カロテノイドのすべて

 紫外線から目と肌を守るα-カロテン・β-カロテン。

カロテノイドの中で、特によく知られているのがβ−カロテン。体内に貯えられて、必要に応じてビタミンAに変換されるのも周知の通り。疫学調査でがん予防との関連が示唆されるなど、機能性素材としても認知されている。


 喫煙者はβ−カロテン不足に注意。多く含まれるのはブロッコリーなど緑黄色野菜。

β−カロテンの作用として重要なのは、抗酸化作用である。ヒトの体内で酸素を利用した際に産生されるフリーラジカルを、β−カロテンは中和する働きをもつ。フリーラジカルは細胞を損傷し、がんや白内障、心疾患などの発生・進展に関与すると考えられている。多くの研究によって、β−カロテンの豊富な果物や野菜を摂取することは、これらの疾患のリスクを低減させることがわかった。

多く含まれるのはニンジンやブロッコリーなど緑黄色野菜。ただし、含有量は季節や成熟度で異なるし、調理の方法によっては吸収に差が出る。米国立がん研究所は1日6mgの摂取を勧めているが、日本人の摂取量は1日2.5mgに止まるとされ、サプリメントで補うのも一法だ。特に、喫煙者、経口避妊薬や昇圧剤を服用している者は、β−カロテン不足になり得る集団といえる。

それを裏付けるように今年3月、喫煙者がβ−カロテンのサプリメントを摂取すると、白内障罹患リスクが下がるとする研究結果が報告された。これは米国のクリステン氏らが、男性医師約2万2000人(40〜84歳)を対象に二重盲検法によって検討したもの(Archives of Ophthalmology誌2003年3月号)。

対象者を2つのグループに分け、一方にはプラセボを、もう一方にはβ−カロテン50mgを1日おきに摂取してもらった。これを12年間続けた。「白内障の発生」と「その摘出術の実施」を指標としたところ、両群に差は見られなかった。しかし、喫煙者に限ってみると、β−カロテンを摂取した群が白内障の発生、摘出術実施数ともにプラセボ群より26%ほど少ないことが認められた。なお、両群ともに有害事象は発生していない。


 皮膚の紅斑を抑制。太陽光に対してカロテノイドは有用な経口保護剤。 

皮膚における紫外線防御効果を検証した報告もある。(Journal of Nutrition誌2003年1月号)。ドイツのハインリッヒ氏らによるもので、36人を3群に分け、(1)β−カロテン24mg/日(2)β−カロテン、ルテイン、リコペン各8mg/日(3)プラセボ――とした。

人工的に太陽光を照射し24時間後の紅斑の強さを調べる実験を、サプリメント開始前と12 週後に行い、継続摂取で照射後の紅斑を抑制できるか比較した。その結果(1)と(2)のグループでは、12週後の方が開始前より紅斑の度合いが顕著に減少していた。(1)(2)群での血中および皮膚のカロテノイド濃度も上昇していた。同氏らは「太陽光に対してカロテノイドは有用な経口保護剤だ」と位置付けている。

α−カロテンについては、京都府立医大の村越氏らが、ヒトがん細胞の増殖を阻害すること、それは用量依存的であることを突き止めた。また同氏らは動物実験において、腫瘍増殖抑制作用がα−カロテンはβ−カロテンよりも強いことを報告している。(協力・ビタミン広報センター)

(Medical Nutrition 50号より)


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