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増加するペットの生活習慣病。代替医療で対処。 ペットへの「代替医療」 フリーライター 氏家京子
犬や猫などペットの生活習慣病が増えている。糖尿病、がん、腎臓病、甲状腺機能異常と診断されるペットも多く、エサでコントロールする栄養療法以外に、針治療、マッサージ、ハーブ療法などを用いる獣医が出てきており、ペット医療の分野でも確実に代替医療が広がっている。
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糖尿病、がん、腎臓病、甲状腺機能異常と診断されるペット。 |
私自身犬を飼いはじめてよくわかったことだが、日本で売られているペット用飼料、特に犬やネコのエサには輸入物が多く、種類も非常に豊富になってきているようだ。郊外の大型ホームセンターや併設されているペット用品売り場に行ってみると、乾燥ドッグフードの約半分は外国製品が占めていると言ってよい。アメリカやドイツのものをよく見る。
最近は、都内のデパート、表参道や銀座といったファッショナブルな通り沿いにも海外のペット用品を輸入販売する店舗が出てきている。あちらこちらで乾燥フードの内容成分表示を見ているが、昔からよく言われてきた"良質な動物性タンパク質"だけでなく、毛並みを良くする必須脂肪酸(オメガ−3と−6)など、人間用のサプリメントや栄養補助食品に負けず劣らずの栄養ラインナップである。
外国で販売されている外国語パッケージのまま輸入され、上に日本語表記ラベルを小さく貼り付けただけの商品も多いから、欧米の栄養学の最先端情報がペットフードのパッケージから読み取れて意外に面白い。特に、乾燥固形フードは、主食としてそれだけを与えていても過不足が無いように作られているため、ビタミン、ミネラル、アミノ酸、必須脂肪酸、抗酸化栄養素がバランス良く配合された総合栄養補助食品と言えるほどである。また、ノミの除去薬に代わるような、自然な植物成分のサプリメントも次々に登場している。
この連載で度々紹介しているロサンゼルスの「キャンサー・コントロール・ソサイエティー・アニュアル・コンベンション」(毎年開かれるがんの代替療法会議)でも、2002年にはペットの代替医療について講演があった。人生のパートナーや家族として犬やネコなどのペットと暮らす人が増え続けている現在、それと同じようにペットの生活習慣病も増加の一途を辿っている。糖尿病、がん、腎臓病、甲状腺機能異常と診断されるペットも多く、エサでコントロールする栄養療法以外に、針治療、マッサージ、ハーブ療法などを用いる獣医が出てきており、ペット医療の分野でも確実に代替医療が広がっている。
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人間と同じように動物たちにもあらゆる治癒の可能性を。 |
上記のがん会議で講演をしたのは、バーモント州在住のデボラ・ストローという作家。『なぜ、ペットはがんになるのか』(邦訳未刊行)の著者で、主に動物やエコツーリズムに関する著作を持つ。
彼女は、必ずしも代替医療だけを肯定してはいない。通常の医療であろうと、代替医療であろうと、人間と同じように動物たちにもあらゆる治癒の可能性を与えようとする立場である。ただ、緊急の時に、たまたま近所にある動物病院に駆け込み、そこのシステムに頼るしかないだけの力無い飼い主からは脱却しようというメッセージを読者に対して訴えている。必要なものとそうでないものを選択する目を養い、飼い主として自立すれば、ペットとの暮らしがより安心に満ちたものになるからだ。なんとなく毎年通っているワクチンの内容にも目を光らせる必要がある。
ストローさん自身、50年の人生の中でたくさんの動物たちと暮らしてきた。そして、最近の15 年間では3匹のネコと1匹のイヌをがんで亡くしている。それぞれ、ネコ科白血病、乳がん、頚部の肥満細胞腫、ワクチンが原因の線維肉腫だった。放射線と抗がん剤治療を行うには遠くの病院へ通わなければならず、費用も高かったため断念。必要に応じて手術や食事療法で対処した。しかしながら人間のがん腫瘍に比べて、動物たちのそれは物凄いスピードで大きくなるため、ストロー夫妻は驚きのあまり泣き崩れたこともあったという。そして、他の飼い主たちも同じような経験をしていることを知り、ペットのがん予防のための知識や治療方法に関する情報提供をするようになった。
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運動、医学的な検査、良質な食事とたっぷりの愛情を与えることが重要。 |
米国内では、モーリス動物基金による1997年10月の調査によるとイヌとネコの死亡原因第1位はがん。獣医たちの多くも約25%のイヌやネコががんで死亡していると見ており、動物病院に来ているペットの40%はがんだという。
モーリス基金が2003人のペットの飼い主を対象に調査を行ったところ、事故以外の主なペットの死因は以下のようであった。イヌの47%−がん。ネコの3大死因−歯の問題、尿障害、がん(32%)。フェレットの33%、ウサギの28%、鳥の18%−がん。また別の調べによると、10 歳を超えたイヌの45%ががんで死亡しており、約70種類のがんが確認されている。イヌやネコの場合、系統によってがんになる頻度の高い種類もあるようで、例えばネコはシャムが最もがんになりやすいといわれている。
これほど多くのペット動物ががんで死亡しているが、その原因は人間同様に確定されていない。むしろ、がんは原因をひとつに確定できないもので、小さな因子が多数積み重なったところに芽生えてくる新生物だ。図らずも、現代の私たちの生活様式は、がんが発生するには好都合なものになってしまった。ペットとして飼われる動物たちは体が小さいため、よけいに発がん原因から受ける影響が大きい。汚染された飲料水、加工し尽くされたエサ、大気汚染、あらゆる化学物質。米国ヒルズ・ペット・フードによれば、以前よりも感染などで死亡するペットが減り、ペットも長寿になったことで生活習慣病を発症しやすくなったともいう。
ストローさんは、ペットたちによく運動させ、医学的な検査も必要に応じて行い、良質な食事とたっぷりの愛情を与えることが重要としながら、次のような予防方法も述べている。早期の卵巣・子宮除去術によるイヌの乳がん予防。白や色の薄い毛を持つネコの日焼けを防ぐことによる扁平上皮がん予防。高齢になったペットの医学的検査(少なくとも年2回)による予防。食事や散歩を規則的に行うことによるストレス除去、等々。
>ペットとの触れ合いにより、人間の高血圧が改善したり、うつ症状が回復する例が知られ、人間の癒しのためにペットを飼う機会も増えている。それだけに悲しい事態にならぬよう知識のある自立した飼い主を目指したいところだ。
(Medical Nutrition 47号より)
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