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自立した元患者たちが演台に上がるコンベンション。 "メッカ"米国にみる医師・患者の成熟した関係。 フリーライター 氏家京子
今年で30回を数える「ディジェネラティブ・ディジーズ(degene rative disease)」。いわゆる変性疾患を代替療法で治すことを応援する目的で毎年ロサンゼルス開かれている。このコンベンションの特徴は医師や医療機関への依存体質から脱却した元患者が、医師との自立的な関係の元で、患者に治療体験と治る希望を提供するところにある。病気が治るとはどういうことなのか、代替医療のメッカといわれるアメリカから、フリーライター 氏家京子さんがその現場の活動状況をレポートする。
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年々参加者が増え、活気が高まる「ディジェネラティブ・ディジーズ」。 |
情報を得るために患者やその家族たちがやって来て、病気を理解する方法・原因・治し方については医師たちが発表をし、まだそれを知らない医療従事者らは学ぶために駆けつけ、健康食品や器具のメーカーは宣伝と普及のために出展する。そして、治った患者たちが治療体験と治る希望を提供するために再びやってくる。というようなコンベンションが毎年ロサンゼルスで開かれている。
今年で30回を数えるこの会合は、「ディジェネラティブ・ディジーズ(degene rative disease)」と呼ばれる、いわゆる変性疾患を代替療法で治すことを応援する目的で毎年開かれている。中でも、やはり、難治性変性疾患の代表ともいえるがんの代替療法に関する発表は多く、参加者の関心も高い。会合を取りまとめているのは、キャンサー・コントロール・ソサエティーという非常に地味な非営利組織だが、私が知るここ5〜6年の変化を見るだけでも、年々参加者は増え、活気は高まっている感じがする。
この会合を知る前、コンベンションでは発表者の常連になっているメキシコ人医師の指導を受け、がんを治したという初老の日本人女性の体験発表を偶然にも日本で聞いたことがあった。医事ジャーナリストの今村光一氏が準備した会合だった。聴衆は20人くらいだったろうか。今思い出しても、もったいなかったと思う。なぜなら、60歳前後の元がん患者女性の声は非常に大きく、様子も快活で、がんが治るということはこういうことだ、という完全な治癒イメージを強烈に知らせてくれる稀な存在だったからだ。もっとたくさんの人がこの女性の目撃者になるべきだと思った。会場はガラ空きだったのである。「私はがんが治って、がんになる前の健康状態に戻ったのではなく、以前よりもずっと健康になった」と話をしていたのが印象的だった。
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もう二度と同じ病気にはならないという自信。 |
がん特集、がん治療最前線、という類のテレビ番組を目にすることがあるが、あの時の元女性患者のようにすっきりと「治った」姿を番組で見る事は少ない気がする。少なすぎる、そう思うのは、あのコンベンションを知ったことと、治った人たちの経験が満載された外国の本を読むようになったからだろうか。
治った人の体験談は日本でも溢れている。しかし、どこか胡散臭いと感じさせるものも少なくない。これはアメリカでも同じことだろう。健康食品メーカーが提供しているものは、特にそう勘ぐりたくなることもある。いや、実際病気に悩んでいる人にとっては、それだけを希望にして治ることを強く信じるのだろう。
しかし、ロサンゼルスのコンベンションで話をする元患者たちには、やはり日本の患者とは違うものを感じる。もちろん、人前で、それも壇上でマイクを手に話をする態度は、アメリカ人の方が堂々と見える向きもあり、確かに慣れているのかもしれない。他にも、日本とアメリカとではさまざまな背景が異なる。それでも決定的な違いだろうと最近になって私が思うのは、彼らが病気の原因を理解し、自分が選んだ治療でなぜ治るのかを理解し、実際に治り、もう二度と同じ病気にはならないという自信を持っている、ことである。
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依存体質から抜け出し、自立した患者の道へ。 |
病気の原因や治療効果のメカニズムを全員が医者並みに理解できているわけではないだろう。しかし、医者はあくまでも他人で、患者本人にしかわからないこともたくさんある。病気になったことをきっかけに、病気を自分の身体に宿してしまった理由を人生を遡って省み、納得する。忌々しい病気の原因を自分の歴史の中に探るという作業は、ある種の自己否定作業でもあり、全くプライベートなものになるに違いない。そして病気を生みやすい体と、健康な体の機能とを比較することができるようになる。それから初めて健康回復のための治療や努力が始まる。このプロセスがあってこそ、治った後に「再発するのではないだろうか」という不安が限りなく小さなものになり得る。それが、あのコンベンションに、まるで鶴の恩返しのようにやって来る元患者の幸せそうな笑顔や、日本で見た元女性患者の元気さの礎になっている気がしてならないのだ。
この女性のように、病気以前よりも健康になったと言う患者は、健康で生きる方法を確実につかんでいる。どうして自分が病気になったのかを理解しているから、どうすれば病気にならないのかもわかっているのである。
だからと言って、コンベンションを見物すればその手法を誰でも簡単に手に入れることができるかというと、それは違う。実際に、この落とし穴に入りかけた家族の経験談も今年聞いた。2歳の息子さんが小児白血病になったのである。「あの会合を知っているから何かあったら駆け込めば良い、とだけ思っていた」と正直な心境を語ってくれた。今はもう、この依存体質から抜け出し、自立した患者の道を家族全員で歩んでいる。
完全に治り、その後の人生にも自信を持っている明るい元患者たちは、腕の良い医師、評判の良い病院、情報を持っている組織を利用はするけれども、決して依存はしていない。なぜなら、自分の病気を治せるのは自分だけだという自立ができているからである。これが私が感じている決定的な違いなのだろう。
この連載の中で、代替療法のメッカからの胡散臭くないレポートができればと思っている。
(Medical Nutrition 42号より)
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