「別の医療を求めて米国から」
患者一人ひとりの治療に、家族のようなスタッフ。
<あるアメリカ人患者>
"メッカ"米国にみる医師・患者の成熟した関係。
 フリーライター 氏家京子

代替医療を求める大きな潮流が生まれた米国だが、政治的・社会的な圧力をかける"反・代替医療派"もいるのも事実だ。今回は、まさに"反・代替医療派"の医者に睨まれながらも、代替医療を求めてティファナへ渡った患者とのインタビューを紹介する。


 質の良し悪しとは別なところで迫害されかねない代替医療。

代替医療に属する自然な療法、自己/家庭療法、及び健康食品や健康機器にまつわる医師法・薬事法違反事件が日本でも多く取りざたされるようになってきた。日本よりも随分前に代替医療を求める大きな潮流が生まれた米国では、こうした逮捕劇はもはや日常である。

もちろん、代替医療を提供する側の勉強不足、良心に欠けるやり方などにトラブルの原因があれば責められて当然だ。しかし、米国の過去の逮捕事件や現状から学べば、問題はそれだけでは終わらない。役に立つ代替医療を求め自立をはじめた"医療・健康消費者や患者"の気持ちとは裏腹に、どんな代替医療も「競合する敵」とみなし政治的・社会的な圧力をかける"反・代替医療派"もいるからだ。これでは質の良し悪しとは別なところで代替医療が迫害されかねない。事実、消費者が支持する代替医療であるにもかかわらず、違法のレッテルを半ばこじつけで貼られ、闇に葬られようとしているものも少なくない。

さて今回は、まさに"反・代替医療派"の医者に睨まれながらも、代替医療を求めてティファナへ渡った患者とのインタビューを紹介する。話を聞いたのはメキシコ、ティファナのIBC統合医療病院。

「合衆国の西洋医学、抗がん剤や放射線は私のがんを止められなかった。」

―― こんにちは。入ってもいい?
リサ(40代女性)どうぞ、いいわよ。
―― 二人とも患者さん?
リサ そう。私はリサ、彼女はリリー。―― あなたの健康問題は?
リリー(20代女性)末期の子宮がん。
リサ 私はカンジダ症。
―― 他にも何かある?
リサ 極度の疲労感かな。
リリー 私は17ヵ月前(2001年3月)に子宮がんと診断された。進行がんで、1年間は合
衆国で治療を受けた。
―― アメリカ人なのね。
リリー 中学生のときに中国からアメリカに来て、今はアメリカ人。米国では、あらゆる治療を
した。抗がん剤。放射線。ここには4週間前に来たの。
―― いつまでいる予定?
リリー 今日まで。
―― 今日?
リサ 今日退院なのよ。
―― 調子はどんな感じ?
リリー 今、がん自体は私の体の中にあるかもしれない。でも…。合衆国の西洋医学、抗がん剤や放射線は私のがんを止められなかった。だからここに来たの。もう痛みは全く無いわ。がんが今どうなっているのかはわからないけど。
リサ 彼女は初め、出血があったので米国の病院に行ったの。検査を受けたらがんだった。最近は元気そうよ。今は問題が無いように見える。
リリー そう。腫瘍の存在を感じることも、痛みも無い。でも、実際に良くなっているのかどうかはまだわからないから、退院したら合衆国でCT検査を受けるの。
リサ すごく良くなって退院する人もいるし、そうじゃない場合もあるのよ。患者さんによって違うわ。
―― アメリカの主治医は、あなたが代替医療を選んだことをどう思っているの?
リリー 西洋医学の医者には代替医学がわからない。彼らは西洋医学を信じて、抗がん剤、放射線、手術を使う。それが伝統というか一般的なことで、いわゆる西洋医学界なの。ここで行われているようなことは信じない。だから、「メキシコで代替医療を受けて来ればどうですか」なんて勧めたりはしない。でも、米国には"フリーダム"がある。患者は選択する権利がある。患者が他を望めば、それは仕方が無い。誰も文句は言えないのよ。私は、西洋医学でできる治療は全て受けた。でも、それでがんを止めることができなかった。だから、別な手段を探しにここへ来たの。
「一人ひとりの患者のために計画が立てられていて、一人の人間として関わってくれる。」
―― ここの治療費は、どう思う?
リサ それはいろいろで。全て(食事、滞在費、治療費、サプリメント費用など)の費用が含まれて基本料金が週4500ドル〜だし、何といってもここのスタッフは皆家族のように接してくれる。もし、夜中の2時に具合が悪くなっても、必ず誰かがそばにいてくれる。食事を用意してくれる人たちも親切よ。ここでの治療は、全て一人ひとりの患者のために計画が立てられていて、それなのに単なる患者として扱うわけでもないの。家族の一員のように接してくれる。もうひとつの家に遊びに来ているみたい。「患者さん、この薬を飲んでください」「注射をしますよ」。こんな会話だけではないの。病気に対する関心を持つだけではなく、一人の人間として関わってくれる。いつでも主治医の部屋に行って話をすることができるしね。主治医に質問があって部屋を訪ねても、「いいよ。じゃ、座って待ってて」なんて気軽に応えてくれる。
 
でもね、これはアメリカでは考えられないこと。約束無しで主治医に会うことはあり得ない。約束をしても15分話せれば良い方。もっと話がしたければ、次の約束をしなくちゃ。看護師が主治医にあなたのリクエストを伝えて、それでやっと主治医からの返事がくる。恐らくね。でも、もしかしたら来ないかな…なんて気持ちで待っていなくてはならない。


 ところが、ここの病院はリゾートみたい。でも、ちゃんと治療もしてくれる。 

リリー 私の場合、合衆国での治療費は保険会社が全てカバーしている。ここの治療費は部分的に。全ての代替医療をカバーする保険会社は無いの。部分的なカバーというのは、ここの病院には腫瘍専門医がいて、抗がん剤治療も少し使うことがあるから、そういう部分はカバーしてくれるということ。だから、代替医療もいろいろな種類をたくさん受ければ高額になるのは仕方が無いかもしれない。IBC病院やオアシス病院(同ティファナ)などは、基本的ながん治療で、ライブ・セル、レトリル、DMSO、ビタミンが含まれて1週間4500ドル〜。
―― 料金は高いと思う?
リリー 率直に言えば、高いと思うわよ。私は4週間もいるし。でも、合衆国では治療費を含まない入院費だけでも、それくらい高くなってしまうのよ。

(Medical Nutrition 45号より)


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