カロテノイドのすべて

 視覚改善機能に注目。
近年、視覚改善効果が注目されているアントシアニン。

「ブルーベリージャムを食べると薄明かりの中でもよく見える」という英国パイロットの話はあまりにも有名。これはブルーベリー中のアントシアニンの働きによるもので、近年、視覚改善効果が注目されている。


 網膜上のロドプシンの分解と再合成が指標。

アントシアニンはブルーベリーに代表される「ベリー類」に豊富に含まれるポリフェノールで、近年、視覚改善効果が注目されています。

アントシアニンの研究はビルベリーから始まりました。ビルベリー由来アントシアニンの医薬品としての承認は1974年以降イタリア、フランスで取得されています。イタリアでの効能は(1)毛細血管保護作用(2)胃および十二指腸潰瘍の予防と治療(3)皮膚に損傷がない毛細血管の脆弱性および浸透性異常の予防と治療です。

現在までに(1)視覚改善作用(2)毛細血管保護作用(3)血管拡張作用(4)抗潰瘍作用(5)循環器系機能の改善(6)抗炎症作用(7)抗酸化作用などの生理作用が明らかになっています。

この中で今注目されているのが、視覚改善作用です。最初の研究報告は、Bastidemらが1967 年に、ウサギにアントシアニンを静脈投与し、網膜上のロドプシン量の増加を確認したことにあります。ロドプシンは網膜にある色素で、光の刺激を受けると分解され、すぐに再合成されます。分解、再合成の連続作用によって光を信号に換えて脳に送り出し、それが脳に伝わって視覚になると考えられています。ロドプシンの分解と再合成がいかに活発に行われているかが視力の1つの指標になっています。

この実験はアントシアニンが暗所でのロドプシンの再合成を促進し、光に対する網膜の感受性を素早く回復させる働きのあることを明らかにしたものです。「ブルーベリージャムを食べると薄明かりの中でもよく見える」という英国パイロットの話を裏づける実験結果であるこの反応は、暗順応といわれるもので臨床的にも確認されています。

Jayleらは1964年に健常者を対象にした経口投与試験で、網膜の暗順応適応曲線の顕著な改善(網膜の光に対する反応がアップ)と薄明かりの中の視力改善を確認し、この効果は摂取後4時間で最大になり、24時間を経過すると消滅したと報告しています。


 肩こり、イライラ、頭重感などの改善にも。 

日本では、1994年昭和大学の小出らがVDT(visual display terminals)作業などに従事している健康人を対象に、ホワートルベリーエキス含有ジュースの視機能に及ぼす効果を、プラセボを対照に二重盲検法にて検討したのが初の臨床報告です。眼精疲労による調節力、動体視力における有意な改善や夜間視力の改善傾向を報告しています。

日本でアントシアニンが注目されたのは、1998年に大阪外国語大学保健管理センターの梶本助教授がブルーベリーを用いた臨床試験で、眼精疲労の改善効果を確認してからです。試験は眼精疲労を訴えた20人を対象に、二重盲検クロスオーバー法により、ブルーベリーエキスを28日間投与して評価されました。その結果、目の疲労感、目のかすみ、目のちらつきに加え、肩こり、イライラ、頭重感などに改善が見られたことを報告しています。

筑波大学の中石らは健常人を対象にプラセボとカシスアントシアニンの3用量を用いて、暗順応およびVDT作業で誘起される仮性屈折変動について二重盲検試験により検討しています。その結果、暗順応はカシスアントシアニン摂取により用量依存的に暗順応閾値の低下を示し、また仮性屈折変動については、カシス摂取群がプラセボ群に比べ、有意に屈折変動を抑制することを報告しています。

(ゼリアヘルスウエイ(株)学術部長・菊地信幸)



(Medical Nutrition49号より )


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