えられてきました。しかし、ごく最近になって、ルテインとゼアキサンチンは網膜においても異なる機能を有している可能性が出てきました。その最初の証拠は、網膜上での分布の違いです。黄斑の中心部ではゼアキサンチンの割合が高く、逆に周辺部ではルテインの割合が高くなっています。


 脂質の酸化防止力におけるゼアキサンチンの優位性。 

存在部位から見ると、ゼアキサンチンの方がより黄斑変性症の予防に寄与しやすい位置にあるといえます。網膜には錐体細胞と杆体細胞の2種類の視細胞があり、錐体細胞は黄斑の中心部に、杆体細胞は黄斑の周辺部にあります。錐体細胞は明所視での光覚を司り、杆体細胞は暗所視での光覚を司るとされています。

これらの細胞の機能とゼアキサンチンやルテインがどう関係するか、今後の検討が待たれます。

また脂質の酸化防止力においてもゼアキサンチンが他のカロテノイドより優れていると報告されております。特に体内で酸化傷害に重要な働きをしているペルオキシ亜硝酸塩に対する防御作用が確認されているのは、ゼアキサンチンだけです。2003年の英国の報告では、黄斑変性症を低下させる因子として、ゼアキサンチンの方がルテインより高い相関関係を示しています。これらのことから、ゼアキサンチンが黄斑部に多く存在し、かつ優れた抗酸化力で黄斑部を守っているカロテノイドと思われます。


 ルテインを摂取すればゼアキサンチンも自動的に補給。 

それでは、黄斑変性症にはゼアキサンチンを摂取する方が良さそうに思われるかもしれませんが、ルテインは体内でゼアキサンチンの立体異性体であるメソゼアキサンチンに変換されます。メソゼアキサンチンは、黄斑部でゼアキサンチンと同じように働くと考えられています。従って、ルテインを摂取すればゼアキサンチンも自動的に補給されるという訳です。

ゼアキサンチンの網膜傷害防止以外の研究については、まだ緒に就いたばかりです。京都府立医大の西野輔翼教授は、肝がんが発生しやすいマウスを使った発がん抑制実験で、通常のマウスでは14匹中5匹で腫瘍が発生したのに対し、ゼアキサンチンを与えたマウスでは12匹中1匹にとどまり、さらに1匹当りの平均腫瘍数も通常マウスが1.75に対して投与群は0.08とがん抑制効果があることを示しました。

また、肝転移しやすいマウス結腸がん細胞を使ったがん転移抑制実験で、通常のマウスでは転移した平均腫瘍数が12個であるのに対し、ゼアキサンチンを与えたマウスでは1個と、がん転移抑制効果も確認されています。


プロフィール
ゼリアヘルスウエイ(株)学術部長・菊地信幸

(Medical Nutrition 第52号より)


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