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健康に向けて体をリセット、太平洋に面したヘルス・リゾート。
フリーライター 氏家京子
"ヘルス・リゾート"と呼ぶのがぴったりなティファナの「サノビ・メディカル・リトリート」。ティファナの病院のこれまでのイメージ、"がんの代替療法病院"とは一味違った趣の、新しい健康・予防・医療施設を訪ねた。
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選択眼を磨かなければ自分の思い描くような医療は実行できない。 |
ロサンゼルスに行くたびに必ず会うドライバー兼ガイド役のペギーさんは、ティファナ周辺にある代替療法病院の見学に訪れる人たちを車で各病院施設に案内することをライフワークにしている女性だ。ペギーさん自身が事故で脊髄に損傷を負った"患者"であり、車から降りている間は車椅子や杖が支えになる。そんなところも関係しているのか、"いかにもガイド"という感じがなく、一人の患者として病院の内情なども教えてくれる。
実際、このように個人が持つ医療情報は貴重なものだ。どんなに権威ある団体や機関からのお墨付きがある施設や病院でも、それを運営し中で働いているのは一人ひとりの人間。人間は時に入れ替わる。人が変われば、その施設や病院のカラーも全く違ったものになってくる。その移り変わりを最もよく知っているのが患者や近隣に住む一般の人たちである。
米国サンディエゴを拠点に医療ジャーナリストとして活躍するマイケル・カルバート氏は、ティファナの代替医療についても非常に詳しく、今回サンディエゴの事務所で会ったときにこう言っていた。
「メキシコの新しい代替療法病院を訪れると、"元○○病院だった建物"、"元××ホテルだった施設"を再利用しているのが普通。入れ替わりも頻繁。金儲けだけして、あっという間にいなくなるケースだってある。メキシコのことを本当に理解するためには、メキシコ人のコミュニティーに入ることだ」
私がペギーさんに「そういえば、5年前にはあった△△病院はどうなったの?」と質問した時にもこんな答えが返ってきた。「あの病院では何人の患者が死んだかわからない。金儲けのためだけにティファナで病院を開いて、働いていた医者たちはもうよその国へ散らばって行ったのよ」
だから、単に"ティファナに行けば、がんを自然な治療で治してくれる"と盲信することは危険でもある。何年にも渡ってその土地の事情に詳しい人や、ティファナを知る元患者の声にも接することが必要だろう。また、院長などと直に知り合い、人の良し悪しだけでなく、治療に対する考え方が自分と院長とは似ているのかどうかも事前にわかっていた方がより良い結果につながる。しかしこれは、何もティファナだけの問題ではなく、日本国内でも同様のこと。患者は、どこであれ、選択眼を磨かなければ自分の思い描くような医療を実行できない。当たり前のことだ。
そのような中でも、私がこの数年見てきた限り、ある信念にもとづいて患者に丁寧に接してくれるようだと確信を持ちつつあるのが"ゲルソン療法とそれを指導するシャルロッテ・ゲルソン女史"、"インターナショナル・バイオ・ケア統合医療病院と院長のロドリゴ・ロドリゲス氏"など、前回までの連載で紹介した施設や人たちである。がんなどの深刻な病気で治療を受けに来ている患者たちからも非常に評判が良かったからだ。
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訪れる人の大半はアンチエイジングを求めてヨーロッパなどから。 |
さて、ティファナから車で30分ほど南下しただろうか。ペギーさんが、"昼食はそこの施設でいただけるように約束しておいたから"と連れて行ってくれたのが、メキシコのバハ・カリフォルニアにある「サノビ・メディカル・リトリート」という開業して2年ほどになる新施設。世界的なサプリメントメーカー、ユサナ社の代表マイロン・ウェンツ博士が開設した。すぐ近くにはフォックス社の映画撮影所があり、海岸には撮影用の大きな帆船が繋がれている。
「サノビ・メディカル・リトリート」は、ティファナの病院のこれまでのイメージ、"がんの代替療法病院"とは一味違った趣の、新しい健康・予防・医療施設。"ヘルス・リゾート"と言えばピッタリくるだろうか。訪れる人の大半は病気治療ではなく、アンチエイジングを求めてヨーロッパなどからやって来る。太平洋に面した静かで温かい場所にあり、高くそびえ立つ真っ白な施設は花畑や青々とした芝生に囲まれ、散策路やベンチ、屋外温水プールも備わっている。施設内部はオープン時に全て有害化学物質の無い壁紙や絨毯、家具でリフォームされており、元はジーンズブランド、リーバイス社の社長が別荘として所有していた建物だったという。
広報とマーケティングを担当するシンシア・テルカさんと一緒に昼食をごちそうになった。さまざまな生野菜が大皿に盛られて並んでおり、滞在客は好きなだけ自分の皿に取り分けるバイキング方式。この日は、たまたま週に一度だけトルティーヤというトウモロコシ粉のクレープも出される日だったが、いつもは生の野菜だけ。そこにレモン汁などのドレッシングや、すり潰したニンニクなどをかけてモリモリ食べる。食材はオーガニック。これで滞在中に体をきれいに洗う。
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より健康的に生き方を変えるための準備施設として。 |
ここでは歯科治療以外での通い客は受け入れていない。全室オーシャンビューの部屋に数日〜数週間滞在しながら健康チェックや施療を受けたり、リラクゼーション、ジムでの運動、瞑想、健康づくりのための学習、健康的な料理の実習も行う。「より健康的に生き方を変えるための準備施設」という感じがする。
メニューも豊富で、医師による診断や治療のほか、一般的な血液検査、生きた血液細胞分析、血中脂質検査、骨密度測定、動脈の弾力性検査、前立腺抗原分析、腹部超音波検査、口腔内検査、歯科治療、心理分析、各種カウンセリング、フィットネスプログラム、腸洗浄、スパ、マッサージ、タラソテラピー、栄養サプリメント、サウナ、オーガニック食、ジュース療法等々が提供される。また、抗がんのためのアンチネオプラストン治療もできる数少ない場所である。
料金は高いが、確かにそこにいるだけで生き方を変えてみようか、という気持ちにさせられる。今までイメージできなかった"健康の快適さ"というものを素敵な環境の中で見せてくれる、そんな場所が現れ始めている。
(Medical Nutrition 46号より)
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