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ADHDに効果的な栄養療法、かくれた"食物アレルギー"。<リタリンとADHD> フリーライター 氏家京子
向精神薬のリタリンを、うつ病と考えられる患者に対して処方してきたことが、結果的にリタリン依存症を増やした、という指摘が日本でも出てくるようになった。できるだけ薬物に頼らない代替手段が一部の医療関係者や患者グループでは模索されている。
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ADHDの診断基準は未確立、明確な原因も不明。 |
1日3錠で気分が良くなっていた人が、1日20錠飲まなければ快感を得られなくなり、複数の病院を回って多量のリタリンをかき集めていた、というケースもあるそうだ。覚せい剤のように使いたくて、うつ病のふりをし、処方を待つニセ患者も増えているという。
リタリン自体は60カ国以上で処方されている薬だが、うつ病に適用するのは日本だけ。そこにも問題がありそうだが、成人でも診断される人が増えているADHD(注意欠陥多動性障害)患者に対し処方しているアメリカでも、依存症への不安はやはり同じように指摘されており、できるだけ薬物に頼らない代替手段が一部の医療関係者や患者グループでは模索されている。
米国でもADHDは、当初は子どもの障害として広まった。成長期真っ只中にある多くの子どもはふつうでも「多動」・「過活動」的な面を持っているものだが、衝動的・じっと座っていられない・集中できない・記憶できない・神経過敏・不眠・学習障害・気分のゆらぎ、などが子どもに見られ、もし親が困って医者に連れて行ったとすれば、軽い場合でも広くADHDの範疇に入れられてしまうことがある。結果、ADHDの一般的な処方薬であるリタリンなどの興奮剤(覚醒剤)や抗うつ剤などを子どもに飲ませながら行動改善療法を行うことになるわけだが、必ずしも、これで異常行動やADHD症状のすべてが解決されるわけではない。まだADHDの診断基準は確立されておらず、明確な原因もわかっていないのである。
――ある時、3歳の息子が突然家中の窓ガラスを割るという出来事が起り、小児科医に相談すると、「2歳くらいから始まるふつうの反抗期」と言われたグロリア・シブロ夫人。しかし息子が4歳になってもその異常な行動は変わらなかった。そのころ、子どものADHDに悩む親が増えているという話題をよく聞くようになり、母親は恐ろしくなった。しかし、ある日のテレビ番組に小児アレルギー専門医ドリス・ラップ医学博士(ニューヨーク、バッファロ)が出ているのを見て、食物アレルギーが子どもの行動に異常を起こすことを知り、早速子どもの食事から問題がありそうな食べものを取り除いてみた。結果、2年半のうちに息子の異常な行動は静まるようになった。―
これは米国で人気の代替療法雑誌"Alternative Medicine/The Voice of Health"で紹介された体験談である。
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食物アレルギーと子どものADHDとの関連性に注目。 |
食物アレルギーというと、湿疹や喘息などのわかりやすい症状が出てから初めて気付くことが多いものだが、実はそれ以外にも気付かないところで小さな隠れた異常を体内に起こしていることがわかってきている。そして、この隠れたアレルギーに気付かずに放っておくと、次の厄介な大病の温床となってしまう。身近なところでは、成人の関節炎や筋肉痛、慢性疲労症候群なども食物アレルギーと関係しているケースが実は多くある。
ドリス・ラップ医師は、特に食物アレルギーと子どものADHDとの関連性に注目している。シブロ夫人の息子の場合、まず初めに小麦・乳製品を使っている食べ物を食事から除去させた。すると、たった1週間で行動異常は驚くほど静まるようになったという。これを2年半続けて、確実に成果を上げた。この間にリタリンなどの処方薬を飲むことは1度もなかった。
その後の10年間、シブロ夫人は息子とともにラップ医師のもとを訪れ、直接指導を仰ぐようになり、より正確な食事指導とともにビタミン類などのサプリメントやアレルギーの中和成分となるものを摂取させるようにしたという。もう、息子さんは、健康で立派な大学生になっている。
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栄養療法によって治療効果を上げている例も多い。 |
"Alternative Medicine"誌によれば、米国では小学生の5〜10%がADHDのための興奮剤を服用しているという推計があり、30人1クラスとすれば3人は使っていることになるという。確かに、こうした薬剤で良い方向に行動変化を促せるケースもあるが、副作用や依存症とも背中合わせであることを考えれば、もっと穏やかな治療方法が欲しい。また、興奮剤の効果は2年以上の長期使用になると期待できないとの説もある。食物アレルギーによる行動異常が考えられる場合は、シブロ夫人のように除去食を試す価値のほうがありそうだ。
また、栄養療法によって治療効果を上げている例も多い。例えば、必須脂肪酸(オメガ−6とオメガ−3)、アミノ酸、ビタミンB6などのビタミンやミネラル類、亜鉛、カルシウム、マグネシウムなどの補給。ハーブ療法や食事療法なども有効な場合が少なくない。
この根拠となりそうなのが、ADHD患者に起っている栄養欠乏や食物過敏性が、患者の脳内の生化学物質に影響を及ぼしてそのバランスを崩させるという説である。例えば、ある種の神経伝達物質が異常減少することで、その人の行動にも異常が出てくるということである。
摂取成分の再検討でADHDが改善することを示した研究は実際に多くあり、上に挙げた栄養補給のほか、食品中の人工色素・乳製品・トウモロコシなどを除去することによる改善例もある。しかしながら、こうした手段は代替療法に関心のある一部の医師しか行っておらず、いわゆる通常の医療機関で採用することは、残念ながら、米国でもまだ稀なのである。
(Medical Nutrition 48号より)
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